最近、ちょくちょく側弯症のフォローアップをする機会が増えました。
私は非脊椎外科医なのですが、地域の知り合いから頼まれるケースが増えているのです。
一般の方の立場では脊椎外科医であるか否か等は関係なく、気軽に相談できる整形外科医であれば誰でもよいという腹積もりなのでしょう。
そうは言っても、他人様の(妙齢?)のお嬢様をフォローするわけですから、こちらとしてもそれなりの緊張感をもって診察しています。
潜在しているかもしれない神経学的異常や筋・系統疾患を除外して、特発性(=原因不明)と診断した患者さんは、Cobb角によって、下記のようなフォローを行っています。
① Cobb角 15度以下 → 6ヵ月毎の経過観察
② Cobb角 15~25度 → 3ヶ月毎の経過観察
③ Cobb角 25度以上で発育が1年以上見込まれる例は装具療法導入
症例数的には②が多いのですが、3ヶ月毎といっても冬休み・春休み・夏休みに絡めて再診予約しています。経験的にはそれぐらいの頻度であれば大事には至らなさそうです。
ちなみに主治医・患者さんとも、リリースできる時期が待ち焦がれますが、この際の判断指標のひとつは、Risser 分類(Risser sign)です。
Risser signとは、骨盤の腸骨稜にみられる骨端核を用いた小児の骨の成長の評価方法のひとつです。骨端核が全く出現していない状態がgrade 0です。
上図のように上前腸骨棘から腸骨稜の1/4までがgrade 1、1/2までがgrade 2、全域にわたり腸骨と癒合したらgrade 5で、骨の成長が停止したと判断され、装具治療終了となります。
ちなみに装具療法は側弯の矯正効果をあまり期待できず、側弯が増悪することの防止効果が目的となります。したがって側弯が増悪する前に治療開始することがポイントになります。
自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。