整形外科医のブログ

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脛腓間スクリュー

脛腓間スクリューの抜釘時期

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足関節脱臼骨折では、Lauge-Hansen分類が有名です。この分類のPEでは、脛腓骨間の下腿骨間膜が断裂しているため、脛腓間スクリュー(positioning screw)が必須です。


脛腓間スクリューを使用する目的は、断裂した下腿骨間膜の修復ですが、最も重要なことは遠位脛腓靭帯の解剖学的修復です。靭帯が修復されるまでスクリューは必須です。


それでは、脛腓間スクリューを抜釘する時期はいつごろがよいのでしょうか?荷重歩行によって、脛腓間スクリューが破損する可能性は約30%と高率です。


スクリューの破損を恐れていると、いつまで経っても荷重歩行を開始できません。そうなると骨萎縮や関節拘縮が進行して足関節機能が低下します。


脛腓間スクリューを抜釘する時期を考える上で、何を最優先させるかがポイントになります。やはり最優先は、遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜の解剖学的修復です。


遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜破損が、再度破綻しないようにするためには、最低でも3ヵ月経過してから脛腓間スクリューを抜釘するのがよいといわれています。


手術後1~2ヵ月では、脛腓間の靭帯構造が再度破綻する可能性があるからです。もちろん、脛腓間スクリューを留置したまま荷重歩行を開始するので、折損リスクが高まります。


しかし、遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜の解剖学的修復が最優先課題なので、脛腓間固定スクリューが折損するリスクには、ある程度目をつぶるしかないのが現実です。





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Maisonneuve 骨折を見逃すな!

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先日、Maisonneuve 骨折の手術がありました。
Maisonneuve 骨折って何ぞや? という方が多いかもしれません。


1 - コピー




Maisonneuve (メゾヌーブ) 骨折とは、1840年にフランスの外科医のMaisonneuve 先生が報告した骨折で、遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜の損傷に腓骨近位部骨折を伴ったものです。


受傷機転から足関節脱臼骨折のPE stage 4の亜型と考えられています。下腿骨間膜が破綻しているため、足関節の高度の不安定性をきたしています。


2 - コピー




Maisonneuve 骨折の問題点は、単純な足関節内果・後果骨折と勘違いしやすい点です。下腿骨間膜が全て損傷しているので、脛腓間スクリュー(positioning screw)が必須です。


Maisonneuve 骨折では下腿骨間膜が損傷しているため下腿の腫脹が高度であることが多いですが、さほど下腿全体の腫脹を認めないケースがあります。


このため、下腿の腫脹は Maisonneuve 骨折の除外診断の条件としては不十分です。足関節周囲骨折の際には念のため下腿や膝関節周囲の診察も忘れないようにする必要があります。



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腓骨欠損例の足関節脱臼骨折

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昨日の午後は、足関節脱臼骨折(SE stage 4)に対する骨折観血的手術でした。足関節脱臼骨折(SE stage 4)は非常にオーソドックスな外傷ですが、昨日の方は初めて診るタイプでした。


この方は、以前に受けた頚椎前方除圧固定術の際に、腓骨骨幹部をグラフトとして利用されていました。普段の生活では腓骨骨幹部が無くても問題ありませんが、足関節脱臼骨折を受傷してしまうと話がややこしくなります。



術前AP術前LR







 



通常のSEの場合は、脛腓骨の骨間膜が温存されているので腓骨中枢側が短縮することはありません。しかしこの方の場合は腓骨骨幹部が無いので、骨間膜が温存されていても腓骨が中枢側に短縮してしまうのです。


まさに腓骨中枢骨片が”ブラブラ”の状態なので腓骨骨折部の整復は容易でした。しかし、このまま手術を終了すると、腓骨の短縮が残存するので足関節の適合性が悪いままです。


そこで、思いっきり牽引を掛けて腓骨を解剖学的な位置まで引き下げた後、PEに準じて脛腓間スクリューを挿入しました。脛腓間スクリューを使用することで、腓骨の短縮が矯正されて足関節の適合性も元に戻りました。



術後AP術後LR












腓骨骨移植術や脛骨高位骨切術などで、腓骨が欠損している方がときどき居ます。このような腓骨欠損例に足関節脱臼骨折を併発した場合には、SEであっても脛腓間スクリューの使用を検討する必要がありそうです。




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