昨日の午後は出張先で、長母指伸筋腱(EPL)の腱縫合術を施行しました。他院からの紹介症例だったのですが「長母指伸筋腱断裂を認めましたが、皮膚縫合のみ施行しております」という文面でした・・・。
そこまで診断できるのなら腱縫合までしておいて欲しいところです。なぜ皮膚縫合のみに止めたのかは不明ですが、もしかしたら整形外科医ではなく優秀な外科医だったのかもしれません。
さて、EPL損傷の場合、母指IP関節の自動伸展不能なことで診断可能ですが、受傷から数日経過していると母指から手部がかなり腫脹するのでIP関節の動きが分かり辛いことがあります。
また、部分断裂の場合には弱いながらも伸展するので、ますます診断が難しくなります。このような場合には、anatomical snuff boxでのEPLのレリーフみると診断がつきます。
健側と比較してEPLのレリーフが明らかなに触知しにくいので、断裂していることが分かるのです。このように伸筋腱損傷では、レリーフを確認することも診断を下すのに有効だと思います。
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