整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

治療

痛風発作時の血清尿酸値が正常の方の診断・治療をどうするか?

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昨日の夕方は、近くのクリニックで夜診をしていました。
ちょうど60歳台の男性が左母趾基部の痛みで受診されました。


身体所見から痛風発作の可能性が濃厚なのですが、血清尿酸値が6.0mg/dLしかありませんでした。この方は半年前にも同様の発作を発症しており、その際も7.0mg/dL未満だったようです。


このような発作時に血清尿酸値が正常範囲内の方は意外と散見します。高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版の治療のフローチャートを見ると、血清尿酸値が7.0mg/dL以上がスタートラインなので、入口の段階で薬物治療の適応外となってしまいます。


しかし、発作を繰り返すので何とかして欲しいとのことだったので、今回の炎症が鎮静化した時点で、再度血液生化学検査を施行することにしました。


痛風発作の最中には、サイトカインの影響で腎臓からの尿酸排泄が亢進していることがあります。つまり、普段は高尿酸血症なのに、痛風発作時のみ血清尿酸値が正常化するのです。


このような方は非発作時の血液生化学データを調べて、本当に高尿酸血症ではないのかを確認する必要があります。そして高尿酸血症なら迷わず治療開始となります。高尿酸血症の診断・治療も意外と奥が深いですね(笑)。




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           骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン〈2011年版〉



                      

           高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版

PTH製剤→BP製剤の方が骨質改善効果が高いそうです

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先日、東京大学整形外科 川口准教授の骨粗鬆症治療薬選択に関する講演を拝聴してきました。海外の骨粗鬆症関係の文献のレビューが講演の題材となっています。川口先生の視点から、骨粗鬆症治療のアルゴリズムを提示されていました。


実は1年ほど前に私の義母(70歳台前半)が第1腰椎圧迫骨折を受傷しました。受傷機転は重量物を持つという軽微な外傷でした。脆弱性骨折であり問答無用で薬物治療開始の適応となります。


椎体骨折の既往が無く、今回が初めての骨折でした。椎体骨折の場合には、最初の骨折をいかに脊椎アライメントを整えて治療するかが再発を防止する上で重要なポイントになります。


費用負担を考えないのであれば、フォルテオのようなPTH製剤で最初の2年間で骨質の改善をはかり、その後ビスフォスフォ製剤(BP製剤)で改善した骨質を維持するという治療戦略がベストであると考えています。


ただ、明白なエビデンスを持っていなかったので、「常識的に考えたらこれが現時点でベスト」と言って治療するよう仕向けていました。しかし、川口先生はBP製剤→PTH製剤よりも、PTH製剤→BP製剤の方が骨質改善効果が高いというデータを示されました。


エビデンスとしても、PTH製剤で最初の2年間で骨質の改善をはかり、その後BP製剤で改善した骨質を維持するという治療戦略が有効であるというデータを見て安心しました。




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小児上腕骨外顆骨折のピットフォール

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今日の午前は、外来でした。
1週間前に椅子から転落して上腕骨外顆骨折を受傷した3歳児の保存治療を施行しています。


整形外科医であれば正確な単純X線正面像をみれば、一目瞭然で骨折の有無が分かりますが他科や整形外科としての経験が浅い医師では見逃しがちな骨折だと思います。


痛がって肘関節を完全伸展できないケースが多く、転位が1mm程度の場合には母床と重なって単純X線正面像で骨折部が分からないこともあります。


ちなみに転位1mmは保存治療可能な限界の転位です。現在治療中の児も受傷後1週目の今日の単純X線正面像はやや肘関節屈曲位で撮影されたため骨折が分かりませんでした。


経験を積んだ整形外科医であれば初診時の局所所見をみれば外顆骨折の見当がつきますが、完全伸展できていない単純X線正面像には注意が必要です。


上腕骨外顆骨折を疑うがどうしても肘が伸展できない場合には、前腕をやや浮かせた状態で上腕に合わせて正面像を撮影すればよいと思います。


治療は2mm以上の転位で手術適応です。1mmの転位の場合には3-5日に一度は単純X線を施行して転位の増悪がないことを確認する必要があります。




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出産後の手根管症候群

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今日の午前は、外来でした。
梅雨なのに雨が降らないので、残念ながら外来は盛況です(笑)。


