整形外科医のブログ

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結晶性関節炎

王冠をかぶった歯突起

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
"王冠をかぶった歯突起"を見逃すな  です。




Crowned dens syndrome(CDS)は軸椎歯突起周囲の環椎横靱帯にピロリン酸カルシウム(CPPD)などが沈着し,発熱,頸部痛を呈する結晶誘発性関節炎である。頸部CT所見において,軸椎歯突起を取り囲むような,冠状の石灰化沈着が認められることが名称の由来となっている。


市立豊中病院(大阪府)糖尿病センターの竹之下優氏は,第49回日本痛風・核酸代謝学会総会において,頸部痛を主訴に来院したCDSの症例を報告した。




別名は「頸部偽痛風」  


CPPDが関節軟骨や周囲組織に沈着し,関節炎,関節破壊を引き起こす疾患をCPPD結晶沈着症といい,CDSはその1つに位置付けられる。同症の症状は痛風と似ているため偽痛風と呼ばれるが,痛風が中年男性に多いのに対し,同症は高齢女性でよく見られる。


また,痛風発作は第一中足趾節や足関節に好発するが,同症では膝,肩,肘,手の関節,軸椎歯突起周囲環椎横靱帯など,さまざまな部位に痛みが起こる。副甲状腺機能亢進症が併存する例がある点も特徴的である。  


竹之下氏は,頸背部痛を主訴に受診し,CDSと診断した76歳女性の症例を紹介した。以前から,膝関節痛のため近所の整形外科に通っていたが,ある日突然,頸背部痛,呼吸困難感が発生。MRIで胸水貯留が疑われ,市立豊中病院に紹介入院した。


なお,患者は橋本病の既往があることや,プラバスタチン,アムロジピン,リマプロストアルファデクス,シメチジンなどを服用していることが確認された。  



初診時の体温は37.6℃と軽度上昇が認められ,疼痛のため頭頸部の回旋が困難な状態であった。また,白血球数(WBC)1万5,800/μL,C反応性蛋白(CRP)16.5mg/dLと,炎症マーカーの上昇が見られた。


頭頸部CT所見(図)で軸椎歯突起周囲の環椎横靱帯に石灰沈着像が認められたため,CDSと診断。コルヒチン0.5mg/日,ロキソプロフェン180mg/日の経口投与を開始したところ,翌日から解熱し,疼痛が改善。炎症マーカーも低下し,第7病日に軽快退院となった。 






図.CDS患者(76歳女性)の頭頸部CT所見 (竹之下優氏提供)  



「石灰沈着性肩関節周囲炎にシメチジンが著効したという日本の報告例があり(Reg Anesth Pain Med 2003; 28: 248-252),偽痛風発作予防薬への臨床応用の可能性が示されている。しかし,同患者はもともとシメチジンを内服していたにもかかわらず,発作を予防できなかった」と同氏は考察を加えた。 




まれな疾患ではない  


竹之下氏によると,2009〜15年の間,同院には上述の症例を含め12例のCDS患者が入院した。同氏らはCDSの臨床的特徴を明らかにするため,後方視的検討を行った。


平均年齢は82.6歳(男性2例,女性10例)で,全例に非ステロイド抗炎症薬が使用され,約半数にプレドニゾロンまたはコルヒチンが併用されていた。


12例中9例で初診時に発熱が認められたが,ほとんどが10日以内に解熱した。WBC最高値は全例が1万/μLを超え,CRP最高値も10mg/dL以上を示す例が半数以上を占めたことが分かった。  


同氏は「CDSは救急診療においてまれな疾患ではなく,高齢化に伴い増加している。同疾患を念頭に鑑別診断を行い,適切に治療することが重要」と結んだ。








Crowned dens syndrome(CDS)は、画像的にインパクトがあるので記憶に残りやすい疾患です。日常診療をしていると、高齢者の頚部痛患者さんにときどき遭遇します。


若年患者さんではいわゆる”寝違え”で片付けることが多いですが、高齢者ではむしろCDSなどのCPPD結晶沈着症を第一に考えるべきだと思います。


もちろん、髄膜炎などの除外診断は必須ですが、髄膜刺激症状の無い患者さんでは
CPPD結晶沈着症であることが多い印象です。


しかし、
CPPD結晶沈着症といっても症状がさほど高度で無い症例もあります。この場合、状況判断的にCPPD結晶沈着症を疑っても、頚椎CTまで施行するか否か迷うことが多いです。


周知のように
CPPD結晶沈着症は自然軽快するので、診断を確定するメリットがあまり無いからです。髄膜炎などの重篤な疾患は、診察の段階である程度除外できますから・・・


先日も
CPPD結晶沈着症を強く疑い70歳の患者さんが受診されましたが、CTを撮影しても治療に関係無いのならお金のかかる検査は止めて欲しいと言われました。もっともなことです。


今回発表されたのは内科医師なのでこってり検査・治療されていますが、我々整形外科医はある程度身体所見で判断できるので、どこまで検査するのかは迷うところですね。





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エクスキューズ目的の抗生剤投与

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先日、外来に4日前からの両膝関節部痛を主訴に60歳台の患者さんが初診されました。
身体所見は、体温37.7度で両膝関節に著明な水腫がありましたが、発赤は認めませんでした。


