整形外科医のブログ

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舟状骨骨折

8歳の舟状骨骨折の治療法は?

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先日、舟状骨骨折の8歳の子供が初診しました。5日前の受傷で、他院でMRIまで撮像されていました。手術が必要と言われて不安になったとのことでこちらを受診したそうです。


画像データを持参していなかったので、単純X線像を施行したところ、僅かに骨折線が確認できるのかな??? というレベルの所見でした。


ちなみに、舟状骨結節や解剖学的嗅ぎタバコ窩の腫脹や圧痛は軽度ありました。う~ん、どうしたものか。


ほんの少し考えましたが、やはり8歳の子供にいくら低侵襲とはいえ手術を施行するのはやり過ぎのように感じたので、保存治療を行うことにしました。


前医の判断がなければ迷うことなく保存治療を選択していたでしょうが、前医で手術と言われたという情報のために少し惑わされたのです。


このあたりの治療方針の選択は、何が正解なのかは最後まで治療してみなかれば分かりません。大家と言われる医師であっても100戦100勝はありえないからです。


特に、今回のように小児例では特に悩むことが多いですが、最後は自分の子供ならどうするか? という定番の選択法に行きつきます。


そして、今回は「自分の子供なら手術はしないな」という判断を優先させることにしました。少し長丁場になりますが、舟状骨ギプスで治療しようと思います。






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舟状骨骨折の抜釘は行うのか?

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先日、舟状骨骨折の術後患者さんから抜釘を行うのか? と質問されました。今まで特に意識したことは無かったのですが、私自身は舟状骨骨折の術後で抜釘したことはありません。


舟状骨骨折 ≠ 抜釘 という認識だったのですが、意識して考えてみると本当に抜釘しなくてもいいのかなと不安に思いました。


そこで、手の外科医師に訊いてみました。手の外科医師も、やはり舟状骨骨折では余程特殊な症例を除いて抜釘しないとのことでした。


その理由として、物理的に舟状骨骨折で使用したスクリューを抜去することが難しいことが挙げられます。例えばAcutrakを使用した場合、スクリューは完全に骨内に埋まります。


この舟状骨内に埋没されたスクリューヘッドを探し出すためには、透視で確認しながら舟状骨を骨ノミで割って探索する必要があります。


しかも掌側アプローチの場合には、スクリューを大菱形骨-舟状骨間から刺入しているため、大菱形骨が非常に邪魔になります。


このようなことを改めて考えると、舟状骨骨折で抜釘はほとんど選択されない理由がよく理解できました。




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陳旧性月状骨周囲脱臼に合併した手根管症候群

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今日の午前は、アルバイト先で外来をしていました。
1ヵ月前から右母指~環指橈側までのしびれが出現したという方が初診されました。


右母指球は萎縮しており、問診の段階で手根管症候群であることは容易に推測されます。しかし、この方の単純X線像を確認して驚きました。なんと月状骨周囲脱臼を併発しているのです。


この方は30年前にバイク事故で手関節の治療を受けたようですが、どうも月状骨周囲脱臼を見逃されていたようです。手関節背側の月状骨部分が陥凹しています。


既に、radiocarpal jointおよびmidcarpal jointにはOAを認めます。
側面像では掌側に脱臼した月状骨が派手に正中神経を圧迫していそうです。


論文を漁ってみたところ、手根管開放術の際に掌側脱臼した月状骨および舟状骨の一部を切除するという報告を散見しました。やはり掌側脱臼した月状骨がCTS発症に影響していそうです。


経舟状骨の月状骨周囲脱臼では、舟状骨骨折に目を奪われて月状骨脱臼を見逃してしまう可能性があります。万が一にも見逃してしまうと今回のようなことになってしまいます。


通常の舟状骨骨折と比べて、月状骨周囲脱臼では手関節の腫脹が極めて高度です。いつもと違う感じだな? と思ったら、側面像で月状骨の位置を確認する習慣が必要かもしれません。



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背側アプローチでの舟状骨骨折手術

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昨日の午後は舟状骨骨折に対する骨折観血的手術でした。Herbert type B2だったので、背側アプローチでスクリュー固定しました。


昔は掌側アプローチがメインでしたが、最近はほぼ背側アプローチを選択しています。掌側アプローチは大菱形骨が邪魔になって至適位置にスクリューを刺入できないからです。



1



まず、透視下に手関節を強制掌屈させて、舟状骨の周囲が黒い円状に見えるように調整を行います。この黒い円は軸方向から見た舟状骨の周囲です。




2



この黒い円の中心にガイドワイヤー先端を合わし、そのまま床に対して垂線方向に刺入します。舟状骨-大菱形骨間の関節までガイドワイヤー先端を進めます。


3



舟状骨の側面像です。ちょうど舟状骨のど真ん中の至適位置にガイドワイヤーが刺入されていることを確認しました。やはり背側アプローチの方が至適位置にキマり易いです。


掌側アプローチをせざるを得ない場合は、舟状骨の遠位端骨折(Herbert type B3)です。しかし、舟状骨遠位端骨折ならギプス固定で治癒するケースが多いと思います。


したがって、実質的に手術適応のある舟状骨骨折では、ほぼ全例背側アプローチを選択して問題ないと考えています。




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舟状骨のbone bruiseの治療をどうするか?

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先日、13歳の中学生が転倒して右手をついてから痛いとのことで受診しました。単純X線像では明らかな骨折を認めませんでしたが、舟状骨結節および解剖学的かぎタバコ入れ(anatomical snuff box)の軽度の腫脹・圧痛を認めました。


身体所見は、本物の舟状骨骨折ほどの腫脹ではありませんでしたが、明らかに舟状骨周囲の腫脹・圧痛があったので念のためMRIを施行したところ、舟状骨の遠位1/3がT1WIでlow intensity・Fat suppressionでhigh intensityでした。いわゆる骨挫傷(bone bruise)の所見です。


どうみても骨折線ではなかったのですが受傷後1週の時点でもまだ圧痛があったので、初診時に作成したthumb spica splintによる固定を継続しました。


受傷後2週の単純X線像で仮骨をみとめませんでしたが、受傷後4週である昨日の単純X線像で仮骨形成を認めました!身体所見では、舟状骨周囲の腫脹・圧痛はほぼ消失していましたが、実はbone bruiseではなく、骨折だったようです・・・。


う~ん、bone bruiseに対する概念を根本から覆される症例を経験してしまいました。膝関節周囲のbone bruiseなら外固定無しでどんどん荷重していきます。しかし、舟状骨のbone bruiseはなんとなく気持ち悪いので慎重な対応をしていたのですが、どうもその対応で正解だったようです・・・。




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