昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
この方は、著明な外転拘縮をきたした骨増殖性OAでした。
術前から可動域が小さい方は、難しい手術になることが多いです。拘縮の原因は骨性であることが多く、骨棘が発達しているために可動域制限が高度になるのです。
このような症例で拘縮を解除せずに寛骨臼の操作に進むと、大腿骨を十分に排除できないので、リーミングの中心位置が偏心することがあります。
拘縮を解除する方法としては、①軟部組織のリリース と ②骨棘切除 があります。通常は①を中心に手術を施行しますが、骨増殖性OAの場合には②を優先するとスムーズに拘縮が解除できます。
特に坐骨部の巨大骨棘を切除することで、大腿骨の排除も容易になり関節の緊張も緩みます。まずは坐骨部の骨棘切除をターゲットにすると良いのではないかと思っています。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です
人工股関節全置換術
坐骨部
最近は、介護用品の性能が上ったことや看護体制が整ってきているので、病棟で大きな褥創を
診る機会が減ってきています。しかし、本日は回診時に坐骨部の深い褥創を診る機会がありました。
坐骨部は褥創の好発部位で、骨性隆起による圧迫と体動時のズレが生じやすいことが原因です。一度併発するとなかなか治癒するのに時間がかかります。
特に坐骨部に関しては、褥創が深いことが多いように感じます。初期の段階では基本的にデブリドマンですが、創が深い場合には十分に内部を掻爬できないことが多いです。結局、創を切開してポケットを無くすことが、オーソドックスながら有効な方法だと思います。
尚、脊髄損傷後の坐骨部褥創の場合には筋皮弁が必要となることが多いですが、廃用症候群によるものでは地道な瘢痕治癒が選択されることが多いと思います。
褥創を併発させないのがベストですが、こればかりは看護体制や介護用品だけではなくご本人の状態も影響するので、なかなか完璧を期すことができないのが難しいところですね。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です
整形外科研修ノート (研修ノートシリーズ)
アクセスカウンター
- 今日:
- 昨日:
- 累計:
管理人によるケアネット連載コラム
管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
人気記事
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
カテゴリ別アーカイブ
QRコード
お気に入りリンク集
記事検索
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。
利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。
当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。