整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

手術

ワクチン接種と手術までの待機期間

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インフルエンザのシーズンが到来しました。
全国の医療機関でインフルエンザワクチンの予防接種が始まっています。


先日にTHAを施行した患者さんが、手術日の10日前に近医でインフルエンザの予防接種を受けていました。麻酔科の術前訪問の際に、このインフルエンザ予防接種が問題になりました。


ワクチン接種してからしばらくの間は手術や麻酔を控えることが一般的だそうです。恥ずかしながら、私は今までそのようなことを考えたことがありませんでした。


手術や麻酔を控える期間は施設によってまちまちなのですが、インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンでは概ね1~2週間が多いそうです。


そこで、アステラス製薬が発行している2016年版のインフルエンザワクチンQ&Aを通読してみました。ざっくり目を通しましたが、手術や麻酔に関してはほとんど記載がありませんでした。


唯一関連する箇所はP8の最後の7行だけでした。以下にその部位の要旨を抜粋します。
  • 全身麻酔による免疫系の影響は小さく一過性である(48時間~4日)
  • 麻酔前にワクチン接種を禁忌とする根拠はない
  • ワクチンの副反応と術後合併症の区別をするため、術前は不活化ワクチンで2日~1週間前、生ワクチンで14日~21日前までに接種して、術後は1週間あけることが望ましい


なるほど、あまり神経質になることはなさそうです。人工関節や脊椎手術などの予定手術に関しては、あらかじめ患者さんに説明しておいた方がいいかなぐらいの感覚ですね。




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良い手術とは確実さとミスの少なさ

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
【Essay】 ゴルフ道と外科道 です。


今回のエッセイストは、東京慈恵会医科大学外科学講座 教授の大木隆生先生でした。この欄ではさまざまな医師が、”気ままに” 私見を述べているので結構面白い記事が多いです。


近年はゴルフ人気の凋落が著しく、かつて2,000万人いた日本のゴルファー人口は900万人を割り込み、男子プロの試合も半減して多くのゴルフ場が倒産しているそうです。


近年のワークライフバランスやオン・オフ概念が浸透した結果、希薄になった職場での人間関係と帰属意識の薄れが、若手ゴルファー減少の遠因ではないかと推察しています。


大木先生は、組織におけるゴルフ熱はその組織の求心力の高さを測るバロメーターと考えており、ゴルフコンペなどを開催して医局への帰属意識を高めているそうです。


そして、ゴルフには外科手術と多くの共通点があり、「ゴルフを極めようとする過程は手術のそれと重なる」 と主張されています。その要点を下記のごとくです。




〔平常心を保つ〕
初心者の手術は緊張感との戦いです。そしてどんなに術前に準備していても、平常心を失うと全てを失います。安心・安全が徹底されたリスク回避の現代社会で、違法行為を除けば緊張感を味わえる機会はめったにありません。ゴルフはプロでさえOBを打つほど不確実性が高いので、1mのパッティングでさえ緊張する上に、違法行為のように人様に迷惑をかける事はありませんので、緊張感の中で平常心を保つ訓練には最適です。


〔減点主義〕
ゴルフは如何にミスを少なくするかを競うスポーツと言われるくらいミスが出やすいスポーツですが、良い手術とそうでない手術の違いもスーパーショットの数ではなく、数百に及ぶステップの確実さとミスの少なさによって決まります。手術をする限り不可避な合併症と向かい合う外科医にとって、格好の修練です。


〔急がば回れ〕
無風でフラットな完璧な状態でスイングできる事はめったにないのと同様に、完璧な患者もめったにいません。持病がある、肥満体、癒着があるなど個々の症例や状況に応じて、さじ加減や戦略を変える事が手術でも大事です。またボールを林やバンカーに打ち込んだ際のリスクマネージメントは、手術が思い通りに運ばなかった際の勇気ある撤退やダメージコントロールに似ていて、急がば回れ精神は両者に必要な発想です。


〔結果が全て〕
ゴルフでは「あがってなんぼ」と言われますが、過程はどうあれ結果が全てと言う意味です。手術でメスさばきも手技も鮮やかなのになぜか合併症が多い外科医と、練習場ではいいショットが打てるのにスコアがまとまらないゴルファーは似ています。ゴルフを通じて1つ1つのプロセスを結果につなげる努力をする事は、合併症を減らすのに有用でしょう。


〔素質無用〕
天賦の才で瞬く間に上達するゴルファーはいますが、他のスポーツと比べて運動神経や体力などの才能のなさを補いやすいスポーツだと言え、それは手術における持って生まれた器用さと似ています。ゴルフは手術同様、運動神経、器用さ以外に上述したような様々な要素の占めるウェートが大きいので、不器用でも手術が上手で合併症が少ない、運動神経が悪くても上級者になる事が可能で、そういう意味ではいずれも門戸が広いです。


〔その他〕
マナーの重要性、腕前が全てではないので「道」である、play fastと手術時間の短縮、原因究明と試行錯誤の重要性、言い訳無用の自己責任なども共通しています。







特に、〔減点主義〕の項の「良い手術とそうでない手術の違いもスーパーショットの数ではなく、数百に及ぶステップの確実さとミスの少なさによって決まります」という部分に得心しました。


私も、手術は確実に各ステップをクリアして、ミスなく粛々と進めていくことが秘訣だと感じています。途中で大きなミスをしてしまうと最終的な結果に大きな影響を及ぼしてしまいます。


