数日後に骨折の手術予定の方ですが、既往に金属アレルギーがあります。以前、歯の詰め物を挿入した際に全身に高度の発疹が出現したそうです。
詰め物を抜去後に軽快したので、金属アレルギーとしては本物である可能性が高いです。患者さんにその処置をした歯科医院に素材について問合をしてもらったところ既に廃業していました。
今回使用予定の内固定材料はチタン製です。一般的にチタンは最も金属アレルギーを惹起しにく素材ですが、金属アレルギー惹起の可能性があるプレートを選択するわけにはいきません。
少し悩みましたが、妙案を思いつきました!以前、金属アレルギーのある患者さんにTHAを施行する際に、Smith & Nephew社にインプラントで使用されている金属粉を提供してもらったのです。
インプラントの金属粉さえあれば、簡単にパッチテストを行うことが可能です。早速、器械メーカーに依頼してプレートの金属粉を手配しました。これを背部などに貼付して2日後に判定です。
パッチテストで問題無ければ安心してプレートを使用することができます。属に言う”金属アレルギー”は一次刺激性接触性皮膚炎であることが多いので今まで見て見ぬフリをしていました。
しかしこれからは、金属アレルギーの可能性がある方には、器械メーカーに金属粉を提供してもらって積極的にパッチテストをしようと思います。メーカーから金属粉をゲットするところがポイントです。
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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です
人工股関節全置換術
接触性皮膚炎
昨日の午後は、手根管開放術でした。上肢の手術ではイソジンなどの消毒剤による化学熱傷(俗にいうイソジン焼け)に注意しています。
イソジン焼けは、術前の消毒に用いられることが多いイソジン(ポビドンヨード)やヒビテン(クロルヘキシジングルコン酸)などに対する接触性皮膚炎です。以前に何らかの形で同種の消毒剤を用いたことで感作が成立した患者は、消毒剤使用部に限局して化学熱傷を生じます。
それほど稀では無いのですが、意外と原因が分からない皮膚炎として扱われていることが多い印象を受けます。一度感作が成立した患者さんでは、イソジン焼けを完全に予防することは難しいですが、上肢の手術であれば肩の下にできるイソジンの溜まりに皮膚を触れさせないだけでもある程度の予防効果があるようです。
私は、タオルを肩の下に敷いてイソジンが溜まりにならないようにしています。それでも化学熱傷が発生してしまった場合には、通常の熱傷に準じて治療を行うことになります。ちなみに皮膚に付着したイソジンをハイポアルコールで拭いても、色が落ちるだけでイソジンの成分は皮膚上に残存するので予防効果はありません。
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