昨日の午後は、化膿性膝関節炎に対する鏡視下関節清掃術でした。
この方は、まず全身状態の改善を優先しつつ、手術のタイミングを見計らっていました。
膝関節の清掃術なので鏡視下手術を選択しました。一応エアターニケットで駆血しましたが、るいそうのため大腿周径が極端に細かったので250mmHg程度の低圧で手術を行いました。
これがいけなかったのか鬱血して感染性滑膜からの出血が持続するため、やむを得ず駆血を解放して手術を行いました。潅流圧を60mmHgに維持して出血のコントロールを行いました。
まず、関節鏡でしか到達できない膝関節後方から滑膜切除を開始しました。PVSなどの場合には後内方にもポータルを作成しますが、今回は前方からのポータルのみで対応しました。
続いて膝関節前方から顆間窩の滑膜を全て切除しました。ここから膝伸展位として最も多くの感染性滑膜が増生している膝蓋上嚢の滑膜切除を開始しました。
この部位では膝蓋上嚢の内外側にポータルを作成して徹底的に掻破しました。この頃になると、滑膜からの出血がコントロールし難くなりましたが、何とか感染性滑膜を切除しきりました。
何度か膝関節のPVSの鏡視下滑膜切除術を行ったことがありますが、PVSと比べても化膿性膝関節炎ではとにかく出血しました。鏡視下手術といえども侮るなかれです。
とにかくやれることは全て施行したので、あとは引き続き栄養状態の管理を行いつつ、何とか感染が鎮静化してくれることを祈るのみです・・・。
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化膿性関節炎
先日、整形外科常勤医の居ない病院から化膿性膝関節炎の高齢女性を受け入れました。
7月末までは独居可能だったようですが、8月初旬に熱中症で入院になったそうです。
入院後もADLの低下が続き、9月になって左膝の腫脹・熱感が出現したため、非常勤の整形外科医が関節穿刺したところ、培養から黄色ブドウ球菌が検出されたので転院依頼となりました。
この患者さんが転院してきたのでざっくり診察したところ、全身の衰弱がかなり進んでいるようです。あまりまともに会話をすることもできないようで、全身は羸痩が著明でした。
血液生化学所見ではCRP/WBC 2.5/7000程度で、WBCは一応正常範囲内ではあるものの、他の血球数と比べると、やや細胞数が増加していると思って良さそうです。
問題の左膝ですが、著明な滑膜肥厚を認めるものの、穿刺しても5cc程度の混濁した関節液しか吸引できませんでした。塗抹検査では細菌を認めませんでしたが、現在培養継続中です。
現病歴から羸痩による易感染性のため、血行性に化膿性膝関節炎を併発したというストーリーで間違いないと思いますが、問題は治療をどう進めるかです。
現在、膝関節の炎症所見はそれほど高度では無さそうなので、最終的には関節清掃術が必要ではあるものの、まずは低栄養状態の改善を優先するべきだと判断しました。
今後の治療では紆余曲折が予想されますが、何とか膝関節の感染を鎮静化させて、無事退院まで持っていきたいと思います。
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今日の午前は外来をしていました。
一昨夜から左手関節が腫れて痛がっているという100歳(!)の方が受診されました。
診察すると左手関節の腫脹と発赤を認めました。今まで、高度の発赤=化膿性関節炎と思っていましたが、「北の整形外科医」様からフツウに偽痛風で発赤するとの指摘を受けました。
単純X線像ではradiocarpal joint内に石灰沈着を認めました。そして、CRPは高値ですがWBCは正常範囲内という典型的な結晶性関節炎パターンの炎症反応です。
おおっ、これが結晶性関節炎の発赤するパターンなのか!としげしげと観察しました。今回は発赤の境界が不明瞭で、シップかぶれではなさそうです(笑)。
もちろん、現時点では感染の除外をできていません。したがって2日後に再診していただいて、しばらく外来で経過観察しようと思います。
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今日の午前はアルバイト先で外来をしていました。
昨夜から右手関節が腫れて痛がっているという80歳台の方が受診されました。
診察すると右手関節の腫脹と高度の発赤を認めました。高度の発赤がある!ということは、化膿性手関節炎の可能性があります(偽痛風でも軽度の発赤があるケースはあります)。
これはちょっとマズイなと思いながら、単純X線と血液生化学検査を依頼しました。単純X線像ではradiocarpal joint内に石灰沈着を認めました。
更に、CRPは高値ですがWBCは正常範囲内という典型的な結晶性関節炎パターンの炎症反応です。検査結果からは、細菌性ではなく結晶性の可能性が高いのですが・・・・
この異常な手関節の発赤は何なんだ???と、じっ~と観察していると、何だか発赤に違和感を感じました。発赤の境界が比較的明瞭で、しかも形状が長方形に見えてきたのです。
「もしや、昨夜はシップを貼っていましたか?」と訊くと、「診察直前まで貼ってました ♪ 」とおっしゃられるのではないですか!この手関節の発赤、シップかぶれです(笑)
膝関節のシップかぶれは見てすぐに分かりますが、手関節は面積が小さいのでシップの長方形の形状が分かりにくい場合があることに気付きました。まだまだ修行が足りないようです。
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