整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

ロセフィン

自分の家族であればどうするか?

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先週のことですが、夜診をしていたところ
その日の午前から誘因なく膝関節部痛が出現したという高校生が初診しました。


膝を見ると、たしかに膝関節水腫を認めました。部活でスポーツをしているとのことだったので、オーバーユースかと思い関節穿刺したところ、白濁した関節液を30cc吸引してしまいました・・・。


???と思って問診を取り直すと、既往にアトピー性皮膚炎があります、更に体温を測ってみると38度台でした。血液生化学検査ではCRPは0.2だったものの、WBC 10500でした。


CRPはWBCと比べて遅行するので、その日の午前発症なら上がっていなくても不思議ではありません。関節液を培養に提出した上で、
セフトリアキソン(ロセフィン) 2gを点滴投与しました。


次の日も外来で診察しましたが38度台の熱発が続き、40ccほどの混濁した血性関節液を吸引しました。臨床的には化膿性膝関節炎なのですが、昨日の関節液の塗抹検査は陰性でした。


発症3日目の午前の血液生化学検査がCRP/WBC 12/10500であり、3日連続で38度台の熱発が続いたので、塗抹検査は陰性だったものの鏡視下関節清掃術の施行を決断しました。


化膿性膝関節炎の場合、手術を行わないデメリットが大き過ぎるという判断です。また、アトピー性皮膚炎の中学生の化膿性外閉鎖筋炎の治療経験があったことも後押しをしてくれました。


ただ、最終的に ”もしこの子が自分の家族であればどうするか?” という観点で考えた結果、”自分の子供なら迷うことなく手術を選択するだろう” と思って決断しました。


週末でしたが、その日の午後に臨時手術を施行しました。術中所見は軽~中等度の滑膜の増生を認めました。量がさほどではなかったので、鏡視下にほぼ全ての滑膜を切除できました。


術後から36度台に解熱して、術後のCRP/WBCは劇的に低下しました。臨床的にはやはり化膿性膝関節炎だったようです。培養の結果はまだ出ていませんが、手術を敢行して良かったです。


今回のようなツボにはまったケースは、まさに医師の醍醐味だと思います。こういう経験をすると、せっかく
アーリーリタイアの決意をしたのに早々に挫けてしまいそうです(笑)。




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整形外科を志すなら、キャンベル(Campbell's Operative Orthopaedics)は必須でしょう。ペーパー版以外にも、DVDやe-ditionもあって便利です。更にKindle版は約30% OFFで購入可能です。このような辞書的な医学書は、電子書籍と相性が良いと思います。




                         

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尿路感染症(急性腎盂腎炎)の治療

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整形外科の入院患者さんはいうまでもなく高齢者が多いです。
大腿骨近位部骨折後などでリハビリテーション入院の際に、突然熱発することがしばしばあります。


多くの場合、原因は肺炎か尿路感染症(急性腎盂腎炎)です。
尿路感染症の場合には、原因菌の過半数は大腸菌です。


治療法は、レボフロキサシン(クラビット)500mg  1日1回×7~14日投与です。
キノロン系薬に耐性と考えられた場合には、セフトリアキソン(ロセフィン)1~2g、1日1~2回点滴静注、その後、セフカペン(フロモックス)200mg  1日3回×14日投与です。


ちなみに発熱や側腹部痛の無い尿路感染症は急性膀胱炎なので、
レボフロキサシン(クラビット)500mg  1日1回×3日投与します。
キノロン系薬に耐性と考えられた場合には、セフカペン(フロモックス)100mg  1日3回×7日投与です。


外来治療の可能な感染症

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日本医師会雑誌からの抜粋です。
外来治療の可能な感染症(第141巻。第5号 987-990)


感染症治療において持つべき大事な観点

1. 抗菌薬使用下では、問題は耐性菌への交代現象が起こるかどうかではなく、
   いつそれが起こるかである

2. 抗菌薬を不適切使用すると、たとえその患者を治せても、
   その患者の次回や次の患者を耐性菌によって治りにくくしうる。

3. 抗菌薬は限り有る資源で、使えば使うほど耐性菌が増える。



外来での注射抗菌薬による治療

1. 基本的に24時間ごとの投与でよい抗菌薬を使用することになる。

2. 24時間ごとの投与でよい注射抗菌薬はセフトリアキソン(ロセフィン)や
   レボフロキサシン(クラビット)であるが、
    セフトリアキノンは第3世代セフェム系であり、
   レボフロキサシンはレジオネラ肺炎などに限られる。

3. したがって実地臨床上は外来で注射抗菌薬による治療を行うことはほぼない。



最後の3番に関してですが、外科系の実地臨床においては、蜂窩織炎が高度のため内服抗菌薬では効果不十分だが、社会的に入院できない方が多いです。


おそらく著者が内科系の先生なのでしょうね。私達が一番判断に苦しみ、やむを得ずロセフィンを投与せざる得ない状況に対する答えを期待したのに、肩透かしにあって残念です。




       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


 
 一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。


                      

 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる



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