先週末に救急で指先に重量物が落下して指が潰れたという方が受診されました。
単純X線像で末節骨の粉砕骨折を認めました。
このような指尖部損傷では高率に爪脱臼と末節骨開放骨折を併発します。この方も例に漏れず両方とも認めましたが、爪に関しては末梢側も剥がれており、ほぼ指から剥離していました。
今回のように爪床から爪甲が完全に剥がれている症例であっても、爪床の保護と骨折部の安定性を保つために、爪甲は可能なかぎり温存する方が望ましいと思います。
今回は上記のように末節骨が粉砕していて骨折部は非常に不安定な状態でした。爪甲も爪床から完全に剥離していたのですが、シーラー法および爪周囲の縫合を組み合わせて固定しました。
爪の脱臼を整復して周囲の軟部組織に縫合するだけで、このように末節骨骨折もいい感じに整復固定されました。爪甲が完全に剥がれていても、これだけキレイに整復することが可能です。
外科医師は爪周囲炎の治療の影響のためか、すぐに抜爪する傾向にあります。しかし指の機能温存や爪の美容面の観点から、整形外科医なら爪温存を心掛けるべきでしょう。
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