今日の午前中はアルバイト先での外来でした。少し前に60歳台の男性の方が2ヶ月続く腰痛を主訴に初診されたのですが、単純X線像でL2椎体の硬化像を認めました。


L4~5にも硬化像がありましたが椎間関節を中心とした硬化像であり、L2のように椎体全体の硬化像ではありません。嫌な感じがしたので、念のためMRIを施行しました。


MRIではL2椎弓根から椎体までT1WI、T2WIとも低輝度だったので、転移性骨腫瘍と診断しました。単純X線像の所見と性別・年齢から前立腺癌を疑い、泌尿器科と内科に診察依頼しました。


そして、本日再診していただきPSAの値を確認すると異状高値だったので、泌尿器科が主体になって前立腺癌の治療を開始する運びとなりました。


今回は、排尿障害等はなく腰痛で前立腺癌が見つかったのですが、整形外科の外来をしているとときどきこのようなことに遭遇します。


やはり、頑固な腰痛患者さんの場合には、転移性脊椎腫瘍の可能性があることを念頭において、細心の注意を払って診察する必要があることを改めて認識しました。





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 骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)