整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

腰椎

単純X線像の理想の撮影方向は?

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外来診療で単純X線像の依頼をする場合のパターンは、ある程度決まっていると思います。各医療機関毎のルーチン撮影も存在しますが、その是非について考えてみました。


まず、MRIやCTなどと比べて
単純X線像が有利なのは、動態撮影ができる点です。つまり前屈、中間、後屈位の側面像で撮影した像を比較読影できることが最大のメリットです。


側面像の中間位では問題なくても、前後屈で椎体にすべりが存在することがあります。このすべりが生じるような椎体間不安定性は、脊柱管狭窄を合併しやすいと言われています。


MRIで動態撮影を行うことも可能ですが、収益性は同じなのにコストや時間がかかるため、全ての患者さんに行うことは現実的ではありません。


また、頚椎の単純X線像の場合は、前後屈の動態撮影に加えて、両斜位の撮影が神経根の出入り口である椎間孔の評価に有効です。


一方、腰椎の単純X線像の場合は、分離症は側面像でも分かるため、斜位像を撮影する意味はあまりありません。このため、腰椎は動態4方向で十分と言えるでしょう。


ただ、腰椎に関しては腰痛が骨盤由来のケースもときどきあるので、骨盤正面像は必須だと考えています。


ここまでをまとめると、頚椎は4もしくは6方向、腰椎は4方向+骨盤正面が現在の診療報酬体系にもマッチした理想的な撮影方法ではないでしょうか。






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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

棘突起をきれいに温存できた!

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先日、筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術 (muscle-preserving interlaminar decompression: MILD法)を施行しました。 今回の除圧高位はL3/4の1椎間でした。


最近では、手術時間の短縮(と言っても5分程度でしょうか)と、より後方成分を温存するため、上位椎の棘突起の末梢1/2を縦割して進入しています。



AP - コピー



術後は骨癒合を期待して、縦割した棘突起を縫合しています。上図は術後1週目の単純X線正面像ですが、L3棘突起はかろうじて判別できます。



LR - コピー
 



一方、こちらの側面像では、L3棘突起をきれいに温存できていることを確認できました!さすがにL4棘突起中枢側は少し無くなっていますが、執刀医的には非常に満足です。


私は脊椎外科医ではないので、適応のある症例のみを厳選して手術を行っています。そして、勤務先の病院に脊椎外科医は居ないので、単純な後方除圧術であっても慎重に施行します。


単なる後方除圧術なのにTHAやTKAよりもプレッシャーがかかって嫌なのですが、市中の小規模病院勤務のため、自分で対応可能な手術であれば逃げることはできません。


とは言っても、1時間ほど集中して手術するだけで患者さんの症状が劇的に良くなるので、ついつい手術予約を入れてしまいます。コストパフォーマンスの良い手術は辞められませんね(笑)。





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腰椎の石灰沈着性腱炎?

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先日、30歳台後半の女性が急激な腰痛と38度台の熱発を訴えて夜間に救急受診しました。
救急外来で採血した血液生化学所見は、WBC 13600/ul, CRP 1.57mg/dlでした。


次の日の午前診で私の外来を受診した際には解熱しており、腰痛も軽減していました。易感染性をきたす既往歴は無いようですが、化膿性椎間板炎を除外診断するためMRIを施行しました。



1



上の画像はMRIのSTIRです。明らかな椎間板の高輝度変化は認めませんが、L1~L3椎体前方の軟部組織にびまん性の高輝度領域を認めます。これはいったい何なのでしょうか?



2



冠状断で大腰筋は正常ですが、椎体前方の軟部組織にびまん性の高輝度変化を認めます。しかし、膿瘍を形成している所見ではなさそうです。


発症から10時間程度で解熱して腰痛も軽快していることから、化膿性椎間板炎などの感染症ではなさそうな印象です。特に患者さんから重篤感を感じません。


いったい何なのだろう? と考えていると、以前に石灰沈着性頸長筋腱炎の患者さんを診察したことを思い出しました。 もしや、腰椎に何らかの石灰沈着性腱炎を併発したのでは?



