整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

後遺症診断書

交通事故患者さんと医師の最適解は?

このエントリーをはてなブックマークに追加


交通事故で整形外科外来を受診する患者さんは多いです。
しかし、外傷性頚部症候群の患者さんを診ることが嬉しい勤務医はあまり居ないと思います。


主観的な症状ばかりで、客観的な所見に乏しい患者さんがほとんどです。このため、詐病を疑うまではいかないものの、勤務医の立場からはちょっと勘弁してほしいと思ってしまいがちです。


勤務医の立場からは、受傷後1週間ぐらい経過しても明らかな神経学的異常所見や外傷の所見が無い患者さんは、できるだけ通院しないように仕向けるのが最適解です。


一方、交通事故患者さんの立場は全く異なります。自賠責や任意保険の入通院慰謝料には、通院期間および通院回数が大きな影響を及ぼします。特に通院回数は週2回以上が理想的です。


交通事故の患者さんが前回受診日から数日しか経過していないのに再診することがよくありますが、その理由はこの入通院慰謝料を考慮しての行動なのです。


私たちの立場では、症状が変わらないのに2日毎に受診されてはたまったものではありません。もちろん、患者さんも医師の厳しい視線を感じるので、2日毎に受診し続ける強者は少ないです。
 


しかし、充分な金額の入通院慰謝料を確保するためには、ある程度の通院回数が必須です。この結果として医師に顔を合わすことの無い物療に流れる患者さんが後を絶ちません。


このことが、交通事故患者さんが判で押したように物療を希望する理由です。更に交通事故患者を飯のタネにしている接骨院へ流れる患者さんが多いのも、このことが理由です。


何といっても、病院はできるだけ患者さんが再診しないように仕向ける一方で、接骨院は集患に熱心なので、交通事故患者さんが接骨院に流れるのは必定です。


しかし、ここで交通事故患者さんにとって大きな問題点が持ち上がります。後遺症診断書を作成できるのは医師だけなので、途中で接骨院に行っていた患者さんは極めて不利になります。


接骨院としては、通院回数を稼いだ後の交通事故患者さんのことなど知ったことではありません。一方、途中経過が全く不明な患者さんの後遺症診断書を作成するのは迷惑な話です。


医師も人間なので、このような患者さんとできるだけ関わらないようにします。このため、後遺症診断書作成を引き受ける場合でも、内容がシンプルで損保側を資する診断書になりがちです。


このように考えると、入通院慰謝料に目が眩んで接骨院に流れる行為は、より金額の大きな後遺障害慰謝料を捨ててしまう馬鹿げた行為ということになります。


では、もし自分が交通事故患者さんになったらどうすればよいかを考えてみました。私なら物療のある、比較的流行っていない開業医に通院すると思います。


さらに開業医の先生と仲良くなれば、後遺症診断書作成時にも何らかの便宜を図ってもらえるかもしれません。このように考えると、交通事故の最適解は開業医通院ということになりそうです。




★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

交通事故で接骨院に通院する患者さんの対応

このエントリーをはてなブックマークに追加


所属する地方の整形外科医会の広報で興味深い記事があったので抜粋いたします。
「交通事故診療で接骨院にも通院する患者さんへの対応について」です。


------------------------------------------------------------------------


交通事故で接骨院に通院、あるいは通院予定の患者様へ


① 医療機関(病院・診療所・医院)で治療を受け、さらに接骨院(医療機関ではありません)でも施術を受けておられる患者様へ

医療機関のみに通院されるか、接骨院のみに通院されるか、どちらかで御願い致します。
医療機関(病院・診療所・医院)における”治療”と接骨院における”施術”では、考え方や方法が異なります。このため、接骨院で施術を受けておられる場合には、医療機関での治療を中止させていただくことがあります。


② 医療機関を受診後、接骨院で施術を受け、最後に医療機関での後遺症診断書(接骨院では後遺症診断書は書けません)を希望される患者様へ

症状経過が分からないため、交通事故によるものか、事故以外のものかが判断できません。このため、万一裁判になっても根拠となる資料がありませんので、後遺症診断書は作成できないことがあります。


③ 交通事故後、接骨院にて施術を受け、後遺症診断書を希望されて医療機関に初診として来られた患者様へ

事故後の状態や経過が全く分かりませんので、事故による症状かそれ以外の症状か医学的に証明できません。このため後遺症診断書の作成をお断りする場合があります。


上記のことにつき、ご理解下さいますよう御願い申し上げます。


------------------------------------------------------------------------


なかなか痒い所に手が届く文面です。私が所属している地方医会では、診療前にこの説明書を提示して患者さんの了承を得ることを推奨しています。


臨床の現場では③が最もやっかいですが、さすがに初診から接骨院にしか行っていない向こう見ずな患者さんは少なく、やっかいな人は②のパターンが多い印象です。


接骨院の尻拭いをさせられて訴訟や争いに巻き込まれないように、この文書を受付に掲示、もしくは受付の段階で提示することをお勧めします。私のホームページからダウンロード可能です。



 ★★ 『 整形外科の歩き方 』でお宝アルバイト獲得のための
基本講座を公開中です! ★★


      




アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
ビジネスパートナー募集中
産婦人科
株式会社リコー様のインタビュー記事


管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

・医学博士
・整形外科専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。