整形外科医のブログ

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免荷

部分荷重で患者さんのアク抜きを!

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THAやTKAなどの人工関節全置換術は、非常に完成度の高い治療法です。基本的には手術翌日から全荷重歩行を開始しますが、ときどき免荷を強いられる症例もあります。


このような症例では、周囲の患者さんがどんどん全荷重でリハビリテーションを進めていくのに、自分だけなぜ免荷なのか? とブルーになりがちです。


免荷が必要なこと頭では分かっていても気持ちの面での整理がなかなかつかないのです。このような時、私は患者さんの気持ちの「アク抜き
」を考えます。


具体的には、1/3 PWBや10kgまでの荷重を許可するのです。この程度の荷重であれば、実質的には免荷しているのと大差ありません。


しかし、患者さんの気持ちになると、荷重を開始するということは治療が前進したことを意味します。つまり、自分の状態が快方に向かっていると・・・


このようにして患者さんの気持ちのアク抜きをしつつ、実質的な免荷を継続します。このようにすることで、患者さんの気持ちが前向きになり、主治医も治療をやりやすくなります。


杓子定規に 免荷!免荷!ではなく、少し工夫を加えることで、治療の経過もやりがいのあるものに変わるのではないでしょうか?





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粉砕骨折では1週間免荷しています

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先日、大腿骨転子部骨折に対する骨折観血的手術を施行しました。
今回の方は大腿骨近位部の粉砕が高度でした。


術前AP



かなり不安定なタイプの粉砕骨折です。しかし、大腿骨骨幹部の皮質骨は厚いので、径9mm・頚体角125度のショートネイルを選択して、何とかjammingせずに挿入することができました。


術後AP


手術自体は問題なく終了しているのですが、この方の術後リハビリテーションが問題となります。以前の私なら翌日から全荷重で歩行を開始しました。


しかし最近では、このような大腿骨近位が粉砕している不安定なタイプの骨折では、まず術後1週間程度免荷して様子をみることにしています。


1週間免荷してそれほど転位が大きくなければ、2週目から全荷重歩行を開始します。術後も本当に不安定なら、1週間免荷したところで役に立たないという意見もあると思います。


しかし、不安定な骨折に最初から全荷重して高度のスライディングをきたしてしまうと、その後のリハビリテーションに難渋してしまいます。


また、高度粉砕例での早期荷重による偽関節も経験しているので、転ばぬ先の杖ではありませんが、まずは1週間様子を見て問題無いことを確認してから荷重開始としています。



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どうする? 大腿骨不顕性骨折の治療

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先日、転倒後から右股関節部痛を訴えて歩行不能となった高齢者が入院しました。
単純X線像・CTでは明らかな骨折を認めませんでした。


念のためMRIを施行したところ、転子部にT1WI 低信号・T2WI 等~高信号・脂肪抑制画像では高信号の帯状領域を認めました。


画像上は、bone bruiseもしくは不顕性骨折(occult fracture)を疑います。身体所見では股関節の他動時痛は軽度のみで、少なくとも床上ではADL制限がありません。


一応、骨折だとは思いますが、治療方針をどうするかで悩みました。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (初版)では、occult fractureでは骨接合術を推奨すると記載されています。


しかし、エビデンスは無いとのことでした・・・。ちょっと無責任ですね(笑)。私は、しばらく免荷して仮骨形成を認めた段階で荷重訓練を開始すると、転位なく骨癒合が得られた経験があります。


早期に手術を施行するか否かは考え方次第だとは思いますが、私はoccult fractureで保存治療から手術治療へのコンバート例を経験したことが無いので、今回も保存治療を選択しました。


単純X線像やCTで骨折の有無を判断できない方に、リスクを取って手術を施行するのもどうか? と思ったのです。保存治療で骨癒合することを祈りつつ、慎重に経過観察しようと思います。



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大腿骨頚部骨折術後は免荷が必要?

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高齢者の大腿骨頚部骨折でGarden stage 1~2は、
CCSやハンソンピンなどの骨接合術を選択する施設が多いと思います。


私は回復期リハビリテーションも担当しているので分かるのですが、後療法は施設間のバラつきが大きく、術翌日から全荷重を開始する施設から3週程度免荷する施設までさまざまです。


私は、術後2~3週程度は免荷する派なのですが、これは術直後から全荷重を許可している施設の症例では骨折部が偽関節化する率がやや高い印象を抱いているからです。


高齢者の大腿骨近位部骨折の治療における最大の目的はADLの維持でなので、可能なかぎり早期から歩行訓練を開始することは理に適っています。


しかし、大腿骨転子部骨折の髄内釘やCHSと比べて解剖学的にも固定性が良好とは言えないので、全例を術翌日から全荷重歩行させるのは少しやり過ぎのように思えます。


この免荷期間のおかげかは分かりませんが、私は高齢者であってもGarden stage 1~2なら偽関節化や大腿骨頭壊死症の併発をほとんど経験したことがありません。


私が荷重開始を許可する目安は、単純X線像で仮骨が見え始めた(骨折部が硬化し始めた)時です。順調に行くと術後2~3週で骨折部の硬化を確認できます。


万が一にも骨折部が偽関節化したり大きな大腿骨壊死症を併発すると後のリカバリーショットが大変なので、極力初回手術で終了できるように後療法を調整しています。



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これは有用!免荷式歩行器POPO

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私は回復期リハビリテーションの患者さんも担当しています。
その中のひとりに脛腓骨開放骨折術後で、なかなか仮骨形成を認めない方がいます。


かれころ髄内釘による手術を施行されてから数ヶ月経過しているのですが、単純X線像で仮骨を確認できず、前医からの免荷指示もかなり厳しめです。


そして高次脳機能障害もありこちらの指示が入りにくいため、PTB装具を作成して1/2 PWB程度の免荷歩行訓練を施行していました。


そして本日、リハビリテーション訓練に立ち会った際に、先週末に導入された新しい歩行器を用いて歩行訓練する姿を見かけました。



popo03





これはPOPO(ポポ)という免荷式歩行器で、株式会社モリトーが製造・大和ハウス工業が販売しているそうです。大和ハウス工業は自動排泄処理ロボットのマインレットも取り扱っています。


免荷しながら歩行訓練できることが特徴で、ハーネスで骨盤部分から吊り上げることで、あらかじめ設定した荷重が掛かるという仕組みです。荷重は0~40Kgの間で設定することが可能です。


免荷歩行風景を確認しましたが、PTB装具よりも免荷はきっちり守れるようです。また、歩行器なので歩行訓練もスムーズに進むため、今後PTB装具は不要になるかもしれません。


価格が50万円ほど掛かるのがネックですが、あきらかにスムーズに免荷での歩行訓練を施行できるので、予算が許せば導入を検討する価値があると思います。




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