整形外科医のブログ

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手術

どうする? 大腿骨不顕性骨折の治療

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先日、転倒後から右股関節部痛を訴えて歩行不能となった高齢者が入院しました。
単純X線像・CTでは明らかな骨折を認めませんでした。


念のためMRIを施行したところ、転子部にT1WI 低信号・T2WI 等~高信号・脂肪抑制画像では高信号の帯状領域を認めました。


画像上は、bone bruiseもしくは不顕性骨折(occult fracture)を疑います。身体所見では股関節の他動時痛は軽度のみで、少なくとも床上ではADL制限がありません。


一応、骨折だとは思いますが、治療方針をどうするかで悩みました。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (初版)では、occult fractureでは骨接合術を推奨すると記載されています。


しかし、エビデンスは無いとのことでした・・・。ちょっと無責任ですね(笑)。私は、しばらく免荷して仮骨形成を認めた段階で荷重訓練を開始すると、転位なく骨癒合が得られた経験があります。


早期に手術を施行するか否かは考え方次第だとは思いますが、私はoccult fractureで保存治療から手術治療へのコンバート例を経験したことが無いので、今回も保存治療を選択しました。


単純X線像やCTで骨折の有無を判断できない方に、リスクを取って手術を施行するのもどうか? と思ったのです。保存治療で骨癒合することを祈りつつ、慎重に経過観察しようと思います。



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術中に脱皮できるプロテクター!

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透視を使用する骨折手術の際には、プロテクターを着用すると思います。
しかし、プロテクターは結構重いので、長時間着用していると肩が凝ります。


そうは言っても術中の被爆を防ぐためにはプロテクター着用が必須です。必要性は高いものの鬱陶しいプロテクターなのですが、以前勤務していた病院で興味深いモノがありました。


何と、このプロテクターは術中に清潔の状態で脱ぐことが可能なのです。どのようなプロテクターかと言うと下の画像のようなもので、肩ベルト部分をタスキ状にして着用します。


150302




そして、術中透視が不要な段階になったら、清潔ガウンの上からストラップ部分を剥がして床面にプロテクターを落とします。こうすることで清潔のまま、プロテクターを脱ぐことができるのです。


以前の病院では頚椎手術や多発外傷の手術で、このプロテクターを愛用していました。そして術中にプロテクターを脱ぐ行為が習慣化し、今では大腿骨近位部骨折の手術でも脱皮しています。


実は画像のプロテクターは、腋窩部のベルトをハサミで切っています。最初、放射線技師さんには「本当に切るんですか?」とかなり訝しがられました。


しかし、構わずに腋窩ベルトを切って、”術中脱皮用プロテクター”として使用しています。今では放射線技師さんも慣れてきて、「また脱皮ですか」と軽口を叩くようになりました。


特に長時間の手術では、プロテクターを脱皮できることは非常に便利で快適です。プロテクターにハサミを入れるのは若干勇気が要りますが、快適な手術のためにお勧めの小枝情報です。



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小児の尺骨鈎状突起単独骨折

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昨日の午前は、アルバイト先での外来でした。
器械体操中に右手をついて肘関節を強制伸展してから痛いという小学生が初診しました。


単純X線像で、尺骨鈎状突起の裂離骨折を認めました。上腕骨内顆からMCLにかけての腫脹・圧痛はありませんでした。徒手検査でも内側の不安定性を認めませんでした。


尺骨鈎状突起骨折例では前方+内側不安定性をきたす複合靭帯損傷(不安定症)が多いと思いますが、幸い(?)この患児は尺骨鈎状突起裂離骨折のみのようです。


尺骨鈎状突起の転位が大きい複合靭帯損傷(不安定症)症例は手術適応です。手術は前方から展開して、尺骨鈎状突起をHerbert screw等で内固定します。


この手術は術野が深くて神経血管束を避ける必要があるので、私には苦手意識があります。しかし、今回は鈎状突起単独骨折であることと、小学生であるため保存治療を選択しました。


