昨日の午後は鎖骨外側端骨折の手術でした。
使用した内固定材料はクラビクルフックプレートで、HOMS技研のHAI肩鎖関節プレートです。
患者さんは40歳台の若年者でしたが遠位骨片は粉砕しており、ロッキングスクリューや鋼線締結法での骨接合術では難しそうな印象でした。
そして、骨幹部側の鎖骨は後上方に大きく転位しており、これだけ骨片間のギャップが大きいと保存的には骨癒合が難しいのではないかと思いました。
高齢者の鎖骨遠位端骨折では保存治療を行うことが多いですが、私の経験ではほとんどの症例で骨癒合を獲得できずに偽関節化しています。私が思う手術のポイントは下記です。
・ 頭部はやや回旋するが、やりすぎると術後にradiculopathyを併発するので注意が必要
・ 消毒前に透視下に骨折部、肩鎖関節部をマーキングする
・ 肩鎖関節および鎖骨後縁を確認し、鎖骨後縁からフックを肩峰下に挿入する。
この部位を指先で確認すると骨性のU字状になっている。
・ 鎖骨の整復は、プレート中枢端と中枢骨片の間に鉗子を挿入して整復する
・ 遠位端骨片は後上方へ転位している。
・ プレートで上下方向の転位を整復した後に、整復鉗子で前後方向の転位を整復する
・ フック高が足りないとプレートが遠位骨片を押して転位が広がる。フック高15mmがベストか?
鎖骨遠位端骨片は粉砕しているケースが多いので、やはりクラビクルフックプレートが最も確実な固定性を期待できるのではないかと個人的には思っています。
※ クラビクルフックプレートを用いた鎖骨遠位端骨折の手術記録のテンプレートが必要な方は、私の運営するサイトから自由にダウンロードしていただけます。ただし、手術記録のテンプレートはあくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行っていただけますよう重ねてお願いいたします。
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