今日の午前はアルバイト先での外来でした。70歳台の女性が頚部から両肩関節部の痛みで1ヵ月ほど通院しています。単純X線像上では特記する所見が無く、肩関節周囲炎と診断しました。
肩関節周囲炎の治療では鎮痛が重要なので、各種の消炎鎮痛剤投与や肩関節注射(肩峰下滑液包内注射も含む)を施行しましたが全く効果がありません。
おかしいな?と思ってトラムセットを投与しました。3錠まで増量するとそれなりに痛みが軽快したので様子をみていましたが、また痛みが増悪したとのことで本日受診されました。
高齢の患者さんでトラムセットも効かないような保存治療に抵抗性の項部~肩痛は、リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica; PMR)であることがあります。
思い切って採血したところ、ESRが50mm/hと異常亢進していました。PMRの診断基準にはいくつかありますが、私はリウマチ病学テキストに掲載されている診断基準を使用しています。
1. 両側の肩甲骨の痛み、またはこわばり感
2. 発症後2週間以内で症状が完成
3. 発症時の赤沈値が40mm/hr以上
4. 朝のこわばりが1時間以上
5. 年齢が65歳以上
6. 抑うつ状態あるいはさらに体重減少
7. 両側上腕筋の圧痛
上記のうち3項目以上を満たすもの、もしくは1項目以上を満たし臨床的にあるいは病理的に側頭動脈に異常を伴うものをprobable PMRとします。
今回の方は診断基準の4項目を満たしたのでPMRと診断しました。早速、プレドニン(PSL) 10mgから投与を開始しました。PMRであれば劇的に症状が軽快するので次回診察が楽しみです。
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