先日、90歳台の独居老人が大腿骨近位部骨折で入院されました。
この方は全く身寄りが無く、生活保護を受給されています。
手術を施行するために手術説明を行わなければなりません。ご本人は90歳台で少し頼り無いので、可能であれば第三者に一緒に手術説明を聞いてもらいたいところです。
しかし、知人も全く居ないようです。仕方なくケアマネージャーさん・民生委員・市役所の福祉担当者に手術説明を一緒に聞いていただけるようにお願いしましたが、ことごとく断られました・・・。
彼らが弁では、法的な義務が発生する可能性がある行為は一切できないとのことです。こちらとしては、利害関係の無い第三者に立ち会ってもらいたいだけなのに、何ともつれない返事です。
物理的に他に解決策が無いので、やむを得ずご本人にのみ手術説明を行うことにしました。確かに考えてみれば、手術説明は医師法で強制されていることではありません。
もし、医療事故が発生して医療機関が患者さんに訴えられたときの反証として、手術説明を行った記録を残しておく意味合いもあります。
今回のケースでは、そのような事象が発生する確率が極めて低いので、物理的に第三者の立会いが不可能であればご本人への説明のみでも問題は無いという判断にいたりました。
独居老人が増えてくるとこのような問題が発生する機会が増えると思いますが、基本に立ち返ってその都度対処していきたいと思います。
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手術説明
最近、以前勤務していた病院の医療訴訟で意見を求められる機会がありました。結果が思わしくなかったことが根底にありますが、医学的に不可抗力な案件にも関わらず訴訟になっています。
医学的には不可抗力な案件だったので、当初は争点がはっきりとしませんでした。そして話合いを進める中で、弁護士さんは病院にとって最も弱いところを検証していたようです。
そして、その最も弱いところが確定すると、そこに向けて医学的にはありえないようなロジックを持ち出して攻撃してきました。その最も脆弱なところとは、文書で証拠を残していない部分です。
傍から見ていると揚げ足取りの連続で、私の弁護士さんに対する見方が180度変わりました。裁判は証拠第一主義なので、文書での証拠が揃っていない部分が徹底的に叩かれます。
私が意見を述べた案件では、病院の診療体制が問題視されました。客観的に見て、そこに問題があったわけではなく、単に文書での証拠が乏しかったため狙い撃ちされたに過ぎません。
このことは、私達医師にとっても重要な示唆を与えています。つまり、いくら説明を尽くして誠心誠意を込めて治療にあたっても、文書での証拠が無ければスケープゴートにされるのです。
医療訴訟では適切な治療説明が行われたのかが争点になりがちです。医療内容は専門家でも適否の判断が難しいので、誰にでも分かりやすい適切な治療説明の有無が争点になるのです。
私は、下記の「説明と同意の原則」を、必ず手術説明書に記載しています。この文書は、虎の門病院・小松先生の「医療崩壊」から“説明と同意についての原則”を引用させていただきました。
医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
不幸にして訴訟に発展した場合でもこの文章が手術説明書に記載されていると、適切な治療説明の有無が争点になる可能性が低くなります。何名かの病院顧問弁護士にも確認済みです。
もちろん実際にしっかりと丁寧に治療説明を行い、また手術説明書自体がしっかり書かれていることが前提ですが、行ったことはきっちりと文書で残しておく必要があります。
私の運営するホームページから手術説明書の雛形をダウンロードできます。必要な方は、自分流にアレンジして使用してください。
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説明と同意についての原則
多くの診療行為は、身体に対する侵襲を伴います。通常、診療行為による利益が侵襲の不利益を上回ります。しかし、医療は本質的に不確実です。過失がなくとも重大な合併症や事故が起こりえます。診療行為と無関係の病気や加齢に伴う症状が、診療行為の前後に発症することもあります。
合併症や偶発症が起これば、もちろん治療に最善を尽くしますが、死に至ることもあり得ます。予想される合併症については説明します。しかし、きわめてまれなものや、予想外のものもあり、すべての可能性を言い尽くすことはできません。こうした医療の不確実性は、人間の生命の複雑性と有限性、および、各個人の多様性に由来するものであり、低減させることは出来ても消滅させることは出来ません。
過失による身体障害があれば病院側に賠償責任が生じます。しかし、過失を伴わない合併症、偶発症に賠償責任は生じません。
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手術説明は非常に重要です。
患者さんや家族にどのような目的でどのような手術を行うかを理解していただくことはもちろんですが、不幸な結果になって訴訟に発展した場合にも重要な証拠となります。
医療過誤の訴訟では、適切な手術説明が行われなかったことが争点になることが多いようです。医療内容そのものは医療の専門家でも適否の判断がとても難しいです。しかし適切な手術説明の有無なら、誰にでも分かりやすいため争点になりやすいのです。
私の場合は、下記のごとくの「説明と同意の原則」を、必ず手術説明書に記載しています。この文書は、虎の門病院・小松先生の「医療崩壊」から“説明と同意についての原則”を引用させていただきました。
医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
不幸にして訴訟に発展した場合でもこの文章が手術説明書に記載されていると、適切な手術説明の有無が争点になる可能性が低くなります(もちろん手術説明書自体がしっかり書かれていることが前提になります)。何名かの顧問弁護士にも確認済みです。
私の運営するホームページから手術説明書の雛形をダウンロードできます。必要な方は、自分流にアレンジして使用してください。
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説明と同意についての原則
多くの診療行為は、身体に対する侵襲を伴います。通常、診療行為による利益が侵襲の不利益を上回ります。しかし、医療は本質的に不確実です。過失がなくとも重大な合併症や事故が起こりえます。診療行為と無関係の病気や加齢に伴う症状が、診療行為の前後に発症することもあります。
合併症や偶発症が起これば、もちろん治療に最善を尽くしますが、死に至ることもあり得ます。予想される合併症については説明します。しかし、きわめてまれなものや、予想外のものもあり、すべての可能性を言い尽くすことはできません。こうした医療の不確実性は、人間の生命の複雑性と有限性、および、各個人の多様性に由来するものであり、低減させることは出来ても消滅させることは出来ません。
過失による身体障害があれば病院側に賠償責任が生じます。しかし、過失を伴わない合併症、偶発症に賠償責任は生じません。
今日は、身内の手術説明を受けに近くの病院に行ってきました。
ここは地域の中核病院で、家から徒歩3分程度のところにありますが、ほとんど入ったことがありませんでした。
ほとんど初めて行った病院だったのですが、何の違和感も無かったのが我ながら恐かったです(笑)。医療機関って日本中どこでも同じような感じですね。
しかし手術説明をすることはあっても受けるのは初めての経験だったので、これはなかなか新鮮な感覚でした。今まで2000~3000回ぐらいは手術説明しているはずなので、患者さんや家族のさまざまな反応をみてきました。しかし患者さんの立場でドクターを見るのは貴重な経験です。
科は違うのですが、手術説明の内容は概ね同じです。麻酔方法、感染、深部静脈血栓塞栓症等々・・・。したがって内容は100%理解できるので、もっぱら身内や説明してくれているドクターを観察していました。
まだ若いドクターでしたが一生懸命説明してくれる姿に好感を持てました。経験的にはまだまだなのでしょうが、真摯な姿はなかなか良いものです。このようなところは見習うべきかなと思いました。
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