今日も朝から体中の筋肉が痛いです。
原因は一昨日の人工股関節全置換術(THA)だと思います・・・。
今回の方の原因疾患は、特発性大腿骨頭壊死症(ION)でした。まだかなり若いのですが、type C-2、stage 3bなので大腿骨頭前方回転骨切術(ARO)の適応はありません。
やむを得ずTHA施行となったのですが、若いだけあって骨質が良好でした。「良好」と書けば響きが良いですが、術者サイドから見ると、とにかく骨が固いのです。
私は、通常のOAよりもIONの方が、手術の難易度が高いと思っています。理由はいろいろありますが、寛骨臼側のカップ設置の難しさも要因のひとつだと考えています。
通常のOAと同様に1mm underまでリーミングしてカップのインパクションを行いましたが、全く寛骨臼内に収まる気配がありませんでした。やむを得ずsame sizeのリーミングを行いました。
しかし、same sizeでリーミングしたにも関わらずカップがインパクションできないのです!渾身の力を振り絞って叩打して、何とか寛骨臼内にカップが納まりましたが、冷や汗をかきました。
整復の際にも患者さんの筋肉量が多過ぎて、なかなか整復できませんでした。全身の力を振り絞って何とか整復したものの、術後は疲れてしばらく動けませんでした・・・。
やはり若年者のIONは手技が難しいし、相当体力を消耗します。しかし2日も手術による筋肉痛を引きずるのは、私の体が鈍っている証拠なのかもしれませんね(笑)。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。
股関節学
若年者
今日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。
若年者の特発性大腿骨頭壊死症(ION)だったので、股関節の変形はそれほどではありませんでした。
ION等の寛骨臼の形態が温存されている症例では、術後X線像でカップ上部で寛骨臼との間隙が生じやすいです。これは正常な寛骨臼においては横断面での前後径よりも、正面像での上下径の方が大きいためです。
術中所見でもカップ上方に少し間隙があります。
bone stockの温存を考えると、骨移植をしておいた方がよいかもしれません。
今日の午前は、人工股関節全置換術(THA)でした。
今日の方は30歳台前半の若年者ですが、両側の末期変形性股関節症でした。
画像だけをみせられると、股関節外科医なら全員がTHAの適応と言うと思いますがやはり年齢がネックです。痛みが高度であり日常生活での支障が大きいので、何らかの手術は必要です。
10年前の私であれば、キアリ骨盤骨切り術(Chiari pelvic osteotomy)を選択したと思います(本症例は外反股なのでBombelli外反伸展骨切り術は不要です)。現在でも久留米大学の先生方であればキアリを選択されると思います。
また、名古屋大学の長谷川先生ならチャレンジングですが、寛骨臼回転骨切り術(RAO、名大ではERAO)を選択されるかもしれません。
しかし、タイムセービングと割り切っても骨切りでは、本症例に関しては10年程度しかもたない可能性が高いです。更に骨盤に一度侵襲を加えるとTHAの際に操作が難しくなります。
いろいろと検討しましたが、highly cross linked polyethyleneで安定した長期成績のでている
Durasul®を最終的に選択しました(つまり、ZIMMERのConverge cup+Kinectiv)。
20年後の50歳台で再置換、そのころの人工股関節全置換術の更なる発展を期待します。この方の人生において、一度の再置換術で済みますように・・・。
アクセスカウンター
- 今日:
- 昨日:
- 累計:
管理人によるケアネット連載コラム
管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
人気記事
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
カテゴリ別アーカイブ
QRコード
お気に入りリンク集
記事検索
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。
利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。
当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。