整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

禁忌

冠動脈ステントはステンレスなのか!

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いきなり自分の知識の無さをさらけ出すタイトルで恐縮です...


先日、腱板損傷疑いの 70歳台の患者さんが初診されました。外傷歴はないですが、drop arm sign陽性です。そして頚部から上腕の疼痛・しびれも併発しています。


年齢から考えて非外傷性の腱板損傷を最も疑ったのですが、頚椎症性筋萎縮症である可能性も全否定はできません。そこで、まずは肩関節MRIを施行することにしました。


ところが、20年前に心筋梗塞で冠動脈ステント留置の既往歴がありました。留置後3カ月以内のMRIは避けた方が無難です。しかし、20年前のステントは大丈夫なのでしょうか???


調べてみると、日本では1994年から保険適応のもと、冠動脈ステントが使用されています。材質はステンレスであり、MRIもバッチリ対応しているとのことでした。


私は、冠動脈ステントはMRI対応なので、てっきり材質がチタン製だと思っていました。ところが、日本への導入時からステントの材質はステンレスのようです。


なるほど、それなら冠動脈ステントに関しては、留置後3カ月以内でなければどのような症例であっても MRIは対応していることになります。勉強になりました。





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MRIと刺青

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昨日の午前はアルバイト先で外来をしていました。
転倒してから背部痛が続く80歳台の方が受診されました。


単純X線像では明らかな新鮮圧迫骨折を認めませんが、胸腰移行部の叩打痛が著明で現病歴と身体所見からは脊椎圧迫骨折である可能性が高いと判断しました。


しかし、脊椎圧迫骨折として治療を開始するには、やはり客観的な証拠が必要です。そこでMRIを施行しようとして問診をとったところ、刺青があることが判明しました。


腰部には無かったのですが、肩に立派な”刺青”がありました・・・。少しMRIを施行するか否かを考えましたが、メリットとデメリットを勘案してMRIを施行することにしました。


今回は青色系統の刺青だったので、臨床上は刺青による皮膚熱傷の可能性は低いと判断したのです。そして、ご本人の同意の上でMRIを施行することにしました。


 一般的には特に朱色系は、熱傷や変色の危険性があり勧められません。しかし、私は背中全面に刺青のはいった頚髄損傷の方にやむを得ずMRIを施行したことがあります。


この際には幸い熱傷や変色は併発しませんでしたが、MRIが1.5テスラだったからかもしれず、2~3テスラではどうなるかは分かりません。


脊髄損傷等の生命に関わる場合には刺青があってもMRIを施行しますが、その他の場合には施行するべきかどうかを悩んでしまいます。


今回の背部痛が続く80歳台の方はご本人の同意の上でMRIを施行しましたが、同日に受診した腰椎椎間板ヘルニア疑いのアイラインのはいった30歳台女性はMRIを希望されませんでした。


基本的にはMRIを施行するメリット・デメリットを勘案した上で、施行する場合には御本人の同意を得るというのが現実的な対応方法だと思います。



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「禁忌」と「禁止」の違い

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添付文書で人工呼吸管理下の小児への投与が禁忌とされているプロポフォールが使用されて、患児が死亡したという東京女子医科大学病院事件の報道が相次いでいます。


これを受けて日本集中治療医学会は、会員向けに理事会声明と国内の学会認定施設における小児集中治療患者への使用の実態調査を公表しました。


これによると、鎮静を目的とした小児へのプロポフォール使用は、全体の19%の施設(20施設)で行われており、東京女子医科大学病院の事例は決して稀なことではないという結果でした。


小児の集中治療における人工呼吸中の鎮静を目的としたプロポフォール使用が禁忌とされている理由は、持続投与による致死的合併症が成人に先行して報告されたことが原因だそうです。


同学会は、声明の中で「禁忌」とは「禁止」とは違い、医師の裁量を法的に束縛する用語ではないと説明しています。このニュースを知って、心の中のモヤモヤがスッキリしました。


