昨日の当直中に7歳男の子がスケート中に転倒して右手をついたとのことで救急受診しました。
単純X線像では右前腕遠位1/3での前腕両骨骨折でした。


橈骨は骨膜も破断しているようで骨片間の連続性がありません。末梢骨片は中枢骨片の背側にオーバーラップしており、約1cm程度短縮していました。幸い尺骨の骨折部は連続性が保たれていたので、徒手整復してギプスで保存治療を行うことにしました。


前腕両骨骨折で骨片間の連続性が無い場合には整復固定が難しいです。救急では十分な麻酔を効かすことが難しいため、整復操作も一度でキメなければいけません。また、単に引っ張るだけでは中枢骨片を乗り越えることができないため、末梢骨片を一旦強制的に背屈させて中枢骨片に乗せてから、細かい整復を行いました。


なんとか2/3程度は橈骨骨折部が接触している状態にまで整復できたので、上腕からのギプス固定を行いました。仮骨をはっきり確認できるようになる2週間程度は慎重に経過観察する予定です。


小児であっても前腕両骨骨折では整復位の獲得および維持が難しいため、手術(ピニング)を行うことが多いと思います。以前、出張先の病院で苦労して整復固定したのに、翌週行くと保存治療では不安だからという理由であっさりピニングされていてがっかりしたことを覚えています。


治療方針はドクターそれぞれ違うと思いますが、私は小児に関しては前腕両骨骨折であっても可能な限り保存治療でがんばろうと思っています。


※ 中学生以上の前腕両骨骨折は、ほぼ骨折観血的手術の適応です。