成人の保存治療では、最初の2週間程度は肘関節90度でギプスシーネ固定とします。そして受傷後1週の段階で、支柱付きの肘関節装具の採型を行います。


この装具には伸展制限をつけることができるようにストッパーをオプションで追加します。2週間でギプスシーネを除去してから、この装具を3ヶ月程度常用するのです。


当初は鈎状突起の転位を防ぐために、最初は屈曲45~60度までの伸展制限をつけておきます。段階的に伸展制限を軽減していき、最終的には受傷後6週程度で伸展制限を無くします。


成人で肘関節を長期間固定すると高度の拘縮を残します。可動域を保つには、早期から支柱付き・伸展制限付き装具装着下に積極的な肘関節可動域訓練を行う必要があるのです。


難点は、この支柱付き・伸展制限付き装具が約9万円と非常に高価なことです。自分の健康保険を利用する場合には価格のことも含めた話をするべきだと思います。


今回は小学生なので、多少長い期間外固定を行っても肘関節拘縮を残す可能性は低いです。したがって装具を処方せずに外固定を4~6週間程度施行することにしました。




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10年前の成績表

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今週は地域のラジオ体操のボランティアスタッフとして、毎日7:15に小学校の校庭に通っています。参加する人は小学生およびその保護者が多いです。


今朝もラジオ体操の出欠カードに判子を押していると、知らない保護者の方から「以前、〇〇病院で居ませんでしたか?」と声を掛けられました。


いきなりだったので、私は「???」だったのですが、よくよく話を聞いてみるとナント私が10年前に手術をした患者さんだったのです。


もちろん医師になってから2000人以上は手術しているので10年前の患者さんの名前や顔は全く覚えていませんが、こんなに近いところに自分が手術をした方が居ることに驚きました。


私は政令指定都市に住んでいるので少なくとも人口が100万人以上の街である上に、当時勤務していた病院はかなり遠方に位置します。本当に世の中は狭いものです。


それにしても10年前に受けた手術の執刀者をよく覚えているものだなと思いましたが、私にとっては1/2000でも患者さんにとっては手術を受けることは一生のうちに1回あるか無いかです。


術後経過は良好で現在は何の愁訴も無いとのことで私も嬉しくなりましたが、その方の手術痕を見ていると、やはりどんな手術でも全力で敢行しなければならないと改めて思いました。



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手術は週央の午前中がお勧め!

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Medical Tribune 2014年7月10日号に興味深い記事がありました。
「午後・週末・2月の手術で院内死亡率上昇」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


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ドイツ・Charité-University Medicine BerlinのFelix Kork氏とClaudia Spies氏は、午後・週末・2月に行われた手術では、その後の院内死亡率が高いことを,欧州麻酔科学会で報告した。


Kork氏らは、ベルリンの三次医療大学病院2施設で、2006〜11年に手術を受けた患者21万8,758人について手術が行われた時刻と院内死亡の関連を後ろ向きに解析した。  


午後の手術は、午前中の手術と比べて院内死亡リスクが21%上昇した。週末の手術は、平日の手術と比べリスクが22%高かった。2月の手術は他の月と比べてリスクが16%上昇していた。



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これは興味深い研究だと思いました。確かに自分の実感とマッチしているからです。私は全身状態のあまり思わしくない症例に関しては、できるだけ週央の午前に手術するようにしています。


何となく午後の手術や週末に施行する手術は嫌なので、避けることができるのならできるだけその時間帯は避けようとしているのです。


日本とは環境の異なる外国における21万人もの膨大なデータから解析された結果なので、私が臨床医として日常的に感じているイメージもあながち間違いではなかったようです。


緊急手術や準緊急手術はこの限りではありませんが、ある程度余裕のある予定手術に関してはできるだけ週央の午前中に手術予定としておいた方が無難のようです。




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