出産後1ヵ月の方が、両手指(母指~中指橈側)のしびれを訴えて受診されました。問診だけで整形外科医なら「手根管症候群」の診断がつくと思います。


通常、妊娠中や出産後の手根管症候群は、できるだけ患側を使わないようにさえすれば経過観察のみでも軽快する場合がほとんどだと思います。


しかし、今日の方は出産後もどんどん症状が強くなるとのことでした。母指球の萎縮は無いので緊急性は無いのですが、授乳中のためあまり積極的な治療ができません。


リリカ投与はもちろん不可ですが、赤ちゃんに塗り薬が付いてしまう可能性がある(?)とのことで、
ODT療法にまで難色を示します。少し神経質過ぎる気もしますが、治療を強要するわけにもいきません。


この方が神経質になっている理由をよくよく訊いてみると、ネットで産後の手根管症候群を調べてみたら、いろいろな情報が錯綜していたようで不安になったそうです。


確かにネットで「手根管症候群 出産」で検索すると、大丈夫なのか??と思いたくなるような情報がたくさんありました。何故かカイロプラクティックのHPが上位表示されていたりと、怪情報満載です・・・。残念ながらまともな整形外科医による情報はほとんどありませんでした。


余談はさておき、妊娠中や産後の手根管症候群は、ホルモンバランスの変化で手根管内に浮腫性変化が生じることで発生しますが、赤ちゃんを抱っこし過ぎることも一因だと言われています。


一般的に授乳中の方には手関節の安静を図ることを目的にシーネ固定をすることで治療を行いますが、妻が育児真っ最中の管理人的にはなかなか実践しづらい治療方法であることも理解できます・・・。なかなか授乳中の方に治療するのは難しいですね。




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敗血症性ショックの初療についてのまとめ

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TKA術後でリハビリテーション中の患者さんが敗血症を発症しました のつづきです


敗血症性ショックの初期では大量輸液を行うことが推奨されるようになっています。Surviving sepsis campaign guidelinesでは、30分かけて500-1000 mLの晶質液を、あるいは300-500 mLのコロイド液の輸液負荷をして、平均動脈圧70 mmHgを目標に循環動態の回復をはかることを推奨しています。


私が施行したのは晶質液を500 mL/hペースだったので、もう少し投与量を増やしても良かったのかもしれません。ただし、深夜帯で、全身状態の悪いときにCVラインを確保する余裕が無かったため、中心静脈圧を測定できませんでした。中心静脈圧15 mmHgを超えないようにモニタリングできれば、もう少し大量の輸液を施行できたかもしれません。


次に、warm shockの状態を改善するべく、昇圧剤の投与が必要になります。一般的にはカタボンHiが、滴数コントロールが分かりやすいため第一選択となりますが、warm shockの状態では昇圧効果は不十分なことが多いようです。カタボンHiを9μg/kg/min以上投与しても血圧を維持できないようなら、α作用の強いノルアドレナリン投与を開始します。


ちなみに、カタボンは9μg/kg/min以下ではβ1作用が強く、カタボンの低流量持続投与は臓器保護作用があると言われていました。しかし麻酔科の先生によると最近ではカタボンの低流量持続投与による臓器保護作用に否定的な論文が多いらしいです。そうは言っても、ノルアドレナリン単独投与ではα作用が強く出すぎるため、β1作用を期待してカタボンHi+ノルアドレナリン投与が一般的なようです。


無事、敗血症性ショックを乗り切ってもまだ安心できません。血圧が安定してくるとサードスペースに逃げていた大量の水分が血管内に戻ってくるため、心不全をきたすことがあります。血圧をみながら利尿をかける必要があるのです。蛇足ですがbacterial translocationを予防するため、ショック状態が軽減した後には可能な限り早期から経腸栄養を検討するべきとのことでした。





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       総論   (診察・診断、治療全般、骨折・外傷、周術期管理)
 

       各論   (手の外科、肩関節、脊椎、股関節、膝関節、足の外科、腫瘍)

       その他 (関節リウマチ、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症、専門医試験)



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