整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

治療

mucous cyst(粘液嚢腫)の治療

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昨日の夜診で、小指のmucous cystの方が受診されました。
日本語では粘液嚢腫と言うそうですが、日常診療では" mucous cyst "と呼ぶことが多いです。


mucous cystは手指や足趾のDIP関節由来の嚢腫です。ほとんどの症例で末期のヘバーデン結節を併発しており、関節症症状の一種と言っていいと思います。


DIP関節由来ではありますが、穿刺すると漿液性の関節液ではなくガングリオンのようなゼリー状の液体を吸引することが多いです。


ときどき、mucous cyst を”イボ”だと思って、膨れてきたら針で点いて内容物を出している患者さんが居るようですが、このようなことを繰り返している化膿性DIP関節炎になってしまいます。


さて、治療ですがmucous cystを切除しても高率に再発すると言われています。考えてみれば当たりまえで、原因であるDIP関節のOAはそのままで、皮膚表面だけ切除しても無駄なのです。


成績が悪いので各種の切除術が考案されていますが、最も確実なのはDIP関節固定術です。mucous cystの原因を無くすわけですから最も成功率が高いです。


しかし、現実問題としてmucous cystに対して手術を施行することはほとんど経験がありません。これは半年ほど穿刺を続けていると自然に発生しなくなる症例がほとんどだからです。


mucous cystは末期のヘバーデン結節に併発することが多いですが、OAが更に進んでDIP関節の可動域が小さくなると、mucous cystは自然に発生しなくなる印象です。


つまり、mucous cystはヘバーデン結節の臨床経過における、最後の残り香的な病態ではないか? と個人的には思っています。




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足趾にもあった!マレット指

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昨日の夜診で興味深い患者さんを診察しました。
この方は屋内を歩いていて段差につまずき、足趾を強制底屈して受傷されました。


足趾を観察すると、第2足趾のDIP関節の腫脹と発赤を認めます。更に良く観察すると僅かですが、DIPのみ軽度屈曲しており、手指で言う "マレット " 変形をきたしていました。


「んん?」と思って足趾の自動運動をしてもらいましたが、やはり第2足趾のDIP関節のみ自動伸展不可でした。念のため健側足趾を観察しましたが、やはり完全伸展可能でした。


単純X線像では明らかな骨折を認めなかったため、第2足趾の腱性マレット趾と診断しました。私自身は初めて診察するのですが、調べてみると全然珍しい外傷ではないようです。


足趾をぶつることは日常茶飯事なので、ありふれた外傷なのでしょう。しかし何故か、マレット骨折(変形)が足趾にも発生するという考えが、私の頭の中から抜け落ちていました。


さて治療ですが、今回は骨折ではなく腱性マレットであることが問題となります。手指の場合、腱性マレットはスプリントで治療しますが、足趾の場合には伸展位を保ち続けることが難しいです。


足趾は短いためスプリントが充分に機能しないことが多いです。更に入浴時に、手指のように健側手指で伸展し続けることが難しいため、保存治療が上手く施行できない可能性が高いです。


以上のことを患者さんに説明した上で、スプリントもしくはシーネによる保存治療を施行するかどうかを相談しました。結局、ご高齢でもあり、このまま何もせず経過観察することになりました。


しかし、本当にそれで良かったのか私自身も確証を得られません。何か良い治療方法や治療方針があれば、是非教えていただきたいものです。



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こむら返りの治療どうしてますか?

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昨日の午前はアルバイト先で外来をしていました。
整形外科外来をしていると、”こむらがえり”を診察する機会が多いです。


こむらがえりの原因は諸説ありますが、詳細な点は未だに良く分かっていないようです。下肢に好発するので整形外科を受診しますが、本来的にはあまり関係ない科だと思っています。


こむらがえりを来たす疾患として、糖尿病・肝硬変・腎不全・閉塞性動脈硬化症・電解質バランス異常等がありますが、私達が診る頻度は腰部脊柱管狭窄症が最多ではないでしょうか。


上記を踏まえて、私は下記のようなアルゴリズムで治療を行います。尚、内科的な疾患は下記①②の治療が不応の時点で精査を開始しています。


① 原因に関わらず、まずタウリンを処方
② タウリン不応例では、芍薬甘草湯を処方
③ タウリン・芍薬甘草湯不応例で、ベースに下記疾患がある場合

  ・ 腰部脊柱管狭窄症・閉塞性動脈硬化症 → プレタール
  ・ 糖尿病 → キネダック


上記の他にも、ダントロレンやミオナールを投与するケースがあるようですが、私は経験がありません。上記の①~③で80%程度の患者さんの症状は軽快する印象です。


あまり、こむらがえりの治療で難渋した経験はありませんが、タウリン・芍薬甘草湯でダメなときにはプレッシャーがかかります。どなたか良い治療方法が御教示いただけないでしょうか?




