昨日の午前の手術は、年内最後の人工股関節全置換術(THA)でした。
特に問題のある症例ではないため、手術はスムーズに終了しました。
この方も内閉鎖筋温存の後外側アプローチで手術を施行していますが、依然として試行錯誤が続いています。かなり寛骨臼の展開がタイトなので、同じ進入でも個人差が激しいのです。
しかし、昨日の方は軟部組織の伸張性が豊富だったので、比較的容易に展開が可能でした。展開が容易だと、手術も非常にスムーズに終了します。
このアプローチの最大の欠点は、リーミングの際に寛骨臼内を充分直視することが難しい点です。このため、ある程度術者の経験と勘に頼ったリーミングとなります。
目を瞑っていてもリーミングできるほどの経験があるので(冗談です)、問題なく手術は終了していますが、経験が浅い術者であれば内閉鎖筋まで温存することは難しいかもしれません。
内閉鎖筋の温存に拘るよりも股関節後方要素の温存は梨状筋までに留めて、しっかり寛骨臼を展開してインプラントをきっちり設置する方が術後成績は良好だと思います。
組織温存の度合いと手術の難易度はある程度はトレードオフの関係なので、自分の技量と相談しながらどこまで組織を温存するかを決めるべきだと思います。
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人工股関節全置換術
難易度
今日も朝から体中の筋肉が痛いです。
原因は一昨日の人工股関節全置換術(THA)だと思います・・・。
今回の方の原因疾患は、特発性大腿骨頭壊死症(ION)でした。まだかなり若いのですが、type C-2、stage 3bなので大腿骨頭前方回転骨切術(ARO)の適応はありません。
やむを得ずTHA施行となったのですが、若いだけあって骨質が良好でした。「良好」と書けば響きが良いですが、術者サイドから見ると、とにかく骨が固いのです。
私は、通常のOAよりもIONの方が、手術の難易度が高いと思っています。理由はいろいろありますが、寛骨臼側のカップ設置の難しさも要因のひとつだと考えています。
通常のOAと同様に1mm underまでリーミングしてカップのインパクションを行いましたが、全く寛骨臼内に収まる気配がありませんでした。やむを得ずsame sizeのリーミングを行いました。
しかし、same sizeでリーミングしたにも関わらずカップがインパクションできないのです!渾身の力を振り絞って叩打して、何とか寛骨臼内にカップが納まりましたが、冷や汗をかきました。
整復の際にも患者さんの筋肉量が多過ぎて、なかなか整復できませんでした。全身の力を振り絞って何とか整復したものの、術後は疲れてしばらく動けませんでした・・・。
やはり若年者のIONは手技が難しいし、相当体力を消耗します。しかし2日も手術による筋肉痛を引きずるのは、私の体が鈍っている証拠なのかもしれませんね(笑)。
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股関節学
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