Medical Tribune 2014年8月14日号に興味深い記事がありました。「携帯端末による小児のニッケルアレルギーに注意」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。
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スマートフォンなどの携帯端末が先進国を中心に広く普及しつつあり、幼少期からこうした端末の使用が増えている。
米国のSharon E. Jacob氏らは、全身性のアレルギー性接触皮膚炎(ACD)と診断された11歳男児の症状は、iPadに含まれるニッケルが関連していたとPediatricsで報告した。
Jacob氏らによると小児のACD有病率は増えており、ニッケルは最も多く報告されている。ニッケルアレルギーに関連した症状では電子機器の使用歴も考慮するよう呼びかけている。
ニッケルアレルギーが多い理由は、ニッケルが酸に弱く汗などでも溶出しやすいこと、携帯電話や腕時計、アクセサリー、硬貨などさまざまな製品に広く用いられているためと考えられている。
接触皮膚炎は、原因が不明あるいは防御策が不十分な場合、難治となることがあるため原因を突き止めて原因物質との接触を避けるのが治療の基本とされている。
直近の半年間に男児がiPadを頻繁に使用していたことなどに着目して所持していた同機器を調べたところ、パッチテストでニッケル陽性の反応が確認された。
男児に対してニッケル含有製品との接触を避けること、またiPadの背面などを保護するカバーではなくニッケルが含まれる液晶画面を覆うカバーを付けて使用することなどをアドバイスした。
この他にも、男児にはニッケルを含む食事を避けるなどの生活指導が行われた結果、皮膚炎の症状はかなり改善しつつあることが報告された。
同氏らによると、小児のニッケルアレルギーは増えているため、疑わしい場合には金属を含む電子製品やニッケルへの曝露が考えられる個別の要因などを考慮すべきとしている。
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これは興味深い報告だと思いました。iPadなどの電子機器は非常に一般的になっていますが、金属アレルギーという思わぬ落とし穴があるようです。
それも、本体の金属部分ではなく液晶画面にニッケルが含まれており、この液晶画面からのニッケルの暴露が金属アレルギーの原因になっていたことは非常に意外でした。
日本では100円硬貨に使用されているほどニッケルはありふれた金属です。このため、ほとんどの日本人は幼少の頃からニッケルに暴露されています。
ニッケルアレルギーの報告例は欧米が中心です。しかし日本人の全身性のアレルギー性接触皮膚炎(ACD)の中にも、ニッケルが原因の人も結構含まれているかもしれませんね。
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