最近、足部疾患を診察する際の自分の中でのアルゴリズムに、少し変更点が発生しました。その変更点とは踵部痛に対するものです。


こちらでもご紹介したように、踵部疾患をきたすものは下記の3つです。


  1. 足底腱膜炎:足底腱膜の停止部の炎症。中~高齢者に多い
  2. 踵部脂肪褥炎:踵部脂肪体の弾力低下で踵骨へ直接負荷がかかる。中~高齢者に多い
  3. Heel Fad Pad Syndrome:踵部脂肪体と踵骨の間に発生する剪断力が原因。スポーツ愛好家などの若年者に多い



スポーツ選手や学生が多い特殊な(?)環境でなければ、普通は①もしくは②となります。①②の鑑別は、圧痛部位と単純X線像での踵骨骨棘の有無です。


ややこしいので、私は、踵骨骨棘アリ=足底腱膜炎、踵骨骨棘ナシ=踵部脂肪褥炎という風に覚えています。


しかし、厳密にはこのアルゴリズムでは正しい診断を下せない可能性があります。正確さを期すならば、やはり圧痛部位の確認を欠かせません。


そして、愚直に踵部痛の診察を続けた結果、どうやら患者数的には足底腱膜炎よりも、踵部脂肪褥炎の方が多そうであることに気付きました。


治療は、足底腱膜炎はおなじみのアーチサポートですが、踵部脂肪褥炎ではヒールカップを選択します。勤務先にはヒールカップを常置していないので、ネットでの購入となります。


つまり、アルゴリズムの変更点は、踵部疾患を診察する際には、①最多の踵部脂肪褥炎を念頭に置きつつ、②踵部周囲の圧痛点を確認する という手順となります。







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