Medical Tribune 2014年8月28日号に興味深い記事がありました。「インフルエンザへの抗ウイルス薬処方率わずか16%」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


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インフルエンザ患者に対する早期(発症後2日以内)の抗ウイルス薬投与は、インフルエンザ関連合併症リスクの低下につながります。


このため高リスクのインフルエンザ疑い例に対しては重症度にかかわらず経験的投与が推奨されています。しかし外来診療における抗ウイルス薬の使用実態に関するデータは少ないです。  


米疾病対策センター(CDC)は、2012/13インフルエンザシーズンにおける外来患者への抗ウイルス薬および抗菌薬の処方データを分析しました。


インフルエンザ診断確定例のうち、抗ウイルス薬が処方されたのはたった16%のみで、30%は抗菌薬が処方されていました。


現行ガイドラインに従って高リスク患者に抗ウイルス薬を処方する外来施設が極めて少ないことを問題視しています。


また,外来診療において何が抗ウイルス薬処方の障壁になっているのかを解明し、リスクが高い患者に対する迅速な抗ウイルス薬投与について理解を深める努力が必要とのことです。 
 

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これは興味深い報告だと思いました。日本ではインフルエンザに際して抗ウイルス薬の過剰投与が問題になっていますが、米国では逆に過少投与が問題になっているようです。


米疾病対策センター(CDC)は、抗ウイルス薬過剰投与による薬剤耐性ウイルスの出現は問題にしておらず、薬剤耐性菌のみを問題にしています。


「海外ではインフルエンザぐらいでわざわざ医療機関を受診するケースは少ない。すぐに医療機関を受診してしまう日本人は、海外の人を見習うべきだ」という論調をときどき耳にします。


私は公衆衛生の専門家ではないのでどちらが正しいのか分かりませんが、抗ウイルス薬の種類が少ないことを勘案すると、耐性ウイルスの出現よりも過少投与の方がまだましな気がします。




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