整形外科医のブログ

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大腿骨近位部骨折

若年男性は陰部神経麻痺に注意!

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昨日の午後は、若年者の大腿骨頚部骨折に対する関節内骨折観血的手術でした。
単純X線像上はGarden stage 1でした。


大腿骨近位部骨折では牽引手術台を使用するケースが多いです。高齢者ではあまり問題にならないですが、牽引手術台の問題点として男性患者に陰部神経麻痺を併発することがあります。


特に若年男性は筋肉量が多いため、かなり牽引を掛けないと整復されないケースが多いです。しかし牽引を掛けすぎると、陰部神経麻痺を併発する可能性が高まるのが難しいところです。


大腿骨頚部骨折は転子部骨折や骨幹部骨折と比べて、牽引力が少なくても整復できる可能性があります。特に若年男性はできるだけ牽引を掛けないで手術を終了させることが重要です。


大腿骨頚部骨折はありふれた外傷なので、いつもと同じ感覚で牽引しがちですが、若年男性では陰部神経麻痺が併発する可能性を常に考えておく必要があります。


若年男性に陰部神経麻痺を併発すると、かなり問題が大きくなります。その方の人生を台無しにしないためにも整形外科医としては充分に注意を払うべきだと思います。



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ラグスクリューが長い・・・

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昨日の午後は、大腿骨転子部骨折に対して骨折観血的手術を施行しました。
今回は入院後2日目での手術で、やや遅めでした。


さて、いつものごとく大腿骨近位部骨折用のshort nailを使用しましたが、ちょっとしたピットフォールに陥りました。まずは下の画像をご覧ください。


術前



術後



一見、何の問題も無さそうですが、実は、lag screwの尾側が大腿骨外側皮質から約5mmほど出ています。ちなみにこの両股関節正面像では、そのことを確認することはできません。


lag screwをよく観察するとやや大腿骨頚部前捻角の分だけ回旋しています。つまりlag screwをやや斜めから見ていることになるので、このアングルからは至適な長さなのです。


しかし、実際にはlag screwの正面像で見ると、lag screwの尾側が大腿骨外側皮質から約5mmほど出ていたのです。最後の術中イメージの確認でこのことに気付きましたが時既に遅しです。


術中のイメージでは、この画像の角度でスリーブが大腿骨外側皮質に接しているように見えたので、実際の長さよりも約5mm長いscrewを選択してしまいました。


今回のピットフォールで、術中イメージの画像だけではなく実際にスリーブが大腿骨外側皮質骨に接触している感覚を得るまでスリーブを挿入するべきだということを学びました。


tensor fascia lata等が邪魔をしてスリーブを挿入しづらいことが多々ありますが、やはりlag screwの計測は一番大事なところなので、しっかり皮質骨に当たるまで挿入するべきですね・・・。




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「骨折の連鎖」はダイナミックフラミンゴ体操で絶ちましょう

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昨日は、日本生体電気・物理刺激研究会に出席してきました。
医局からの出頭命令(笑)があったので出席したのですが、講演のレベルの高さに驚きました。


正直、事前に抄録にさえ目を通していなかったのですが、全8演題のうち7演題が現役の教授で座長も半分以上が現役教授という普通ではありえないシチュエーションでした。さすが現役教授が自分の専門分野を講演するだけあって内容も非常に洗練されていました。


一日で聴講できる濃度としては明らかに過去最高レベルで、単なる 『 研究会 』 なんですが日整会をも軽く凌駕する非常に有意義な一日でした。せっかくなので印象に残った講演をご紹介したいと思います。


まずは新潟大学の遠藤直人教授の骨粗鬆症に関する講演です。大腿骨近位部骨折の予防で重要なことは、「骨折の連鎖」を絶つことだそうです。骨折の連鎖とは下記の3つです。


   1. 脊椎椎体骨折 ⇒ 大腿骨近位部骨折
   2. 大腿骨近位部骨折 ⇒ 反対側の大腿骨近位部骨折
   3. 母 ⇒ 娘 


1 は、脊椎椎体骨折が発生すると身体のバランスが悪くなり転倒リスクが増大するため、大腿骨近位部骨折を併発しやすくなるそうです。2 もほぼ同様の理由で反対側の大腿骨近位部骨折を併発しやすくなります。


3 は、親子(母娘)の骨質は非常に似ているため、大腿骨近位部骨折をおこした方の娘にも、高率に大腿骨近位部骨折が発生する傾向があるそうです。


これらを予防するのに有効な予防法のひとつに、ロコモティブシンドロームの予防体操で有名な「ダイナミックフラミンゴ体操」があります。ちなみに今年の専門医試験では「ロコモ」を知らない受験生が結構な割合で居たと嘆いておられました(笑)。


ロコモティブシンドロームを知らない整形外科医が存在するとは思ってもいませんでしたが、さすがに「ロコモ」を知らないと恥ずかしいので来年受験予定の方はおさらいしておいたほうがよさそうです。


 

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不顕性の大腿骨近位部骨折の診断は回旋時痛をみています

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今日は当直明けですが、比較的よく眠れました。
当直終了間際に、病棟の患者さんが転倒されて股関節を痛がるとのことで診察してきました。


単純X線像で明らかな大腿骨近位部骨折を認めませんでした。私が勤務している病院にはMRIが無いので、単純X線像と身体所見のみで骨折の有無を判断しなければなりません。


特に、骨粗鬆症の強い方では不顕性骨折があるので診断に悩むことがあります。身体所見では ①股関節の回旋時痛 ②大腿骨の軸圧痛 ③大転子部の圧痛 の3点で骨折の有無を判断しています。


最も信頼しているのは ①股関節の回旋時痛 で、股関節を内外旋しても痛みが無ければ骨折は無いのであろうと判断しています。更に②と③も痛みが無ければ完璧ですね。


結局、恥骨骨折だったというオチもたまにありますが、大腿骨近位部骨折さえ除外しておけば問題無いかなと思っています。




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いわゆる、「 オムツ骨折 」に対する手術治療

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昨日の午後は、大腿骨顆上骨折に対する骨折観血的手術でした。
寝たきりで股関節および膝関節の屈曲拘縮をきたしている超高齢者の方でした。


このような方は廃用のため、全身の関節が拘縮しています。そのためオムツ交換などの際にスムーズに開脚できないことが原因となって、大腿骨近位部骨折や大腿骨顆上骨折をおこしてしまいます。介護の現場ではこのような骨折を『 オムツ骨折 』と呼ぶそうです。


普段から拘縮をつくらない介護を行うのが予防方法と言われていますが、実際の現場ではなかなかそんなキレイごとは通用しないと思います。そして、発生してしまった骨折は我々整形外科医が治療せざるえません。


このような骨折をおこす方は、高度の骨粗鬆症であることがほとんどです。ギプス固定などの保存治療も、手術治療を選択するのも難しいため、頭を抱えてしまいます。単純X線像ではほとんど皮質骨が無いことが多いため手術を行っても十分な固定力を得られませんが、保存治療では骨折部の褥創や偽関節を高率に併発します。


昨日の手術は、このように大腿骨の皮質骨がほとんど確認できないような方でしたが、ロッキングプレートで内固定したところ及第点と思われる固定力を得ることができました。ロッキングプレート/スクリューの登場で、高度の骨粗鬆症症例でも治療可能になったのだなと改めて感じました。

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