特に、基本的な手技の難易度がさほど高くない脊椎後方除圧術においては、いかにミスなく各ステップをクリアしていくかという根気の良さが問われます。


私のような平均レベルの医師にとっては、スーパーショットではなく数百に及ぶステップの確実さとミスの少なさを追求することが、コンスタントに結果を出せる外科医への道なのでしょう。





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手術では名より実を取る

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先日、粉砕型の尺骨肘頭骨折の手術を施行しました。
術前の画像は斜位で見づらいですが、下記のごとく大きな第3骨片を伴っています。



P1080902




粉砕型の肘頭骨折なので、通常の鋼線締結法以外にもロッキングプレートを用いた手術も検討することになります。少し迷いましたが、今回も通常の鋼線締結法を選択しました。


術後の単純X線像は下記のごとくで、大きな第3骨片は軟鋼線で上から抑え込んでいるため、特に追加の骨接合術は施行していません。とにかくシンプルさを追求しました。



術後LR
術後AP



私は、できるだけシンプルな手術を心掛けています。このため、人工関節はモジュラー型ではなく一体型でシンプルなもの、骨接合術では鋼線締結法などの安価で単純なものを好みます。


手技や機器が複雑になるほど、習熟度が問題となります。ひとりの医師が経験できる症例数は限られているので、汎用性の高いシンプルな手技に特化して経験値を上げる作戦です。


ちなみに、私は簡単な骨接合術であっても必ずイメージを使用します。今回の肘頭骨折では、側面像のイメージコントロール下に肘頭骨片からK-wireを刺入しました。


私の最初の師匠は、オープンリダクションではイメージ不要論者でした。しかし、イメージを使用すると確実性を見込めるので、私は師の意見に反してイメージを使います。


確かにイメージ無しでさっさと手術を終わらすのは整形外科医としてかっこいいのですが、できるだけ治療成績を高めるために、敢えて私は名よりも実を取る方針を貫くつもりです。





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示指MP関節ロッキングの橈側手術

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先日、久しぶりに示指MP関節ロッキングの手術を行いました。
MP関節ロッキングは比較的珍しく、忘れた頃に症例を経験する印象です。


示指MP関節ロッキングの診断のポイントは、MP関節が屈曲位をとり伸展できないのですが屈曲はできることです。徒手整復を試みて成功しなければ手術が必要となります。


ロッキングの原因は中手骨骨頭のvolar lipという骨棘に副靭帯(fan like portion)がインピンジすることで発生します。手術では副靭帯(fan like portion)および骨棘(volar lip)を切除します。


さて、ロッキングは示指の橈側が原因であることがほとんどですが、圧痛点がMP関節橈掌側に
あることで最終確認します。もし、尺掌側であれば尺側を展開しなければならないからです。


アプローチは示指の橈側が原因であれば、側方アプローチが容易です。皮下を展開して伸筋腱膜を末梢に引くと副靭帯(fan like portion)が見えるので起始部で切除します。



volar lip - コピー



今回はvolar lipがよく分かりませんでしたが、上図の中手骨関節面の上にあった副靭帯(fan like portion)を切離するとロッキングが解除されました。


その後はvolar lipと思われる部位の骨をリウエルで切除しました。切除後の画像は下のようになっています。この操作によってMP関節ロッキングが再発することはないと思います。



切除後 - コピー



尚、注意点としてはロッキングを最終段階まで極力解除しないことです。理想的には副靭帯(fan like portion)を切離した瞬間にロッキングが解除されることです。


直視のみでは原因個所を判定することが難しいので、術前からロッキングが解除されている症例に手術を行ってはいけません。


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手の外科の実際                       私の手の外科―手術アトラス








手術に対する恐れの気持ち

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先日、上司の先生と手術についてお話をする機会がありました。
私は手術は嫌いではないし、人並み以上の技量はあると思っています。


しかし、実は手術に対する「恐れ」を常に抱いています。例えば、人工骨頭挿入術は整形外科医にとって非常にメジャーな手術です。私も数え切れないほどの手術をしてきました。


それでも、いざ大腿骨頚部骨折が入院して人工骨頭挿入術の手術予定を入れると、手術の前日はちょっとブルーになります。何となく不安な気持ちを払拭できないのです。


どんなに経験を積んでも、究極的には患者さんの全てをコントロールすることは不可能だからです。術中骨折を併発したり、術後に全身状態が悪化する可能性はゼロではありません。


私がプレッシャー無く手術できるのは、バネ指に対する腱鞘切開術ぐらいのものです(笑)。実際、これだけ毎週のように手術症例があると精神的に休まる暇がありません。


このような手術に対する「恐れ」を常日頃から感じているので、自分は少し病的なのかもしれないな(?)と密かに思っていました。


しかし、上司の先生と雑談していると、なんとその先生も私と同じように手術に対する「恐れ」を感じているとのことでした!更に、卒業年次がもっと上の先生も同様のことを吐露したそうです。


そうか、あの先生まで( ※  私よりも10年以上先輩の医師)、未だに手術に対する「恐れ」があるとは・・・ と目からウロコな気持ちになりました。


私は、精神的に外科医に向いていないと思ってアーリーリタイアを考えた時期がありました。しかし、私のように手術に対する「恐れ」を抱いている先生の存在を知って少し安心しました。


手術に対する「恐れ」をある程度感じることは、それほど異常なことではなさそうです。逆に全く手術に対する恐れが無くなると、慎重さが無くなって事故の原因になるのかもしれませんね。



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