整形外科医のブログ

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尿酸

高尿酸血症の治療にも意味はある!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
尿酸値が冠動脈石灰化の進行に関与 です。




冠動脈石灰化の指標である冠動脈カルシウムスコア(CACS)は、冠動脈イベントの予測因子であることが知られている。虎の門病院健康管理センターの大本由樹氏は、CACSの経年的増加に寄与する因子を検討し、年齢、性の他に尿酸値が関与していることを第57回日本人間ドック学会学術大会で報告。冠動脈硬化進行の抑制に尿酸管理の必要性が示唆された。




肺ヘリカルCTドック受診者約770例を解析  


これまで大本氏らは低線量肺ヘリカルCTを用いたCACSに関し、心臓CTによるCACSと相関することや、スコアの年齢別頻度およびスコア高値例の寄与因子について報告している。これらの結果から、肺ヘリカルCTによるCACSは、人間ドック受診者において冠動脈の無症候性動脈硬化の指標になりうると考えられることから、今回同氏らは、経年的なCACS増加に寄与する因子について縦断的に検討した。  


対象は2010年4月~12年12月に低線量肺ヘリカルCTドックを受診した1,919例のうち、2014年12月までに複数回受診した771例(男性632例、女性139例)で、平均年齢は56歳、平均観察期間は3.1年だった。  


CTデータをCACS評価用に再構成(FOV 260mm slice 3mm)した画像を用い、Agatston法により石灰化を評価した。観察期間中のCACSの増加率によりA群(期間中CACS 0)、B群(20%/年未満)、C群(20%/年以上)の3群に分けた。 尿酸値のコントロールは冠動脈疾患の予防に必要  その結果、A群は515例(66.8%、男性404例、女性111例)、B群は153例(19.8%、同134例、同19例)、C群は103例(13.4%、同94例、同9例)だった。


冠動脈石灰化の進行に関する因子を単変量解析したところ、3群間で年齢、性、BMI、腹囲、収縮期血圧、空腹時血糖、HbA1c、トリグリセライド、推算糸球体濾過量(eGFR)、尿酸値、メタボリックシンドロームの構成因子数などで有意差が認められた。  


多変量解析では、男性〔オッズ比(OR)2.75、95%CI 1.63~4.63、P<0.001〕、年齢(1年ごとのOR 1.11、95%CI 1.08~1.13、P<0.001)、尿酸値(1mg/dLごとのOR 1.20、95%CI 1.04~1.38、P=0.011)で有意差が認められた。  


以上から、大本氏は「冠動脈石灰化の経年的進行には、年齢、性の他に尿酸値がそれぞれ独立して関与していたことから、尿酸値のコントロールは冠動脈疾患の抑制に寄与する可能性が示唆された」と述べ、「近年、高血圧患者において高尿酸血症治療薬が冠動脈疾患の抑制に関与することが報告された(Hypertension 2016; 67: 535-540)。


冠動脈石灰化は冠動脈疾患のスクリーニング、予後と関連しており、冠動脈硬化進行の抑制に尿酸管理の必要性が示唆された」とまとめた。

                                 





ほぉ、これはやる気がでてくる報告ですね! 以前から私は高尿酸血症の薬物治療は臭いものに蓋をする治療だと、やや自虐的に思っていました。


暴飲暴食の生活習慣を送っている多くの高尿酸血症患者さんの治療をがんばっても、暴飲暴食による肝機能障害や耐糖能低下は避けることはできないという半ば投げやりな心境です。


しかし、高尿酸血症の治療が冠動脈硬化進行の抑制につながるのなら、高尿酸血症の治療のやりがいも少し出てくるような気がします。


そういえば、以前に
高尿酸血症の治療がCKDの予防につながるという記事がありました。これも併せて、高尿酸血症の治療にもどうやら意味がありそうで嬉しいです。





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高尿酸血症はCKDのリスク因子

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
高尿酸血症はCKDのリスク因子に です。




従来、高尿酸血症と高血圧,メタボリックシンドロームには密接な関連が観察されていたが、最近、慢性腎臓病(CKD)との関連が注目されつつある。


琉球大学の井関邦敏氏は疫学研究から、高尿酸血症はCKDのリスク因子の1つであり高尿酸血症の治療は生活習慣の改善に加えて尿酸降下薬が推奨されることを報告した。


井関氏らは、血清尿酸値が高いほど腎機能の悪化や末期腎不全発症の割合が多いことを、またメタボリックシンドロームを有する者はCKD発症率が高いことが報告している。  


尿酸値の増加がeGFR低下の独立したリスク因子であった。これらの結果を基に同氏らはCKD診療ガイドライン2012の重症度分類を日本人用に改変してガイドラインを作成した。


