先日、腰部脊柱管狭窄症の疫学についての興味深い講演を拝聴してきました。内容は和歌山県立医大の研究(The Wakayama Spine Study)のサマリーでした。
私達は有病の患者さんしか診察する機会が無いですが、実際にどの程度の割合で患者さんが存在するのかは大規模な疫学調査の結果を見るしか知るすべがありません。
The Wakayama Spine Studyでは、対象となる地域住民1009名(男性335名、女性674名)、平均年齢66.3歳(21-97歳)を、なんと移動式MRIを用いて住民健診しています。
この大規模な住民健診の結果、①症状 ②MRI所見 の両方を満たす者を腰部脊柱管狭窄症と定義した場合、有病率は9.3%とのことでした(男性10.1%、女性8.9%)。
もちろん程度に差はあると思いますが、この結果から驚くほど有病率が高い印象を受けました。これだけ治療対象の患者さんが多いと脊椎外科医の需要は多くなるだろうなと想像できます。
年代・性別からは興味深い傾向があり、男性では60歳台に有病率のピークがありますが、女性では80歳台の有病率が最も高く、年齢が上るに比例して漸増傾向にあります。
これらの研究結果は、実臨床から受ける印象と大きな差は無いように思えます。腰部脊柱管狭窄症はメジャーな疾患ですが、まだまだ知らないことが多いなと感じました。
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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。
Critical thinking脊椎外科
腰部脊柱管狭窄症
今日の午前中はアルバイト先での外来でした。
腰部脊柱管狭窄症の方が相変わらず多いので、数名にプレタールを処方開始しました。
プレタールは効果を期待できる反面、頭痛や動悸といった副作用の併発頻度が高いと思います。これに対してオパルモンは効果がマイルドな分、副作用はあまり併発しない印象です。
したがって、腰部脊柱管狭窄症に対する保存治療の第一選択薬はオパルモンにしています。しかし、オパルモンだけでは効果不十分な場合にはプレタールを投入します。
この際、いきなり常用量の200mg/日を処方すると、かなりの頻度で頭痛や動悸を訴える方が発生してしまいます。そこで私は100mg/日を分2朝夕後から投与開始します。
まず最初の1週間は100mg/日服用してもらい、副作用を併発しないことを確認してから200mg投与に移行するのです。200mgに増量する際には、分2朝夕後で50mg錠を4錠処方します。
50mg錠を4錠処方することで、もし副作用を併発しても自分でプレタールの服用量の調整をできるようにしているのです。もちろん、このことは患者さんに充分に説明します。
しかし、この処方をすると必ず薬局から「50mg錠を2錠ではなく100mg錠を1錠で処方してください」という電話がかかってきます。毎週のように増量の過程を説明しているのですが・・・。
今日は、2名の方に同様の処方をしましたが、2回とも電話がかかってきました・・・。同一の薬剤師さんだとは信じたくないのですが、同じ方だったような気がします(笑)。
通常ではない処方や添付文書上の投与方法から外れる際には、必ず医師に電話で確認するように求める院内規定でもあるのでしょうか???
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。
症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方
姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。
類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる
今日の午前はアルバイト先での外来でした。
約5分の間歇性跛行をきたしている腰部脊柱管狭窄症の方を治療しています。
MRIでL4/5で高度脊柱管狭窄があるので、保存治療で奏効しない場合には手術適応だと思います。しかし、まずは薬物治療でベストを尽くしてみようということでオパルモンから開始しました。
しかし、オパルモンでは全く歯が立たなかったので、プレタールを試してみることにしました。プレタールをいきなり200mg/日処方すると、動悸や頭痛を併発する可能性があります。
そこで、私は半量の100mg/日から投与開始します。プレタールはオパルモンと比較して有効率が高い印象ですが、副作用のほとんどないオパルモンと違い動悸や頭痛を好発します。
この方への初回投与量も100mg/日でしたが、残念ながら動悸や頭痛を併発してしまいました。しかし、下肢痛はかなり軽快したとのことです。
プレタールは、下肢痛に対して有効にも関わらず動悸や頭痛等の副作用があるため、泣く泣く処方を中止せざるを得ない方が多いですが、主治医としては非常に残念です。
今まで50mg×2錠の半量投与でも動悸や頭痛がある場合には、下肢痛に対して効果があっても投与を中止していました。しかし、今回は1錠を割って半錠のみ服用してもらうことにしました。
25.5mg×2錠です。これだけ容量が少ないと副作用の発生頻度は少なくなります。もし50mg×2錠でも副作用を併発するのなら、25.5mg×2錠の半錠投与を検討してもよいかもしれません。
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症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方
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類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる
外来をしていると腰部脊柱管狭窄症の方を診る機会が多いと思います。
ほとんどの方はオパルモンやプレタール等の抗血小板薬による保存治療から開始します。
この際に問題になるのが、内科で狭心症・心筋梗塞・脳梗塞に対してバイアスピリンやプラビックスなどの抗血小板薬が既に処方されているケースです。
プレタールなどを追加投与する可否については諸説ありますが、薬剤溶出性ステントを用いた冠動脈形成術(PCI)施行後の抗血小板薬の投与方法が一つの参考事例になると思います。
循環器内科医にお伺いしたところ、PCI施行後1年間は血管性イベント抑制効果を期待してバイアスピリンとプラビックスの併用投与することが多いそうです。
しかし、PCI施行後1年以降は出血リスクが血管性イベント抑制効果を上回るため、1剤に減らしてバイアスピリンもしくはプラビックスの単剤投与とすることが多いようです。
このことを参考にすると、既に内科で抗血小板薬を投与されている患者さんに1年を越えてプレタールやオパルモンを処方する場合は、出血リスクを考慮する必要がありそうです。
では、バイアスピリンとプラビックスが併用されている場合はどうすればよいでしょうか?この場合には内科医師にプラビックスをプレタールで代用できないか問合せするしかなさそうです。
ちなみにプラビックスやバイアスピリンは血小板凝集能抑制効果がメインであり、プレタールやオパルモンのように血管拡張作用が無いため間歇性跛行への効果はあまり期待できません。
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姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。
類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる
今日の午前中はアルバイト先での外来でした。腰部脊柱管狭窄症の方が相変わらず多いですが、私はオパルモン→プレタールの順番で処方することにしています。
プレタールの方が効果が強い印象ですが頭痛や動悸といった副作用の併発頻度が高いと思います。これに対してオパルモンは効果がマイルドな分、副作用もほとんど併発しない印象です。
したがって、腰部脊柱管狭窄症の保存治療の入口はオパルモンにしているのです。しかし、オパルモンだけでは力不足の場合にはプレタールを使用せざるを得ません。
この際、いきなり常用量の200mg/日を処方すると、結構な頻度で頭痛や動悸を訴える方が発生する点が問題となります。そこで私は100mg/日を分2朝夕後から投与開始します。
まず最初の1週間は100mg/日服用してもらい、副作用を併発しないことを確認してから200mg投与に移行するのです。200mgに増量する際には、分2朝夕後で50mg錠を4錠処方します。
50mg錠を4錠処方することで、もし副作用を併発しても自分で服用量の調整をできるようにしているのです。ただ、この処方をすると必ず薬局から問合の電話がかかってきます。
曰く、50mg錠を2錠ではなく100mg錠を1錠で処方してくださいと・・・。いちいち薬剤師さんにこちらの意図を説明するのは面倒なのですが、毎週のように増量の過程を説明しています。
しかし、なぜか毎週同じ方から同じ内容の電話が掛かってくるので、本心ではいい加減にこちらの意図を理解して欲しいなと思ってしまう今日この頃です(笑)。
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