先日、膝蓋骨下極粉砕骨折の手術を施行しました。CTでは下極骨片が粉砕していましたが、骨膜の連続性があるから通常の鋼線締結法でOKと判断しました。

しかし、実際に骨折部を展開すると下極骨片は文字通りバラバラに粉砕していました・・・。小児のスリーブ骨折とは少し違いますが、固定性をあまり望めない点では似ていると思います。
幸い、膝蓋腱の起始部と膝蓋骨下極の皮質骨との間の連続性はありました。下極骨片自体は皮質骨も含めて粉砕していたものの、何とか軟鋼線で押さえ込むことができました。
鋼線締結法終了後におそるおそる他動的に膝関節を屈曲したところ、骨折部は安定していたため一安心しました。やはり膝蓋骨下極に近い骨折はひやひやしますね。
通常の膝蓋骨骨折では私はナカシマメディカルのリングピンを利用しています。しかし、今回は下極骨片から逆行性に刺入する必要があるので、久しぶりにK-wireを使用しました。
中枢骨片からリングピンを用いて下極骨片まで刺入しても良かったのですが、ターゲット(膝蓋骨下極)が小さいので、手術時間を短縮するためにも逆行性の方が有利という判断です。
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