外来で50歳台前半の方の橈骨遠位端骨折の治療をしています。初診時の単純X線像では、さほど橈骨背側皮質は粉砕しておらず、保存治療で充分と判断しました。
最初の2週間は上肢ギプスを施行して、受傷後2週の時点で特に問題が無かったため、受傷後3週目からは半肢ギプスに変更しました。
そして、先日受傷後4週で単純X線像を施行したのですが、側面像で橈骨遠位端のdorsal tiltが進行していました。どうも橈骨遠位端の背側皮質が圧潰したようです。
私の中では、受傷して2週間以上経過すると仮骨が形成され始めるので、比較的若年者であれば転位は増悪しないという印象がありますが、どうも全てに当てはまるわけでは無さそうです。
もう一度、受傷時の単純X線像を見直しましたが、やはりそれほど粗鬆骨ではなく橈骨遠位端の背側皮質も粉砕していませんでした。しかし、受傷機転は比較的軽微な外傷です。
このような症例を経験すると、比較的若年者であっても比較的軽微な受傷移転にも関わらず骨折している場合には、手術療法が望ましいのではないか? と思うようになりました。
整形外科の日常診療において、橈骨遠位端骨折はありふれた外傷ではありますが、上肢機能の可能な限りの温存という観点からは、まだまだ奥が深いなと改めて感じました。
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AO法骨折治療
橈骨遠位端骨折
今日の午前は外来でした。
30歳台の方が転倒して手関節の痛みを主訴にして初診されました。
単純X線像では橈骨遠位端骨折でしたが骨質が良好で転位も少なかったため、軽く徒手整復してから前腕から手部までのギプスシーネ固定を施行しました。
橈骨遠位端骨折に対する外固定に際しては、MP関節をフリーにすることが重要だと言われています。確かにギプス固定に際しては、私もMP関節をフリーにすることは重要だと思います。
しかし、橈骨遠位端骨折に対してギプスシーネ固定を施行する場合、MP関節をフリーにするとギプス固定と違って背側に固定性が無いので、骨折部の安定性を保てない可能性があります。
単純X線像でも、MP関節を完全にフリーにするとかなり固定範囲が短くなってしまうことが確認できます。このため私はギプスシーネ固定に限っては、MP関節まで固定範囲を広げています。
正確には基節骨基部ぐらいまでギプスシーネ固定するのですが、幸いMP関節拘縮で困ったことはありません。ギプスシーネ固定に関してはMP関節まで固定しても良いのではないでしょうか?
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今日の午前は、アルバイト先での外来でした。
私は極力リスクを減らすために、不安定性の無い骨折ではギプスシーネを多用します。
昨日も橈骨遠位端骨折の方にギプスシーネを巻きました。ギプスシーネといってもそれなりに骨折部の固定性を得るために、私はやや大きめのサイズのシーネを選択します。
昨日はオルソグラスの4号を選択しました。やや大きめのギプスシーネを選択すると骨折部の固定性は向上しますが、そのままではギプスシーネが母指MP関節に掛かってしまいます。
母指MP関節をフリーにする工夫として、私はギプスシーネを巻く前にファイバーグラスの母指側1/3程度を折り紙のように掌側に折り返すようにしています。
こうすることで綺麗に母指MP関節がフリーになります。ファイバーグラスが固まってから、いちいちギプスカッターなどでギプスシーネを細工をするのは非常に面倒です。
このような小さな工夫を積み重ねることで、外来業務の迅速化・リスクヘッジを同時に行っています。こういうと聞こえは良いですが、要はラクをしたいだけです(笑)。
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今日の午前は、橈骨遠位端骨折に対する関節内骨折観血的手術でした。
この方は、なんと御歳95歳(!)の方でした。
10日前に転倒して右手を付いて受傷されたのですが、単純X線像でかなり粉砕した骨折でした。骨折型だけを考えると手術適応なのですが、超高齢者なのでギプス治療を選択しました。
しかし、受傷後1週間で再診してもらうと、単純X線像で高度の短縮と再転位を認めました。これは話にならないなと思いながら、「保存治療の限界です」という状況説明をしました。
家人(お孫さん=40歳台)と一緒に話を聞いていただきました。利き手の機能が著しく障害される可能性が高いことを説明すると、ナント手術を希望されるではないですか!
私は医師の説明義務に則って、保存治療では著しい機能障害を残す可能性が高いと申し上げただけで、決して手術治療を勧めたわけではありません・・・。
しかし、話しぶり・理解力ともしっかりしており、自分の意志で手術を希望されました。ならば仕方無いと術前検査を施行したところ、ほとんど異常所見が無いという驚異的な結果でした。
帰宅の際に、この方とお孫さんの歩いている姿を見かけました。後ろ姿だったのですが、お孫さんと同じペースで背筋を伸ばして杖も使用せず普通に歩いています。
どこからどうみても95歳の歩容には見えません。この方は、文字通り”生”のスーパーエリートであることを理解しました。手術は掌側プレートを使用して問題無く終了しました。
今回のようなケースはめったに無いことでしょうが、年齢だけで治療方針を決定してはいけないことを認識するきっかけになりそうです。
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AO法骨折治療
昨日はアルバイト先で、すべり台から転落した小学生の児童を診察しました。
手関節が変形しており、ひとめで橈骨遠位端骨折であることがわかりました。
単純X線像の側面像では橈骨遠位骨片が完全に背側へ転位しており、骨皮質同志の連続性が全く無い状態でした。橈骨は約10mmほど短縮していました。
このような症例で徒手整復を行うには、教科書的には牽引を掛けながら骨折部を強制伸展して、まず骨折部の接触を得てから整復を行うことになっています。
しかし徒手整復が難しい症例が多く、保存治療(=徒手整復)にこだわりすぎると骨折部に高度の腫脹をきたしてしまいます。私はこのような症例では「引き際」が重要だと考えています。
昨日の児童も30秒ほど徒手整復を試みましたが、橈骨遠位骨片が全く中枢側に乗りそうに無かったので、あっさり徒手整復を諦めました。
まだ経験が浅い頃は、徒手整復できないことは「自分の実力が足りないためであり、非常に恥ずかしいこと」という気持ちがあったので、とことんまでがんばったモノです。
しかし、全身麻酔下にintrafocal pinningを施行した方が、患児の苦痛もなく組織への侵襲も少ないです。最も重要なことは患者さんの利益なので、ベストの治療法を見極める必要があります。
実際、昨日の症例は全身麻酔下に1.5 K-wireでintrafocal pinningを施行しましたが、全く歯が立たなかったので1.8 K-wireにサイズアップしてなんとか整復できました。
このように、引き際を見極めてあっさり引けることの方が、保存治療に拘って患者さんに要らぬ苦痛を与えるよりもスマートではないかと思っています。
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