外来をしていると腰部脊柱管狭窄症の方を診る機会が多いと思います。
ほとんどの方はオパルモンやプレタール等の抗血小板薬による保存治療から開始します。
この際に問題になるのが、内科で狭心症・心筋梗塞・脳梗塞に対してバイアスピリンやプラビックスなどの抗血小板薬が既に処方されているケースです。
プレタールなどを追加投与する可否については諸説ありますが、薬剤溶出性ステントを用いた冠動脈形成術(PCI)施行後の抗血小板薬の投与方法が一つの参考事例になると思います。
循環器内科医にお伺いしたところ、PCI施行後1年間は血管性イベント抑制効果を期待してバイアスピリンとプラビックスの併用投与することが多いそうです。
しかし、PCI施行後1年以降は出血リスクが血管性イベント抑制効果を上回るため、1剤に減らしてバイアスピリンもしくはプラビックスの単剤投与とすることが多いようです。
このことを参考にすると、既に内科で抗血小板薬を投与されている患者さんに1年を越えてプレタールやオパルモンを処方する場合は、出血リスクを考慮する必要がありそうです。
では、バイアスピリンとプラビックスが併用されている場合はどうすればよいでしょうか?この場合には内科医師にプラビックスをプレタールで代用できないか問合せするしかなさそうです。
ちなみにプラビックスやバイアスピリンは血小板凝集能抑制効果がメインであり、プレタールやオパルモンのように血管拡張作用が無いため間歇性跛行への効果はあまり期待できません。
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