先日、骨密度(BMD)について考える機会がありました。
大腿骨でT値(YAM値)71%(-2.5SD)・Z値 89%(-0.7SD)という症例です。


周知のように、同年代で比較する場合にはZ値を参照にします。この数字をみて、同年代の89%程度の骨密度だから平均と比べて著しく劣っているわけではない、と私は考えました。


しかし、他の整形外科医に、上記主張は統計学的に考えると誤りであると指摘されました。Z値も重要ですが、同年代比較では標準偏差(SD)で考える方が望ましいとのことです。


たしかに、集団の中での位置を考える際には標準偏差で評価する方が妥当です。本症例では、Z値 89%に対して標準偏差は
0.7SDです。


この数字は集団の下位約 25%に位置することになります。この結果は、医学的に考えても同年代より明らかに骨粗鬆症が高度といえます。


Z値が 89%なので同年代比で著しく劣るわけではないイメージですが、実際には下位 25%なのです。これからは T値や Z値だけではなく、
標準偏差にも注意を払おう...。







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