整形外科医のブログ

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大腿骨転子部骨折

高度円背の大腿骨転子部骨折

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先日、高度円背の高齢者の大腿骨転子部骨折に対する骨折観血的手術がありました。
術中に仰臥位で牽引すると、ほぼ坐位になってしまうほどの円背です。


このような症例では体位設定の際に、ひとつのピットフォールがあることに気付きました。高度の円背を有する症例では骨盤が後傾しています。


このような骨盤後傾は、脊椎を前屈することである程度緩和されます。しかし、高度の円背がある場合には、坐位になるほどの体位にしてもまだ骨盤後傾を打ち消せないことがあります。


骨盤後傾を残したまま下肢を牽引すると、下図のように大腿骨骨折部に腹側凸の変形をきたしてしまいます。このまま骨接合すると大腿骨近位部の変形治癒が残存します。


1



大腿骨近位の腹側凸変形を回避するためには下肢をやや上方に牽引する必要があります。この際の目安として、健側の股関節の伸展角度を参考にします。



2


多くの症例では、股関節を最大伸展位にしても手術台に対して10度以上屈曲しています。健側股関節の可動域に、患側も揃えてあげることを目標にすることが妥当だと思います。




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整形外科医は常在戦場?

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先日、外反膝のTKAを施行していた際に救急外来から電話がありました。
大腿骨転子部骨折の高齢者が搬入されてきたため、整形外科医への治療依頼でした。



ちょうど、インプランテーション直前だったので少し迷いましたが、最後の経口摂取が午前8時だったとのことで、当日手術を決断しました。


この方はかなり認知症が高度で、COPDもあったため待機手術は危険と判断したのです。そこで、救急担当医師に術前検査を口頭で依頼しました。


ちなみに高齢者の下肢骨折に対する当日手術で、私がチェックしているのは下記のごとくです。これについてはこちらでまとめています。

① 心機能 
② 高度弁膜狭窄症の有無 
③ 腎機能 
④ 重度肺炎の有無



TKAが終了してからバタバタと診察や手術説明を行い、午後15時に入室させることに成功しました。ひたすら動き回った1日でしたが、術後経過は良好で当日手術が奏功したようです。


やはり、高齢者の大腿骨近位部骨折では、可能な限り早期に手術を施行することが救命率向上に寄与していると思います。


当日手術は、整形外科医だけではなくコメディカルのスタッフにもかなりの負荷をかけてしまいますが、患者さんを通しての社会貢献だと思ってがんばり続けたいと思います。



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粉砕骨折では1週間免荷しています

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先日、大腿骨転子部骨折に対する骨折観血的手術を施行しました。
今回の方は大腿骨近位部の粉砕が高度でした。


術前AP



かなり不安定なタイプの粉砕骨折です。しかし、大腿骨骨幹部の皮質骨は厚いので、径9mm・頚体角125度のショートネイルを選択して、何とかjammingせずに挿入することができました。


術後AP


手術自体は問題なく終了しているのですが、この方の術後リハビリテーションが問題となります。以前の私なら翌日から全荷重で歩行を開始しました。


しかし最近では、このような大腿骨近位が粉砕している不安定なタイプの骨折では、まず術後1週間程度免荷して様子をみることにしています。


1週間免荷してそれほど転位が大きくなければ、2週目から全荷重歩行を開始します。術後も本当に不安定なら、1週間免荷したところで役に立たないという意見もあると思います。


しかし、不安定な骨折に最初から全荷重して高度のスライディングをきたしてしまうと、その後のリハビリテーションに難渋してしまいます。


また、高度粉砕例での早期荷重による偽関節も経験しているので、転ばぬ先の杖ではありませんが、まずは1週間様子を見て問題無いことを確認してから荷重開始としています。



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大腿骨転子部骨折後のFHR

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昨日の大腿骨転子部骨折後偽関節のつづきです。診断に関しては、ショートネイルが入っている状態でも、意外とCTを撮影することで偽関節の診断が可能なことをお伝えしました。


次に問題になるのは手術ですが、基本的には通常の人工骨頭置換術やTHAよりもかなり難しいです。revision THAほどではないですが、それに近い感覚かもしれません。


まず、ネイルの抜釘ですが、刺入部の表面は骨に覆われていて分かりにくいことが多いです。この場合には、まずラグスクリュー刺入部を展開してドライバーを挿入します。


ドライバーの方向からネイル刺入部位を推定します。そして、その部分をk-wireでドリリングして位置を探ります。k-wire先端に金属が当たる部位を切除するとネイル刺入部を展開できます。


一般的にネイルは大転子頂点から挿入されているので、大転子が菲薄化して強度が弱くなっている可能性があります。このため、術中操作では細心の注意を払う必要があります。


基本的に、セメントレスステムが前提の場合にはS-ROM-Aでの対応が望ましいと思いますが、バックアップでセメントステムも準備しておくとよいでしょう。


術後Xp



ただ、セメントステムはどのような症例でも対応可能ですが、脱臼肢位の確認を充分にできないことから一発勝負になりがちなので、できるだけ避けたいところです。




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牽引前には健側股関節の固さ確認を!

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昨日は大腿骨転子部骨折に対する骨折観血的手術を施行しました。
私が行っている牽引方法は下図のごとくで、
以前にご紹介させていただきました。



P1050992




健側下肢がイメージの邪魔にならないことと、股関節が拘縮して十分な開排位がとれない症例でも施行可能ことがメリットですが、やはり関節の拘縮には注意が必要です。


私は、麻酔が掛かった時点で健側下肢を他動的に動かしてみて股関節の固さを確認します。この時点でスムーズに股関節が動く方は問題無くアームに足を落とせます。


しかし、股関節が固い症例では骨盤を前傾させること(つまりビーチチェアのような体勢)で健側下肢をアーム上に落とす手助けをします。


無理やり落として健側大腿骨骨折を併発すると目も当てられません。開排位を取るよりはよほど楽な肢位ですが、それでも高齢者は身体が固い方が多いので注意が必要だと思っています。



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