先日の Wide awake hand surgery (WAHS)の実践編です。WAHSを効果的に実施するには局所麻酔の手技が欠かせません。Monthly Orthopaedicsに詳述されていたので記載します。
- 穿刺の痛みを小さくするために、26~27 G針を使用する
- 穿刺部位を少なくするために1か所から角度を変えて麻酔薬を注射する
- 広範に麻酔を効かせるためには、麻酔が効いた部位から新たな針を刺入する
解剖学的には末梢神経は近位から遠位に走行するので近位を麻酔すれば遠位もある程度は麻酔されます。また、指尖が最も鋭敏なので、この部分への直接麻酔は避けましょう。
皮膚表面が最も鋭敏で、皮下、筋膜、筋は鈍感です。このため、局所麻酔は皮膚表面の痛覚を消すことが目的と言っても過言ではありません。
手根管開放術では、まず皮膚直下に局所麻酔剤を注射します。表面に麻酔が効いた後に皮下深部へ数mlの追加麻酔をします。
横手根靭帯を切離する前に手根管内に局麻剤を散布すると、横手根靭帯を切離する際の鈍痛を回避できます。
今まで漫然と局所麻酔を施行していましたが、上記のような解剖学的な知識を考えながら施行すると、より苦痛の少ない麻酔&手術が可能な気がしてきました。