整形外科医のブログ

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人工関節周囲骨折

レビュー: NCBプレート(大腿骨側)

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先日のZIMMER BIOMETのNCB Proximal Tibiaのレビューに引き続き、今回は大腿骨骨折用の
NCB Periprosthetic FemurおよびNCB Distal Femurをレビューしてみます。




NCB Periprosthetic Femur


このプレートも、ポリアクシャルなロッキングスクリューを使用可能です。更にケーブルシステムとの併用も可能なので、現時点では最強の固定力を期待できます。


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パッサーなどのデバイスも洗練されていて、人工関節周囲骨折時の条件の悪い術野でも、さほどストレスなく手術を施行することができます。


そもそも、人工関節周囲骨折自体があまり遭遇したくない外傷ですが、これだけ人工関節が普及していると避けることはできません。


受けざるを得なくなった人工関節周囲骨折の際には、
ZIMMER BIOMETのNCB Periprosthetic Femurが第一選択に挙がってくると思います。






NCB Distal Femur


こちらはTKA後の大腿骨顆上骨折や、通常の大腿骨顆部骨折で適応となります。もともとはシンセスのdistal femur plateが定番でした。


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しかし、ポリアクシャルなロッキングスクリューが使用可能なことを武器にしてシェアを食っているようです。たしかにスクリューを挿入する角度に自由度があるのは良いことです。


こちらも弱点らしきものが見当たらないのですが、唯一の欠点は従来型のロッキングスクリューと異なり、locking capsを締める手間がひとつ多いことです。


スクリューをたくさん挿入すると、locking capsを締める手間は結構バカになりません。しかも、トルクレンチはかなり固い。。。全部締めると筋肉痛を残しそうです(笑)








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人工関節周囲骨折(人工骨頭ステム周囲骨折)に対する治療法

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一昨日の午後は人工骨頭置換術後のステム周囲骨折でした。人工関節周囲骨折は、骨質が悪く、認知症を併発している場合も多いので治療が難しいと思います。


単純X線像からVancouver分類 Type B1と判断しました。ちなみに人工関節周囲骨折の分類であるVancouver分類は、下記の論文を参考にしてください。


Duncan CP, Masri BA (1995)
Fractures of the femur after hip replacement. Instr Course Lect 44:293–304.


Type B1の場合、現実的にはORIF+骨移植術を選択するケースが多いと思います。いつものごとく、シンセスのロッキングプレートにケーブルワイヤー(cerclage cable wire )とperiprosthetic screw を併用しました(Cable system & Periprosthetic screws)。


具体的には、LCP-DFに、cerclage cable wire およびperiprosthetic screwを併用するのです。プレートは、反対側(左側の骨折なら右用を選択)のプレートを上下逆に使用します。つまり大腿骨顆部用の穴を、大転子側にもってきて使用するのです。


牽引手術台に乗せた段階で、透視下にプレートの長さをテンプレーティングします。この際、プレートが入っている箱越しに透視しています。術中は出血が非常に多くなるので、執刀前にできることは全て終了しておくのです。

人工関節周囲骨折(人工骨頭ステム下骨折)に対する治療法 その2

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人工関節周囲骨折(人工骨頭ステム下骨折)に対する治療法 その1 のつづきです。


人工関節周囲骨折は、寛骨臼骨折(両柱骨折)ほどではないにしても、難易度の高い骨折だと思っています。両者とも骨折を整復するまで止血する手段がありません。つまり、手術時間が長くなればなるほど、患者さんのダメージが大きくなるのです。


したがって、THAやTKAなどのように和やかな雰囲気の中で手術を施行するのではなく、持てるテクニックの全てを駆使して可能な限り手早く手術を終了します。都市伝説かもしれませんが、出血が大量になると、ある時点で”凝固系のシステムが壊れる”と思っています。


私自身、過去2度ほど”凝固系のシステムが壊れた”瞬間に立会いました。凝固系のシステムが壊れると、術野の風景が一変します。突然、術野のありとあらゆるところから薄い血液があふれ出てくるのです。


1度目は卒後6年目のときに人工股関節再置換術の際におこりました。オーベンの先生の助手として手術にはいっていたのですが、術野が突如として一変して出血が止まらなくなったのです。その経験は、私の中でトラウマになりました。


2度目も人工股関節再置換術の際におこりました。このときは私が執刀していました。少し目を離したすきに、前立ちの先生が大腿骨を内旋してしまい骨幹部骨折を併発しました。まさに、インプランテーション直前の出来事でしたが、このときも骨折を契機として術野が一変しました。


前回の経験があったので一切躊躇せず、あふれ出てくる血液と格闘しながらすぐに閉創しました。DICを併発しましたが10日程度で持ち直し、最終的にはロングセメントステムでの再置換+onlay graftを施行して無事退院まで持っていくことができました。


1回目の経験が無ければ、無駄な抵抗をして悲惨な結果になっていたと思います。いつまでたっても思わぬところで、足をすくわれるのが手術だと痛感しました。

人工関節周囲骨折(人工骨頭ステム下骨折)に対する治療法 その1

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昨日の午後は人工骨頭置換術後のステム下骨折でした。人工関節周囲骨折は、骨質が悪く、認知症を併発している場合も多いので治療が難しいと思います。


昨日の患者さんは約20年前にセメントステムを挿入されていました。
骨折前からステムの緩みをみとめ、Vancouver分類 Type B3と判断しました。
ちなみに人工関節周囲骨折の分類であるVancouver分類は、下記の論文を参考にしてください。


Duncan CP, Masri BA (1995)
Fractures of the femur after hip replacement. Instr Course Lect 44:293–304.


Type B3の場合、全身状態を全く考慮しないとRev. THA+骨移植術が望ましいです。しかし、高齢で伝い歩き程度の活動性で、認知症を併発している方に対してそこまでの治療はリスクが高すぎます。


そうなってくるとORIF+骨移植術という治療法を選ばざる得ません。最近、シンセスのロッキングプレートにケーブルワイヤー(cerclage cable wire )とperiprosthetic screw を併用できるようになりました(Cable system & Periprosthetic screws)。


具体的には、①LCP broad curved ②LCP-DFに、cerclage cable wire およびperiprosthetic screwを併用するのです。尚、②に関しては、反対側(左側の骨折なら右用を選択)のプレートを上下逆に使用します。つまり大腿骨顆部用の穴を、大転子側にもってきて使用するのです。


このケーブルワイヤーシステムは、シンセスにしては珍しく操作性が良いです。このような優れた内固定材料を利用できるようになって、難症例の治療にもやや明るさがでてきたように思います。それでもやはり、高齢者の人工関節周囲骨折は、解決するべき問題が山積している難しい領域だと思います。


その2 につづく

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