私には小児へのプロポフォール使用の是非は分かりませんが、「禁忌」という言葉が独り歩きして東京女子医大への過剰なバッシングが発生している可能性があると思います。


整形外科領域ではMTXの「禁忌」事件が有名です。ご存知のように某製薬会社が保身のために医学的根拠を示さないまま勝手にMTXの「禁忌」事項を追加してしまいました。


つまり私達医師サイドから見ると、「禁忌」とは製薬会社が自己保身のために使う免罪符に過ぎず、本当に臨床的・学術的に正しいのかは分からない項目です。


しかし、医学界の実情を知らない一般の方の間では、「禁忌」という字面の禍々しさのため、あたかも「禁忌」=「禁止」であるという誤った概念が独り歩きしているのが実情だと思います。


膨大な薬剤情報の全てをリアルタイムに適正化することは至難の技だと思いますが、医学的根拠の低い「禁忌」事項を放置しておくことは、医師にも患者にも不幸なことだと思います。



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妊婦へのシップ処方は慎重に!

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今日の午前は外来でした。月曜日の外来にも関わらず、めずらしく患者さんが少なかったので、空き時間に日本医師会雑誌を読んでいました。


すると、雑誌の最後の方の医薬品・医療機器等安全性情報欄に、ケトプロフェン(外皮用剤)の妊娠中における使用についての記事が載っていることに気付きました。


要約すると、ケトプロフェンのテープ剤貼付で胎児動脈管収縮や羊水過少症の発現例が何例か報告されたため、平成26年3月から妊娠後期の女性への使用が禁忌になったとのことでした。


私の勤めている病院ではレイナノンテープが採用なのですが、MRの方から一切情報提供がありませんでした。そもそも後発品メーカーなので、MRなど存在しないのかもしれません・・・。


しかし自社製品に禁忌事項ができたにも関わらず、自社のホームページと添付文書のみでしか情報発信していないことは、患者さんの安全を守る上で非常に問題があると思います。


たまたま私は日本医師会雑誌を読んでいたから知ったものの、通常の診療でケトプロフェンのテープ剤に禁忌事項が追加になったことを知る手段など皆無だと思います。


法的には薬品メーカーに添付文書の改定以外で、ユーザーである医師に対して積極的に自社製品の不具合を伝える義務は無いのかもしれません。


しかし先発品メーカーが苦労して開発した薬剤の美味しいところだけタダ乗りした上に、アフターサービスを積極的に行わない売りっぱなしの企業姿勢には疑問を感じざるを得ません。


こういう点からも、後発品メーカーの利益至上主義(売りっぱなしで、お金がかかる薬剤情報の提供など知ったことではない)および後発品の品質に対する不信感をどうしても拭えないのです。



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腱鞘切開術でE入り大丈夫?

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昨日の午前は母指狭窄性屈筋腱炎(ばね指)に対する腱鞘切開術を施行しました。私は腱鞘切開術に際してターニケット無しで局所麻酔剤にエピネフリン入りキシロカインを使用しています。


今まで特に問題は起こらなかったのですが、昨日の方は手術終了してもエピネフリンによる血管収縮作用が持続していました。母指基部から先端までが蒼白なのです。


パルスオキシメーターを母指に装着しましたが、全く脈波を拾うことができません。既に局所麻酔を施行してから30分程度経過していたので、さすがの私も少し焦りました。


使用したエピネフリン入りキシロカインは約3ccで掌側の術野周囲のみでした。しかし母指尖端から基部まで背側も含めて全体が蒼白です。そしてこの方はかなりのヘビースモーカーでした。


ここまで広範囲に末梢血管が収縮するのは初めての経験です。局麻後1時間してようやく指先の循環状態も改善してきました。今回のケースを受けて、大学の手の外科医に確認しました。


すると、そんなことはよくあるけど大丈夫!というコメントでした。そうなんですね・・・。ただ、その先生がおっしゃられるには、添付文書上は【禁忌】であることが問題とのことでした。


欧米の手の外科のガイドラインでは、エピネフリン入りキシロカインの使用を推奨しているそうです。しかし、日本ではアストラゼネカのDIにしっかりと禁忌と記されています。


日本手の外科学会がアストラゼネカ社にDIの記載の変更を要望していますが、未だに禁忌事項から削除されていないそうです。臨床現場の人間にとしては困った状態が続いています。


そのような学会と製薬会社の状況は抜きにして、今回の経験からヘビースモーカーのような重度の血管障害を予見できる方には使用しない方が無難だと思いました。



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