昨日の午後は、足関節脱臼骨折(SE stage 4)に対する骨折観血的手術でした。足関節脱臼骨折(SE stage 4)は非常にオーソドックスな外傷ですが、昨日の方は初めて診るタイプでした。


この方は、以前に受けた頚椎前方除圧固定術の際に、腓骨骨幹部をグラフトとして利用されていました。普段の生活では腓骨骨幹部が無くても問題ありませんが、足関節脱臼骨折を受傷してしまうと話がややこしくなります。



術前AP術前LR







 



通常のSEの場合は、脛腓骨の骨間膜が温存されているので腓骨中枢側が短縮することはありません。しかしこの方の場合は腓骨骨幹部が無いので、骨間膜が温存されていても腓骨が中枢側に短縮してしまうのです。


まさに腓骨中枢骨片が”ブラブラ”の状態なので腓骨骨折部の整復は容易でした。しかし、このまま手術を終了すると、腓骨の短縮が残存するので足関節の適合性が悪いままです。


そこで、思いっきり牽引を掛けて腓骨を解剖学的な位置まで引き下げた後、PEに準じて脛腓間スクリューを挿入しました。脛腓間スクリューを使用することで、腓骨の短縮が矯正されて足関節の適合性も元に戻りました。



術後AP術後LR












腓骨骨移植術や脛骨高位骨切術などで、腓骨が欠損している方がときどき居ます。このような腓骨欠損例に足関節脱臼骨折を併発した場合には、SEであっても脛腓間スクリューの使用を検討する必要がありそうです。




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