両膝とも関節穿刺で混濁した関節液を吸引しましたが、検鏡では結晶を認めませんでした。糖尿病等の易感染性も無いそうで、両側同時発症であることを考えると感染は否定的です。


印象としては、(やはり)結晶性関節炎もしくは何らかの膠原病なのですが、急性発症で熱発もあるため化膿性関節炎を除外することができません。


関節液の塗沫検査でも菌体は確認できませんでしたが、治療をどうするのか悩ましいところです。治療方針は、①化膿性関節炎 ②その他 で全く異なります。


①化膿性関節炎であるなら入院での抗生剤投与や関節洗浄を検討するべきですが、②その他であれば短期的には経過観察のみです。


しかし、①化膿性関節炎の可能性が低い場合でも、臨床医の心情としては「エクスキューズ」目的の抗生剤投与を実施する誘惑に駆られます。


確率的には化膿性関節炎である可能性が10%未満であっても、感染を完全否定できていない状況下では、早期に抗生剤を投与しなかった責任を問われる可能性があるからです。


外来で抗生剤の点滴を行ったり内服の抗生剤を処方しても、急性の化膿性関節炎に対しては無効です。むしろ耐性菌をつくってしまうので、中途半端な投与は患者さんのためになりません。


私は、外来での中途半端な抗生剤投与は「エクスキューズ」以外の何者でもないと思うので、化膿性関節炎では無い印象の場合には、勇気を持って(?)抗生剤を敢えて投与しません。


もちろん、抗生剤を投与しない判断をおこなった経緯は詳細にカルテに記載しますが、自分の保身目的の抗生剤投与は、患者さんのためにも極力避けたいと考えています。



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結晶性関節炎と蜂窩織炎の鑑別方法

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昨日の午前はアルバイト先での外来でした。
立て続けに、手背の腫脹・発赤を主訴とした高齢者が受診されました。


局所所見は、いずれも手関節よりも末梢の腫脹・発赤を認めます。単純X線像では手関節内に石灰化を認める方と認めない方が居ました。


血液生化学データは、いずれもCRPが二桁でWBCは10000程度でした。このようなケースでは手背の腫脹・発赤が、蜂窩織炎なのか結晶性関節炎なのか、判断に苦しみます。


血液生化学データでは、結晶性関節炎のWBCは比較的正常範囲内に留まっているケースが多いですが、蜂窩織炎ではWBCが上昇する傾向があります。


しかし、単純にWBCが正常範囲内であれば結晶性関節炎、正常よりも多ければ蜂窩織炎と診断することは、結果があまりに違いすぎるので恐くてできません。


このような場合、私は基本に立ち返って身体所見を重視することにしています。つまり、手背や手関節全体に腫脹・発赤が広がっている場合でも、圧痛点を丹念に探すのです。


手背を中心に圧痛点が限局されない症例では、蜂窩織炎と診断します。一方、どれだけ手背が腫れて発赤していても圧痛点が手関節に限局している場合には、結晶性関節炎と診断します。


この手背から手関節部における”圧痛点”の部位や広がりを丹念に診察することで、蜂窩織炎と結晶性関節炎との鑑別診断が有る程度の精度で可能だと思っています。




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発赤している結晶性手関節炎

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今日の午前は外来をしていました。
一昨夜から左手関節が腫れて痛がっているという100歳(!)の方が受診されました。


診察すると左手関節の腫脹と発赤を認めました。今まで、高度の発赤=化膿性関節炎と思っていましたが、「北の整形外科医」様からフツウに偽痛風で発赤するとの指摘を受けました。


単純X線像ではradiocarpal joint内に石灰沈着を認めました。そして、CRPは高値ですがWBCは正常範囲内という典型的な結晶性関節炎パターンの炎症反応です。


おおっ、これが結晶性関節炎の発赤するパターンなのか!としげしげと観察しました。今回は発赤の境界が不明瞭で、シップかぶれではなさそうです(笑)。


もちろん、現時点では感染の除外をできていません。したがって2日後に再診していただいて、しばらく外来で経過観察しようと思います。




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この手関節の発赤は・・・

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今日の午前はアルバイト先で外来をしていました。
昨夜から右手関節が腫れて痛がっているという80歳台の方が受診されました。


診察すると右手関節の腫脹と高度の発赤を認めました。高度の発赤がある!ということは、化膿性手関節炎の可能性があります(偽痛風でも軽度の発赤があるケースはあります)。


これはちょっとマズイなと思いながら、単純X線と血液生化学検査を依頼しました。単純X線像ではradiocarpal joint内に石灰沈着を認めました。


更に、CRPは高値ですがWBCは正常範囲内という典型的な結晶性関節炎パターンの炎症反応です。検査結果からは、細菌性ではなく結晶性の可能性が高いのですが・・・・


この異常な手関節の発赤は何なんだ???と、じっ~と観察していると、何だか発赤に違和感を感じました。発赤の境界が比較的明瞭で、しかも形状が長方形に見えてきたのです。


「もしや、昨夜はシップを貼っていましたか?」と訊くと、「診察直前まで貼ってました ♪ 」とおっしゃられるのではないですか!この手関節の発赤、シップかぶれです(笑)


膝関節のシップかぶれは見てすぐに分かりますが、手関節は面積が小さいのでシップの長方形の形状が分かりにくい場合があることに気付きました。まだまだ修行が足りないようです。





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