整形外科医のブログ

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顎骨壊死

骨粗鬆症患者の顎骨壊死

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日整会誌93(1)2019, 43-49で、骨粗鬆症患者の顎骨壊死に関する教育研修講座がありました。改訂ポジションペーパー2016の問題点と新規予防法の効果 です。


少し前に BP 製剤による顎骨壊死が話題になりました。病態としては顎骨「壊死」ではなく顎骨骨髄炎なのですが、「骨壊死」という病名が混乱に拍車をかけたようです。


このため、歯科医師が抜歯などの歯髄処置を行う際に、あらかじめ BP 製剤の休薬を歯科医師から求められることが多発しました。


医師サイドでは、患者さんの抜歯を人質にとられているので、歯科医師の BP製剤休薬要求を了承せざるを得ません。


しかし、日本骨粗鬆症学会の調査では、 BP 製剤の休薬を契機に約16%の患者で骨粗鬆症の治療が中止されていることもわかりました 。これは由々しき事態です。


その後、BP 製剤の休薬に顎骨壊死予防効果がないことが報告されるようになり、一時期のようなセンセーショナルな状況は沈静化しています。


改訂ポジションペーパー2016年では「EBM の観点に基づいて論理的に判断すると歯科治療前の  BP 製剤休薬を積極的に支持する根拠にかける」と記しました。


では顎骨壊死の予防法としてどのようなものが重要なのでしょうか。国際顎骨壊死コンセンサスペーパーが提示する骨粗鬆症患者の顎骨壊死予防の最初は以下の通りです。


  • BP 製剤あるいはデノスマブ製剤を処方する前に感染症となる歯を抜歯するかあるいは治療を行って感想を可能な限りなくす
  • 定期的に歯科を受診して口腔衛生状態を良好にする


結局のところ顎骨壊死の予防法としては口腔ケアが最も重要なようです。そして、ドイツなどの欧米の例に見習って、医科歯科連携を推進するべきなのでしょう。






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顎骨壊死のポジションペーパー

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第34回日本骨代謝学会学術集会において、4年ぶりの改訂となる6学会共同(1)の顎骨壊死ポジションペーパー2016が公表されました。私の感じた主なポイントは下記3点です。


  • 骨粗鬆症患者に骨吸収抑制薬を予防的に休薬してもARONJ(2)発生率の低下は認められず、休薬による発生予防との関連は不明である。

  • 発生頻度から見ると休薬による骨密度低下や骨折発生増加の方が問題であり、休薬のリスクよりも継続投与の利益の方が優る。つまり、歯科治療前の休薬を支持する根拠はない。

  • 医科歯科連携不足がARONJの問題を大きくしているのかもしれない。歯科医師は患者を通じて医師の治療方針の変更を要請するような行為は慎むべきである。


治療が難しいARONJを実際に担当する歯科医師の気持ちは理解できます。しかし、ARONJを重視しすぎるあまり、患者さん全体のリスク・ベネフィット感覚を失ってはいけないと思います。


また、日常診療では「歯科で骨粗鬆症の薬を止めるように言われた」とおっしゃる患者さんが多いです。患者さんを伝書鳩に使うのではなく、診療情報提供書で依頼するべきでしょう。



  1. 日本骨代謝学会、日本骨粗鬆症学会、日本歯周病学会、日本歯科放射線学会、日本口腔外科学会、日本臨床口腔病理学会
  2. 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死〔Anti-resorptive agent-related Osteonecrosis of the Jaw(ONJ);ARONJ〕




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ビスフォスフォネート(BP)製剤による顎骨壊死? その2

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ビスフォスフォネート(BP)製剤による顎骨壊死? その1 のつづきです


顎骨壊死?の発症機序


 口腔内での外傷(抜歯などの外科処置、不適合義歯) ⇒ 細菌感染
 ⇒ 顎骨骨髄炎 ⇒ BP製剤を投与されていると骨代謝が抑えられるので難治化


最も重要なことは、口腔内を清潔にし、歯周病などの顎骨にいたる慢性炎症がない状態を保持すこと だそうです。


また、整形外科医に求められることは、下記の件を歯科医師にお願いすることなのかなと思いました。


① BP製剤服用開始前に徹底した口腔内診査を行うこと 
② 顎骨に及ぶ歯科治療を終わらせておくこと
③ 口腔清掃状態を良行に維持する指導を行うこと
④ 継続した口腔衛生指導を行うこと


日常診療で完璧にこなすことは難しいですが、口腔内に問題のありそう方には注意を払う必要がありそうです。



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ビスフォスフォネート(BP)製剤による顎骨壊死? その1

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今年になって、『通院している歯医者さんから、この薬を飲むとアゴの骨が死んでしまうからキケンだと言われました』、と相談してくる患者さんが外来中に多くなりました。


たまたま重なっただけなのか、私の勤務する医療機関の近くの歯科医師が流布しているのかは判然としませんが、ビスフォスフォネート(BP)製剤を中心にして骨折後の骨粗鬆症を治療している整形外科医としては看過できない問題です。


タイムリーに京都大学口腔外科の別所教授が監修された
BP製剤のパンフレットを拝見しました。
特発性大腿骨頭壊死症などの研究に一枚かんでいた整形外科医としては、”これは骨壊死ではなく、単なる骨髄炎だろう~”という内容でした。


要約すると、下記のごとくの病態のようです。

   口腔内での外傷(抜歯などの外科処置、不適合義歯) ⇒ 細菌感染
 ⇒ 顎骨骨髄炎 ⇒ BP製剤を投与されていると骨代謝が抑えられるので難治化



ビスフォスフォネート(BP)製剤による顎骨壊死? その2 につづく

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