高尿酸血症の治療は、痛風合併例では尿酸降下薬の使用量を腎機能に応じて減量して投与し、痛風非合併例は尿酸降下薬を使用する前にリスクとベネフィットを勘案する。


同氏は「CKDは心血管障害のリスクであり、高尿酸血症はCKDのリスク因子の1つである。痛風・高尿酸血症の治療には生活習慣の改善に加えて尿酸降下薬が推奨される。


新規高尿酸血症治療薬の登場により中等度の腎機能低下例でも腎機能の改善が期待できるようになったが、前向き介入研究が必要である」とまとめた。


                                 




先日、尿酸には酸化ストレスに対する保護作用があり、認知症を予防する効果が見込めるという報告がありましたが、今回は尿酸はCKDのリスク因子であり、尿酸=悪玉 という報告です。


暴飲暴食の生活習慣を送っている多くの高尿酸血症患者さんを外来で治療している身としては、高尿酸血症の治療は”臭い物に蓋をする”的な印象を抱いていました。


つまり、いくらこちらががんばって高尿酸血症の治療をして痛風発作を予防しても、暴飲暴食による肝機能障害や耐糖能低下は避けることはできないという半ば投げやりな心境です。


しかし、高尿酸血症の治療がCKDの予防につながるのなら、高尿酸血症の治療のやりがいも少し出てくるような気がします。



       
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痛風患者はボケにくい?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
痛風患者はアルツハイマー病発症リスクが低い です。




米国のNa Lu氏らは、痛風と新規のアルツハイマー病(AD)発症リスクとの関連を検討した結果、痛風患者は非患者と比べAD発症リスクが低いことが確認されたと報告した。


今回の知見は,パーキンソン病(PD)において研究が進められている神経変性疾患に対する尿酸の保護作用を支持するものである。


痛風は最も一般的な関節炎で、心疾患や腎疾患リスクの上昇とも関連付けられている。高尿酸血症になんらかの因子が加わると痛風を発症するが、因子が不明なことも多い。


血中に過剰に存在する尿酸は結晶化して、それを白血球が攻撃して血管壁に著明な炎症が生じ激痛を呈する。  


一方で,尿酸は健康な人の体内にも普通に存在する抗酸化物質でもあり、血漿中の抗酸化能の50%以上をつかさどっているとされる。


また,尿酸の酸化ストレスに対する保護作用がPDなどの神経変性疾患の発症に対し保護的に働くという説も提唱されている。酸化ストレスはAD発症にも関与している。


血管性認知症を含む認知症全般を対象に高尿酸血症との関連を示した前向き住民研究が以前に報告されていたが,ADのみを対象とした研究はなかった。  


Lu氏らは「今回の知見から、痛風がADに対する保護作用を有する可能性がある。追認されればPD進行予防法開発の試みがADに対しても正当化されるであろう」と述べている。


                                 





恥ずかしながら、私は尿酸に酸化ストレスに対する保護作用があることを知りませんでした。尿酸=痛風 という認識だったので、尿酸=悪玉 というイメージを抱いていました。


実際、外来で治療している高尿酸血症の患者は、暴飲暴食傾向の方が多いため決してイメージは良くありません。しかし、今回の知見で尿酸に対する評価が180度ひっくり返ってしまいました。


尿酸に認知症を予防する効果が本当に見込めるようなら、ある程度の高尿酸血症を許容しても良いのかもしれませんね。


もちろん、だからと言って暴飲暴食は良くないでしょうし、高尿酸血症を放置して結晶性関節炎を繰り返すことも辛いものです。しかし、物事には両面あることを、今回の知見から学びました。



       
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