昨日の午後は、手根管開放術でした。上肢の手術ではイソジンなどの消毒剤による化学熱傷(俗にいうイソジン焼け)に注意しています。


イソジン焼けは、術前の消毒に用いられることが多いイソジン(ポビドンヨード)やヒビテン(クロルヘキシジングルコン酸)などに対する接触性皮膚炎です。以前に何らかの形で同種の消毒剤を用いたことで感作が成立した患者は、消毒剤使用部に限局して化学熱傷を生じます。


それほど稀では無いのですが、意外と原因が分からない皮膚炎として扱われていることが多い印象を受けます。一度感作が成立した患者さんでは、イソジン焼けを完全に予防することは難しいですが、上肢の手術であれば肩の下にできるイソジンの溜まりに皮膚を触れさせないだけでもある程度の予防効果があるようです。


私は、タオルを肩の下に敷いてイソジンが溜まりにならないようにしています。それでも化学熱傷が発生してしまった場合には、通常の熱傷に準じて治療を行うことになります。ちなみに皮膚に付着したイソジンをハイポアルコールで拭いても、色が落ちるだけでイソジンの成分は皮膚上に残存するので予防効果はありません。