先日の人工股関節全置換術(THA)で、ちょっとした失態を演じました。両変形性股関節症の患者さんなのですが、左右間違えて作図していたのです。
前日の患肢マーキングの際には、きっちり患側にマーキングしています。また、診療録の記載も間違っておらず、作図だけが左右間違いでした。
当日朝のイメージトレーニングの際にも、患側で行っていたため、どうやら作図の時だけ左右勘違いしていたようです。
私は業務効率化のために、毎週木曜日の夜にまとめて作図をするようにしています。このため、他の症例との勘違いが起こったのかもしれません。
そして最大の問題は、作図の左右間違いに気付いたのは麻酔導入後であったことです。このため、この時点では患者さんに直接確認することはできません。
しかし、前日に自ら行った患肢マーキングのおかげで、自信を持って「こちら側の手術で間違い無い」と言うことができました。
私は習慣的に、THAなら股関節を、TKAなら膝関節を軽く屈伸させながら、「痛いのはこちら側でいいですね」と患者さんに確認しています。
患者さんは「痛たた、こっちです」とおっしゃられるので、間違いようがありません。この時のマーキングの記憶が、患側間違いの防波堤になっていたようです。
手術当日のイメージトレーニングを患側で行っていたので、全く問題なく手術は終了しました。少し後味が悪いですが、リスク管理が有効であったことを確認できたと思っています。
ちなみの左右間違いに気付かず最後まで手術を施行した場合には、過去の判例で1500万円の賠償金額が命じられたことがあったそうです。こわいこわい、十分に注意しよう。。。
作図
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私が勤務している病院では、2012年度の人工関節全置換術の症例数が68例でした。
整形外科常勤医が3名の病院としては、症例が多い方だと思います。
年末年始やゴールデンウィーク期間を除外すると、平均して週2症例程度です。3名体制なので、どんどん業務をこなしていかないと間に合いません。術前の自己血貯血や手術説明(informed consent; IC)も大変ですが、術前の作図も時間的に結構な負担になっています。
TKAの術前計画に関しては研修医時代からの習慣で、トレーシングペーパーに単純X線像をトレースしてインプラントのテンプレートのコピーを貼り付けるという「作図」という作業を行っていました。しかし、1症例あたり30分程度掛かるので、時間的な負担が馬鹿になりません。
TKAの術前計画において、実際的に最も重要なポイントは下記の4つです。
① 正確な単純X線像の2方向でのインプラントのテンプレーティング
② 立位下肢全長正面像での外反骨切り角
③ 立位下肢全長正面像での大腿骨側髄内ガイドのエントリーポイント
④ 立位下肢全長正面像での大腿骨・脛骨内外顆の骨切り量
単純X線像のフィルムに直接書き込む方が、紙にトレースするよりも断然早くて正確な術前計画が可能です(勤務先は画像をフィルムで運用しているので、高精細モニタによるデジタルプランニングツールの使用経験はありません)。
そこで、最近は紙ベースでの「作図」は止めて、フィルムに直接書き込む方式に変更しました。これだと5分程度で術前計画が終了するので、非常に時間的にも楽になりました。研修医時代からの慣習に囚われずに、省略化できることはどんどんやっていこうと思っています。
※ THAに関しては、フィルムに直接書き込む方式よりも紙ベースでの「作図」の方が望ましいと考えています。
今日は、夏休みで病院を休んでいます。
ネタが無いので、人工膝関節全置換術(TKA)の作図のチェックポイントをまとめてみたいと思います。
まず、日本人に多い内側型OAの場合、通常立位正面で外側関節裂隙が開きます。術中は外側の靱帯バランスに内側を合わせてreleaseしていくので、外側の骨切り量+立位正面での裂隙のスペース = インプラント+インサートの厚みになります。従ってこの段階でインサートが厚すぎる場合は内側のwedge等も考慮しなければいけません。
大腿骨ガイドロッドのエントリーポイントは、大腿骨骨軸の延長線上です。したがって、必ずエントリーポイントが大腿骨遠位のどこになるかを記録しておく必要があります。大腿骨外顆の低形成がある場合、エントリーポイントがかなり内顆寄りにくることがあるのです。これで決定した大腿骨の骨軸を用いて外反骨切り角を決定します。
エントリーポイントの位置は非常に微妙なので、X線フィルムに直接マーキングすることをお勧めします。同様に大腿骨・脛骨の内外顆の骨切り量も非常に微妙なので、X線フィルムに直接マーキングする方がよいかもしれません。
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