日本医師会雑誌からの抜粋です。
外来治療の可能な感染症(第141巻。第5号 987-990)


感染症治療において持つべき大事な観点

1. 抗菌薬使用下では、問題は耐性菌への交代現象が起こるかどうかではなく、
   いつそれが起こるかである

2. 抗菌薬を不適切使用すると、たとえその患者を治せても、
   その患者の次回や次の患者を耐性菌によって治りにくくしうる。

3. 抗菌薬は限り有る資源で、使えば使うほど耐性菌が増える。



外来での注射抗菌薬による治療

1. 基本的に24時間ごとの投与でよい抗菌薬を使用することになる。

2. 24時間ごとの投与でよい注射抗菌薬はセフトリアキソン(ロセフィン)や
   レボフロキサシン(クラビット)であるが、
    セフトリアキノンは第3世代セフェム系であり、
   レボフロキサシンはレジオネラ肺炎などに限られる。

3. したがって実地臨床上は外来で注射抗菌薬による治療を行うことはほぼない。



最後の3番に関してですが、外科系の実地臨床においては、蜂窩織炎が高度のため内服抗菌薬では効果不十分だが、社会的に入院できない方が多いです。


おそらく著者が内科系の先生なのでしょうね。私達が一番判断に苦しみ、やむを得ずロセフィンを投与せざる得ない状況に対する答えを期待したのに、肩透かしにあって残念です。




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