昨日は、アルバイト先で夜診をしていました。
整形外科の夜診なのですが、外科の創処置の患者さんも受診されます。
昨日は背部の小さなアテロームの方がガーゼ交換で受診されました。
診察すると切開創は径5mmほどで、内部にはまだ少量の膿が貯留していました。
ただ、死腔の範囲は狭いので、これ以上切開を広げる意味は無さそうです。切開しても充分なドレナージを得られそうにないので、どうしようか少し迷いました。
ふと、いつも動物咬創で行っているドレナージ法を思い出しました。これは以前に本ブログ内でご紹介した方法で、安価で非常に有用なドレナージ法だと思います。
今回は、未滅菌の3-0 ナイロンを”こより状”にして、切開創内に差し込みました。創外に飛び出たナイロン糸を未滅菌のテープで皮膚に固定しました。

( 新しい創傷治療 の画像を転載)
この方法は、極めて安価かつ簡単に小さな創でも有効にドレナージできますが、動物咬創の際にしか実践していませんでした。
しかし、小さな汚染創であれば、動物咬創だけではなく感染性アテロームでも有用な方法だと思います。固定概念に囚われず、ちょっと見方を変えるだけで臨床の幅が広がりそうですね。
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ドレーン
先日の人工関節術後にドレーンを使用するべきか否かという話題の続きです。
PubMedで検索した限りでは、ドレーンの有用性を支持する論文は少ないようでした。
ドレーンの使用を完全に否定する論文はありませんでしたが、術後ドレーンの有用性について疑問を投げかける論文やドレーンを使用しないことを推奨する論文が多かったです。
そこで、THAやTKAと比べて術後出血が比較的少ないと思われる人工骨頭置換術で、術後ドレーン不使用を試してみることにしました。
まず、術中操作は当然ながらドレーンを留置する手間が無くなるので少しだけラクになりました(笑)。次に術後の創周囲の腫脹ですが、あまりドレーン使用症例と有意差はなさそうです。
更にドレーンを使用しないメリットとして、創をオープンにする時期が早いことが挙げられそうです。これはドレーン孔からの滲出液の漏出が無いためです。
まだ、人工骨頭置換術でのみ恐々とドレーン不使用を試している段階ですが、多くの論文が述べているようにドレーン不使用の方が優れた術後管理なのかもしれません。
今回のドレーン不使用の件で、今まで常識だと思っていた事柄であっても、世の中の移り変わりの結果、案外多数派ではなくなっていることが多いのかもしれないと思いました。
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股関節学
先日のブログ記事のコメントで、人工関節術後にドレーンを使用するべきか否かという話題になりました。この件に対して明確な答えを持ち合わせていなかったので少し調べてみました。
まず安易に、変形性股関節症の診療ガイドラインと股関節学を調べてみましたが、残念ながらドレーンに関しては何も記載がありませんでした。
そこで、いつものようにPubMedで「THA+drain」で検索すると54件の文献がヒットしました。abstract をざっと一読したかぎりでは、ドレーンの有用性を支持する論文は少ないようです。
術後ドレーンの有用性について疑問を投げかける論文やドレーンを使用しないことを推奨する論文が多いものの、ドレーンの使用を完全に否定する論文はありませんでした。
今まであまりドレーンに対する興味が無かったので論文上のトレンド(?)に意外感を抱きました。そして、私が抱いている術後ドレーンに対する感覚に最も近い論文は下記の論文でした。
Comparison between drainage and non-drainage after total hip arthroplasty in Chinese subjects.
結論は下記のごとくです。
Non-drainage may reduce postoperative blood loss but has no benefits regarding blood transfusion or deep infection. It may cause more post-operative complications because of restriction of early postoperative exercise by pain and swelling. Therefore we suggest routine use of drainage after THA.
正直、この論文のロジックは無茶苦茶だと思いますが(笑)、感覚的には著者の主張に同感です。ドレナージ不良の症例では創がパンパンに腫れるため術後疼痛が強い印象を抱きます。
このため、ドレーンを利用することで明らかな不利益が無いかぎりは、もう少し人工関節置換術では術後ドレーンを使用し続けようと思います。
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股関節学
先日施行した筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術(MILD法)の方ですが、
手術当日の夜に体動が激しかったため、ドレーンが引き抜けてしまいました。
ドレーンの引き抜けは翌日の初回包交の際に発見したのですが、固定糸よりも体側で引き抜けていました。一応、エアタイトネスは保たれていましたが、ドレナージ効果は消失していました。
骨折や人工関節手術ではドレーンが抜けてもさほど問題にならないですが、さすがに脊椎手術でドレーンが引き抜けると術後の硬膜外血腫のリスクが高まります。
幸い、硬膜外血腫併発の徴候は無かったですが、内心ヒヤヒヤしていました。特にMILD法のような低侵襲手術では棘突起も再建するので、術後の硬膜外スペースに余裕がありません。
頚椎手術ほどではないですが、低侵襲の脊椎手術においては術後のドレーン管理が重要であることを、今更ながらに再認識しました。
再発防止策を考えたのですが、このような体動によるドレーンの引き抜けを防止するためには、固定糸を1ヵ所だけでなく2ヵ所作成する必要があると思いました。
もちろん2ヵ所の固定糸でドレーンを固定しても、激しい体動下では抜けてしまう可能性はありますが、1ヵ所だけよりは幾分ドレーン引き抜けのリスクは低下するのではないかと思います。
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腰椎の手術―ベーシックからアドバンストまで必須テクニック (OS NOW Instruction)
昨日の午前は、人工股関節全置換術(THA)でした。
透析患者さんの大腿骨頚部骨折後の偽関節です。
HD+頚部骨折後の症例だったので、やはり骨質が極めて悪かったです。
骨質の悪い症例に対していつもしているように、リーミングの際に軟骨下骨を半分程度残してカップ設置したので固定性は良好でした。
ほとんど大きな問題もなく閉創していましたが、最後の皮下縫合をしているときにドレーンの可動性が悪いことに気付きました。ドレーン刺入部と縫いつけ絹糸の間にエレバトリウムを挿入しても動かないのです。
おかしいと思って大腿筋膜の層まで抜糸したところ、中央よりやや末梢で大腿筋膜と一緒にドレーンまで縫合していました。ドレーンを引っ張るとドレーンを縫い付けてしまったところのみが局所的に動くので、縫いつけ部位の判断ができました。
いつも、ドレーンを縫いつけないように細心の注意を払っているのですが、それでも起こってしまいました。幸い、術中に気付いたので問題なかったですが、本当に冷や汗ものです。終わるまで何がおこるか分からないのが手術ですね。
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