実社会は競争社会です。医師は比較的競争環境から隔離されている印象を持つ方が多いと思いますが、研究・臨床・クリニック経営において、常に何らかの競争があります。
そして、研究・臨床・クリニック経営は、実直に目の前の作業に没頭しているだけでは、幸運が重ならない限り結果を出すことができません。やはり、何らかの戦略が必要となります。
その戦略の中でもお勧めは、ランチェスター戦略です。下記は中小企業の社長向けに書かれていますが、非常に秀逸な書籍だと思います。
その中でも、この書籍の中心的なテーマである戦略論の要点を、下記に抜粋しました。経営戦略ではあるものの、私たちの世界でも通用することが多いと思います。
【強者の戦略】
- 総合1位主義・全体1位主義
- 市場規模が大きな商品・地域・客層を狙う
- 商品・地域・客層の幅を広くする
- テレビなど派手なマスコミ広告宣伝を使う
- 商社や問屋ルートで全国の小売店へ一気に間接販売する
- 人口が多い大都市に力を入れる
- 営業地域を広くし、盲点を作らないようにする
- 工場や事務所は自社所有にする
- 後発や2位、3位のまねをして潰す
上記の強者の戦略が実行できるのは、全体の0.5%しかなく、残りの99.5%は競争条件が不利な弱者となるので、ほとんどの人は弱者の戦略を採らざるを得ません。
医師の世界で強者の戦略を実行できるのは、研究では東京大学を始めとする旧帝国大学、臨床では各大学病院および都市部のブランド病院のみだと思います。
【弱者の戦略】
- 小規模1位・部分1位主義
- 強者と差別化。強者と違ったやり方
- 強い1位とは戦わない。自分よりも下位や勝ち易きに勝つ
- 勝ち易いものを発見するために対象物を細分化する
- 強みに集中して弱みを捨てる
- 最終利用者へ直接販売する
- 営業はお客に直接接近戦
- 営業地域は近場重視で範囲は狭く
- 実行目標は1つに絞り、個別目標達成主義
- 目標に一点集中
- イノベーション。過去にとらわれずに新しいことをやる
- 軽装備。見栄を張らない。資金の固定化を防ぎ、経理の仕事は簡単にせよ
- 長時間労働
- 自分の大事な経営情報は隠す。隠密戦
- 弱者は調子に乗るな。小さな成功で生活内容を変えるない
弱者とは市場占有率が2位以下のことで、強者以外のすべてが弱者となります。 つまり、私も含めてほとんどの人は、医師としても事業家や投資家としても「弱者」です。
このため、弱者の戦略を、目を皿のようにして理解する必要があります。①~③は、だいたい同じことを言っています。強者と競争しても、勝ち目はありません。
④⑤は、ニッチ分野への進出を意味します。研究でも臨床でもメインストリームでの勝負は避けましょう。もちろん、あなたが強者に属しているのなら、このかぎりではありません。
⑨⑩は、貴重な資源(時間や資金)を1点集中して、ニッチ分野でのNo.1を目指します。目的はNo.1です。ニッチ分野であってもNo.2ではいけません。絶対にNo.1を目指して下さい。
⑪⑫は、常にアンテナを張って変化の激しい世の中を生き延びることを説いています。この観点からは、資金が固定される1棟収益物件は不適です。私は所有していますが(笑)
⑬⑮もその通りだと思います。ハードワークして結果を出す。首尾よく成功しても驕らない。小金ができてもメルセデスを買ってはいけません。私の車は E クラスですが(笑)
耳が痛いことも随所にある書籍ですが、実践的な内容で非常に参考になりました。特に全ての分野で「弱者」の私には、行動の指針となる一冊でした。
金融資産投資や不動産投資の参考にはなりませんが、医師として成功したい方や、ビジネスの立ち上げを考えている方は、一読することをお勧めします。
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