先日、東京大学整形外科 川口准教授の骨粗鬆症治療薬選択に関する講演を拝聴してきました。海外の骨粗鬆症関係の文献のレビューが講演の題材となっています。川口先生の視点から、骨粗鬆症治療のアルゴリズムを提示されていました。
実は1年ほど前に私の義母(70歳台前半)が第1腰椎圧迫骨折を受傷しました。受傷機転は重量物を持つという軽微な外傷でした。脆弱性骨折であり問答無用で薬物治療開始の適応となります。
椎体骨折の既往が無く、今回が初めての骨折でした。椎体骨折の場合には、最初の骨折をいかに脊椎アライメントを整えて治療するかが再発を防止する上で重要なポイントになります。
費用負担を考えないのであれば、フォルテオのようなPTH製剤で最初の2年間で骨質の改善をはかり、その後ビスフォスフォ製剤(BP製剤)で改善した骨質を維持するという治療戦略がベストであると考えています。
ただ、明白なエビデンスを持っていなかったので、「常識的に考えたらこれが現時点でベスト」と言って治療するよう仕向けていました。しかし、川口先生はBP製剤→PTH製剤よりも、PTH製剤→BP製剤の方が骨質改善効果が高いというデータを示されました。
エビデンスとしても、PTH製剤で最初の2年間で骨質の改善をはかり、その後BP製剤で改善した骨質を維持するという治療戦略が有効であるというデータを見て安心しました。
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