単純X線像をもう一度確認しましたが、特に椎体前方に石灰沈着を認めませんでした。しかし、軟部組織が厚いので、単純X線像では確認できない可能性もあります。


診断のためだけに症状が軽快している女性を被爆させるのもどうかと思い、あえてCTは撮影しませんでした。このため石灰沈着性腱炎であったか否かの真偽は不明です。



その後は熱発が再出現することもなく、腰痛は1週間後には完全に無くなりました。総合的に判断すると、腰椎前方の軟部組織に石灰沈着性腱炎を併発した可能性が高いと考えています。





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腰椎は中枢側からの除圧が吉?

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先日、棘突起縦割式腰椎椎弓形成術(L35)を施行しました
術前のMRIでは、L4/5>L3/4の脊柱管狭窄を認めました。


術後AP



今回はL4の棘突起を縦割して手術を行いました。私の場合、まずL3-5までの椎弓を掘削して骨性処置を全て終了してから、2椎間連続で軟部の処置を行います。


L4/5の狭窄が高度であったため、軟部組織の切除はL4/5から開始しました。しかし、L3/4の除圧が未だったためか硬膜管が膨らまないため、上手くLigamentum flavumを切除できません。


硬膜管が萎んだままなのでLigamentum flavumに張りがなく、ケリソン鉗子でズムーズに切除できないのです。半分ほど切除しましたが、効率が悪いのでL3/4の除圧を行うことにしました。


L3/4の軟部組織を切除するとL4/5の硬膜管が膨隆してきました。Ligamentum flavumにも緊張感が出てきたので、あっという間にL4/5の除圧も終了しました。


私は手術を行う際、基本的には一番重要なところの処置を最優先で行うことにしています。これは、術中に不測の事態が発生しても、そのまま手術を終了できるようにするためです。
 

つまり、常に退路を確保しながら手術を行うことを意識しています。 しかし、2椎間連続の脊柱管狭窄症では、どうも上手くいきませんでした。


今までどちらの高位から除圧するのか深く考えたことは無かったのですが、2椎間連続の脊柱管狭窄症では、中枢側から除圧するという方針で統一すれば良いのでしょうか???
 




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5/20の確率で椎弓切除術は偶然か?

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先日、外来をしていると慢性腰痛の診察希望で患者さんが初診されました。
単純X線像ではOAを認めるのみだったので、トラムセットを投与開始しました。


効果はそこそこあったので、増量しましょうという話をして診察を終了しようとしたところ、「ところで、ご相談があります」とエラク神妙な表情でおっしゃられました。


「何でしょう?」とお伺いすると、その方の職場の同僚は20名足らずにも関わらず、この2年ほどで5名の方が腰椎の手術を受けたとのことでした。


その職場は化学系製品を製造する中小企業だそうですが、どうもこの患者さんは取り扱っている化学物質が腰椎に悪い影響を与えているのではないか? と疑っているようです。


何らかの化学物質が腰部脊柱管狭窄症との間に因果関係があるという話は聞いたことが無かったので、それは単なる偶然でしょうと軽く聞き流しました。


しかし、この患者さんは「5/20が単なる偶然でしょうか?」としつこく食い下がってきます。いやぁ、単なる偶然だと思いますが・・・と言いつつ、少し嫌な感じがしました。


思い切って「それは、もしかしてひとつの医療機関で手術されたのですか?」と質問すると、全員が同じ医療機関の同一医師に、この2年ほどの間に手術を受けたそうです・・・


どうやら手術を受けた方が、同じ症状に悩む職場の同僚にその医師の受診を勧めた結果、芋づる式に同一医療機関のある特定の医師に手術を施行されたということが真相だったのです。


実は隣の県で大々的に売り出していた(※)脊椎外科医が、私の勤務地の近くで2年前に脊椎専門病院を設立しました。そして今回の方の職場の同僚達はこの医師に執刀されたようです。


 ※ この医師の一般向け著書を一読すると、典型的なバイブル商法のニオイを感じました


私はこの医師と直接の面識はないのですが、頚椎椎弓形成術を勧められた受傷後3ヵ月の外傷性頚部症候群の20歳台女性患者さんのセカンドオピニオン診察を担当した経験があります。


その件以来、警戒していた医師なので少し衝撃を受けました。職場で取り扱っている化学物質ではなく、その医師の治療方針が「偶然ではない何か」を生み出しているのだと思います・・・


この2年間で同一職場で手術を施行された5名の患者さんたちは、実際に手術適応であったのであろうとは思いますが、少し複雑な気持ちになった外来でした。


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