神経痛の保存治療は難しい
神経痛の治療は難しいと感じています。整形外科医が扱う神経痛は多岐に渡りますが、その中でも特に、頚椎椎間板ヘルニアによる神経根症に対する苦手意識が最も強いです。
何故なら、頚椎椎間板ヘルニアによる神経根症の患者さんは、比較的若年者が多いからです。感覚的に年齢が若いほど症状が強く出る印象を受けています。
しかも、若年者は現役で働いているため、鎮痛に対するニーズがとてつもなく大きい。例えば、40歳台男性でフルタイムの仕事をしている人などは最も嫌なパターンです。
このような患者さんが仕事を休んでまで受診するのは、よほど症状に困ったからです。先日の患者さんも、強い症状が 2ヵ月ほど続いおり、我慢できずに受診したそうです...。
胃が痛くなるような治療を実施したが
この患者さんの初診時身体所見は、Spurling test や Jackson testが強陽性でした。少し天井を向くだけでも激痛が走ります。
単純X線像では C5/6の椎間板高が減少していました。頚椎MRIでは C5/6で椎間板変性と椎間板ヘルニアによる椎間孔の狭小化を認めました。画像所見と身体所見が一致しています。
それどころか、リリカで嘔気とふらつきがある始末。お次はトラムセット 3錠+タリージェ10mgです。エイヤと投入するも全く効果なし...。
このあたりから、ちょっとマズイなと感じ始めました。下記のように手変え品変え薬物治療を試しましたがことごとダメでした。
- ロキソニン+リリカ75mg → 効果なし、嘔気とふらつきあり
- トラムセット3錠+タリージェ10mg → 効果なし
- モービック1錠 → 効果なし
- サインバルタ20mg → 効果なし・嘔気とふらつきあり
- プレドニン10mg → 効果なし
- ノイロトロピン8錠 → 効果なし
- デュロテップMTパッチ2.1㎎ → 効果あり・嘔気あり
- デュロテップMTパッチ2.1㎎1/2 → 効果あり・嘔気あり
自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。