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日本の骨粗鬆症治療は遅れている?!

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先日、同じ病院に勤めている上司と焼肉に行ってきました。
お互い家族同伴だったのですが、こちらのチビ軍団が騒々しくて大変でした(笑)。


さて、焼肉を食べながら骨粗鬆症治療の話題になったのですが、上司曰く日本の骨粗鬆症治療は欧米(特に北欧)と比べて遅れているとのことです。


最近ではドラッグラグ(drug lag)も緩和されており、欧米でしか使用できない薬剤は少ない印象なので、どのような点が遅れているのか訊いてみました。


曰く、日本では大腿骨近位部骨折の手術を施行してもリハビリテーションが終了したら、そのまま骨粗鬆症の薬剤を投与しないまま何となく治療が終了してしまうことが多い点だそうです。


病診連携の絡みもあって確かにそういう症例が多い気がしますが、次に上司から聞いた言葉が衝撃的でとても印象に残りました。


「心筋梗塞後に高血圧の治療をしない循環器内科医はまず考えられないのに、大腿骨近位部骨折後に骨粗鬆症の治療をしない整形外科医が多いのはいただけないなぁ」


まさに、おっしゃるとおりです・・・。何となく高齢者の大腿骨近位部骨折は突発的な事故のイメージがありますが、ベースに骨粗鬆症による骨脆弱性があることは紛れも無い事実です。


明日から心を入れ替えて、高齢者の骨折後の患者さんには、ひとりも漏らさずに骨粗鬆症治療を施行したいと思います。



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痛風ではソフトドリンクも制限を!

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Medical Tribune 2014年3月6日号に興味深い記事がありました。
「ソフトドリンクは高尿酸血症の危険因子」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


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高尿酸血症・痛風は日々の生活習慣が大きく関係する疾患で,特に飲酒や肥満が主な危険因子であることは広く知られている。近年,果糖の摂取と尿酸値上昇との関連性が指摘されている。聖路加国際病院クリニック予防医療センター管理栄養士の小倉祐紀子氏は「ソフトドリンクの摂取は高尿酸血症の危険因子である」と報告した。


果糖は肝臓の酵素(フルクトキナーゼ)によって代謝され,フルクトース-1-リン酸になるが,その際,ATPからリン酸を奪うためATPの分解が進み,その結果最終代謝産物として尿酸値が上昇する。一般にソフトドリンクに含まれる純粋な果汁は少ないが,果糖ブドウ糖液糖という異性化液糖(ブドウ糖の5割以上を果糖に変えたブドウ糖と果糖の混合液糖)として含まれている。  


例えば,ある果実色飲料500mLには果糖が32〜57.6g含まれており,一方果物ではりんご1個(250g)当たり20.2g,みかん1個(100g)当たり4.2gである。ソフトドリンクの摂取は,異性化液糖として大量の果糖を一気に摂取することとなり,尿酸値上昇につながると考えられる。  


小倉氏らは,同院の人間ドック受診者のうち,高血圧,脂質異常症,糖代謝異常,高尿酸血症・痛風の薬剤加療中の者を除く3万2,170人〔男性1万4,027人(平均年齢49.5±11.6歳),女性1万8,143人(同48.7±10.8歳)〕を対象として,血液生化学・尿検査値および生活習慣問診から得られた結果を基に,ソフトドリンク摂取量と尿酸値との関係について横断研究を行った。  


スポーツ飲料を含むジュース,果汁・野菜ジュース・炭酸飲料の合計を1日のソフトドリンク摂取量として計算した。ソフトドリンク摂取量と尿酸値の間には正の相関が認められ,重回帰分析では性(男性),年齢,体重,血清クレアチニン,尿pH,アルコール摂取量に加えソフトドリンク摂取量が尿酸値上昇に関わる独立した危険因子であることが示された。


同氏は「今回の研究から,果糖を含むソフトドリンクは高尿酸血症に関する独立した危険因子であることが示された」と結論付けた。

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外来で高尿酸血症の患者さんの治療を行う機会は非常に多いですが、現実的な食事療法の柱はカロリー制限および飲酒制限だと考えていました。


高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは「1日のプリン体摂取量が400mgを超えないように高プリン食を控える」とありますが、現実的には実行困難なことが多いからです。


しかし、カロリー制限および飲酒制限だけではなく、果糖を含むソフトドリンクも制限するべきであることは勉強になりました。明日からの外来で活用したいと思います。



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