整形外科医のブログ

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大腿切断術

感染性壊疽の切断術での工夫

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昨日は午後から下腿壊疽に対して大腿切断術を施行しました。
今回の方もいつものようにASOが基礎疾患としてあります。


肺炎を繰り返しており、もともと全身状態があまり良くないことに加えて、足趾を中心に急速にカビが生えてきたこともあって今回の大腿切断術となりました。


このように壊疽部に感染を併発して浸軟している場合には、いくら術前にブラッシング等を併用した消毒を行っても、感染予防の観点からはほとんど意味がありません。


私は病棟からのガーゼやパットで壊疽部を覆ったまま、直接ドレーピングを何重にも行います。ドレーピングすることで壊疽部から術野への細菌の拡散を防ぐことができます。



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ただし、今回はイソジンドレープを使用しているので、術前のイソジンによる消毒の際にドレープ上のどこまで消毒したのかが判別しにくい欠点があります。


私の勤務する病院で採用されている透明のドレープはサイズがやや小さいため、今回のような下腿全体の壊疽の症例ではイソジンドレープを使用せざるを得ません。


そのあたりを差し引いても壊疽部をガーゼごとドレーピングして、ドレープごと消毒することで大幅に感染リスクを低下させることができると思います。




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ASOの足趾壊疽の切断高位

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一昨日は午後から足趾壊疽に対する足趾切断術を施行しました。
閉塞性動脈硬化症(ASO)がベースにあるため、どの高位で切断するべきか悩ましい症例です。


このようなASOがベースにある方に足趾切除術を行っても、創治癒不全を高率に併発してしまいます。末梢循環障害が原因なので術創が治らないのです。


足趾切断術で創治癒しない場合、一般的には足部切断 ⇒ リスフラン切断 ⇒ 下腿切断と中枢に向かって追加手術を行うケースが多いと思います。


しかし、このようなASOで足部壊疽を併発するような方には、全身状態があまり思わしくないケースが多いです。つまり、ほとんどの患者さんで、複数回の手術をできるだけ避けたいところです。


創治癒のみを考えると、できるだけ中枢で切断した方が治癒率が高いです。しかし、足趾壊疽の段階でいきなり大腿切断術や下腿切断術を選択することは勇気が要ります。


足趾壊疽を併発している多くの症例で膝窩動脈を触知せず、表面的には足趾壊疽であっても、実際にはかなり中枢での循環不全が原因であることが多いです。


このため、私は足趾壊疽を治療するときには、足部切断術 → 下腿切断術 →大腿切断術 という順番に切断する高位を中枢側に移動させていきます。


だいたい下腿切断術でなんとか治癒しますが、大腿切断術まで施行せざるを得ない症例も散見します。ASOや糖尿病ベースの壊疽の治療は悩ましいですね。



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大腿切断術での工夫

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一昨日の午後は大腿切断術(Above Knee Amputation; AK切断術)でした。
糖尿病がベースのASOの方で、足部に壊疽をきたしていました。


私は、手術に際して下記のごとくの工夫をしています。


・ まず足部から下腿までガーゼごと大きなドレープで完全に覆ってしまう
・ その後、普通の手術と同様にイソジンで消毒してストッキネットを二重に被せる

 ⇒ 壊疽部表面よりもドレープの方が清潔度が高いという判断です。


・ 前方から大腿四頭筋を切除して大腿骨を展開する
・ 正面から攻めていき、まず大腿骨を素早く展開する

⇒ 皮切の段階で後面まで切除すると出血が多くなるためです。


・ 大腿骨をダブルカットして3cmほど中抜きします
・ その骨間の窓から大腿動静脈を同定して結紮しています
・ 大腿動静脈は指先で索状物を触知することで、容易に見つけることができます。

⇒ AK切断術で最も注意するべきなのはもちろん大腿動静脈です。  
  血管の処理が終われば、手術はほぼ終了したようなものです。


・ 皮下は粗く縫合するに留めます。
・ 皮膚はスキンステープラーで愛護的に閉創します。

⇒ 密に縫合すると見た目はキレイですが、血行が悪くなり創治癒の可能性が低下します。



 ※ 手術記録のテンプレートが必要な方は、
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切断術では動脈内ステントに注意!

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今日の午前は足部壊疽に対する下腿切断術でした。この方は閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して他院で血管内治療を施行されましたが、残念ながら壊疽を併発しました。


総腸骨動脈から膝窩動脈まで広範に閉塞していたようで、なんとステントを総腸骨動脈から膝窩動脈まで継ぎ目無く約45cmも留置されていました。ステントの材質はチタン製なので単純X線像で確認可能です。


下腿中央にも壊疽を併発しかけていたので、本来なら大腿切断術の方がより安全だと思います。しかし、この方は膝関節面より約3cm末梢の膝窩動脈までステントが留置されていました。


もし、ステントが留置されている部位で膝窩動脈を切断した場合、ステント越しに結紮できるのかが不明です。循環器内科のドクターに確認しても経験が無いので分からないとのことでした。


ステント部に血流が保たれていると考えると、その部位で切断した場合には動脈断端の処理が不可能かもしれません。このため膝窩動脈ステント部ぎりぎりの下腿切断で対応することにしました。


ここまで、短断端の下腿切断術は初めての経験でしたが、できるだけ中枢側で切断しようとすると仕方ありません。術後単純X線像ではステントよりも約2cm末梢で切断できていました。


仮にステント部で切断しても結紮できるかもしれませんが、心臓血管外科医が居ない施設ではリスクを取ってステント部で切断する意味は少ないと考えます。


そして、下肢切断術を検討する症例ではステントや人工血管が留置されているケースも多々あるので、これまでの経過と単純X線像でステントの有無を確認することは絶対必要だと思いました。



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大腿切断術での工夫

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今日の午前は大腿切断術(Above Knee Amputation; AK切断術)でした。
透析の方で、反対側も既に大腿切断されています。


以前の記事にも記載しましたが、手術に際して下記のごとくの工夫をしています。


・ まず足部から下腿までガーゼごと大きなドレープで完全に覆ってしまう
・ その後、普通の手術と同様にイソジンで消毒してストッキネットを被せる

⇒ これは、壊疽部表面よりもドレープの方が清潔度が高いという判断です。


・ 前方から大腿四頭筋を切除して大腿骨を展開する
・ 正面から攻めていき、なにはともあれ大腿骨を素早く展開する

⇒ 皮切の段階で裏まで切ると出血が多くなる
ためです。


・ 大腿骨をダブルカットして3cmほど中抜きします
・ その骨間の窓から大腿動静脈を同定して結紮
しています

⇒ AK切断術で最も注意するべきなのはもちろん大腿動静脈です。
  血管の処理が終われば、手術はほぼ終了したようなものです。


・皮下は粗く縫合するに留めます。

⇒ 密に縫合すると見た目はキレイですが、血行が悪くなり創治癒の可能性が低下します。



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