痛風なのかその他の炎症性疾患なのかの診断が難しいケースにときどき遭遇します。痛風発作の際には尿酸値が低下していることがあるため、尿酸値も参考にしかなりません。


そのような際にエコーを用いて関節内を観察すると、痛風か否かの診断が可能なことが多いです。痛風発作の際には、関節内に尿酸ナトリウム塩結晶が沈着します。


無エコー像の硝子軟骨の深層に軟骨下骨皮質が高エコー線状像として観察され、硝子軟骨表層に沈着した尿酸ナトリウム塩結晶も高エコー線状像として観察されます。


硝子軟骨を挟んで深層に軟骨下骨皮質・表層に沈着した尿酸ナトリウム塩結晶がそれぞれ高エコー線状像を形成する所見をdouble contour signと言います(下図の矢印)。


double contour sign



( 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 瀬戸洋平先生の リウマチ科外来における関節超音波検査の有用性 から抜粋 )



double contour signは、尿酸ナトリウム塩結晶が沈着する痛風発作に特異的な所見です。そして、痛風の診断で有用なだけではなく、高尿酸血症の治療効果の判定にも有用です。


関節内の尿酸ナトリウム塩結晶は、血清尿酸値を6mg/dl以下に抑えることで徐々に消失します。血清尿酸値では結晶消失を直接確認できませんが、エコーを用いることで観察可能です。


経時的に関節内尿酸ナトリウム塩結晶沈着を示すdouble contour signを観察することにより、安定期における高尿酸血症の治療効果の判定にも有用なのです。



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