先日、超高齢者の大腿骨頚部骨折がありました。
Garden分類は stage 1 なので骨接合術の適応があります。


この方は救急搬送時から呼吸状態がイマイチでした。超高齢者で呼吸状態がイマイチな症例では、肺炎・心不全・肺塞栓症などを疑う必要があります。


この方の場合、胸部レントゲンや CT で肺炎像は明らかではなく、また胸水貯留もありませんでした。一方、血液生化学所見では WBC/CRP 12000/2.3 でした。


大腿骨頚部骨折だけで白血球数が1万を超える可能性は高くなく、呼吸状態のイマイチさを考えると肺炎を併発しかけているのかもしれないということが頭によぎりました。


このようなケースでは同日手術を敢行するのか、はたまた少し状態を観察するのがよいのかは判断に迷うところです。


何が起こっているのか分からないので、少し状態を観察するという選択肢が無難に思えました。この症例では手術を2日後に設定しました。


ところが呼吸状態はその後悪化していき、2日後の胸部レントゲンでは肺炎像が明確になりました。後追いで考えると同日手術を敢行しておく方が良かったようにも思えます。


もちろん全身麻酔での手術なので、術後に呼吸状態が悪化した可能性もおおいにあるため、本当にこの判断が正しいのかどうかはわかりません。


ただ術後の呼吸不全併発リスクに捕われて、手術を施行する機会を逸した可能性もあると考えています。 このあたりの判断は何が正解なのかはわかりません。


主治医が患者さん家族の批判を許容してリスクテイクするのは吉か凶なのか??? 初療での判断は、重要なポイントのひとつだと考えています。






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